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2010年5月7日 金曜日 日本郵政株式会社 社長会見の内容

2010年5月7日 金曜日 日本郵政株式会社 社長会見の内容

案件なし

【社長】
先月30日に郵政改革法案、関連法案が閣議決定され、国会に提出されました。今日、それを受け、記者会見するわけでございますが、この関連法案は亀井、原口両大臣の指導のもと、大塚、内藤両副大臣、長谷川政務官の政務三役が中心になって、慎重に検討が行われた結果、できた法案でございまして、その間、与党の政策会議というのは、15回にわたって開催されておりますし、政府主催の「中央公聴会」も、内外の諸団体を対象としてそれぞれ1回ずつ、それから私どもの会社が主催しました「利用者の声を伺う会」というのを全国で6回行っております。
その間、両大臣は頻繁に、いろいろな方のご意見も伺っておられます。
私どもとの意見交換も十分行われ、その結果、今回の改革法案ができたということでございます。私どもは、この法案をできるだけ早く、国会で決議いただくことを願っておりますし、この法案の内容に沿い、来年10月1日の施行、新会社の設立に向けて努力していかなければならないと思っております。 そしてこの法律に書いてある精神に基づいて、全国の郵便、貯金、保険のユニバーサルサービスを維持して、お客さまのためのサービスを一生懸命改善していくために、これから、本当の努力が始まるというように考えています。
今、私どもが考えていることはそういうことでございます。
あとはご質問に応じて、何なりとお答えしたいと思いますので、どうぞご自由にご質問をお願いいたします。
【記者】
先ほど社長会見に先立って行われた非正規社員の正社員化の話と、ファミリー企業の整理の話からまずお伺いしたいと思います。
いずれも人材の活用、もしくはコストの管理という点で、非常にバランスが難しい経営判断を行う内容だと思うのですが、経営トップとして、この2つの問題、どういう経営判断に基づいて決定されたのでしょうか。まずその点からお教えください。
【社長】
私どもの社員の推移を見てみますと、平成11年度には、約30万人くらいの正社員がいたわけです。それが、逐年、これはどの会社でも同じですが、順次、経営の効率化、合理化が行われ、現在は23万人程度になっているわけです。
それに比較して、非正規社員は順次増えてきて、極短期・再雇用を除きますと今年で、大体21万人くらいおられるわけです。
この中に週30時間、ほぼ正規社員と同じような労働時間で働いている非正規社員が約10万人いらっしゃるわけです。この人たちは、正規社員と同じような労働時間で働いているわけですが、その給与水準は正規社員と比べると低いということです。
そこで、私は、これらの非正規社員の方にも、仕事に対する誇りと将来の希望を持っていただくために、正規社員と同じような労働時間の非正規社員の希望に応じて、正規社員に採用する道を開くのが、ある意味では、経営者としての責務ではないかと思っているわけです。
もとより、これらの非正規社員が、そのまま正規社員になるわけではありません。皆様ご承知のように、私どもの社員は、正規の試験を通り、非常に誇りを持って仕事している社員です。また、皆様も新聞でご覧いただいたように、私どもの企業は非常に人気のある企業であり、新規採用も非常に難関の企業の1つになっています。したがって、正規社員のいわば質、クオリティーは非常に高いものがあります。
したがって、これらの非正規社員の方も、希望をとり、その希望に応じて、採用の道を開くわけですが、当然テストを行い、正規社員としての資格を持った方に限って、採用するというのは当然のことでございます。
まず第1の条件として、3年間こういう仕事を続けた方ということです。
それから、さらにその中から希望を募るということですが、非正規社員の方の中には、家計の中心かどうかという要素がありますし、正規社員になりますと転勤もありますので、どれくらいの希望があるか、これから調査してみなければわかりません。
その希望者について、試験とか、面接とかで正規社員としてのクオリティがあるかどうかテストするわけでございます。
その上で、そのテストに合格した方を正規社員として採用するというプロセスになるわけです。
ただ、ここで申し上げたいのは、これで不合格になった方にも希望を聞いて、研修を受けていただき、ぜひ正規社員のクオリティに達していただきたいという意味で、研修の道を開くというところが非常に重要だと思っております。
このために、郵政大学校という組織を再生して、非正規社員で試験に落ちた、通らなかった方々に、さらに研修を行い、再度、正規社員への挑戦をしていただく道を開くというところが非常に新しいところだと思っております。
最近どうしても研修の面が、かつてに比べて少しおろそかになり、社員のクオリティが下がりつつあるという懸念もありますので、この郵政大学校には、さらに、非正規社員の研修の他に、正規社員の方々を含めた研修も大々的に行いたいと考えています。それによって、社員全体の質を高めていくことも重要だと考えています。
そういう意味で、私はこのプロセスは会社として正しい方向であると思っております。
それから、ファミリー会社の問題ですが、一般にファミリー会社と言われているのは、旧郵政省の天下りの方々が多く入った企業ということで、この企業について批判があるのは、やはりこれらの方々を抱えた企業と契約を結ぶことが、会社経営にとって非効率な面があるというおそれに起因するものと思います。したがって、これらの会社については、先ほど佐々木専務から説明があったと思いますが、きちんと整理して、我々の会社の経営にとって非常に役に立つような企業形態のあり方にしていきたいと考えているわけでございます。
いずれも私どもの会社の経営にとって、正しい方向であると信じております。
以上です。
【記者】
あともう1点、郵政改革法案の閣議決定に関してお尋ねします。
社長は常々、会社の経営の自由度を高めてほしいと政府の方に伝えていらっしゃったと思うのですが、今回決まった改革案をご覧になって、その希望というのはかなり受け入れられたと評価されているのでしょうか。
【社長】
今までの民営化会社に比べると、かなり経営の自由度が認められたのではないかと思っております。これについて、多くの誤った報道や論評がなされておりますが、例えば、保険です。ある保険会社のトップは、私どもの保険会社には、新規事業について規制があるのに、今度の新しいかんぽ会社には、それについての規制がないというのはけしからんというようなことをおっしゃったという報道がありましたが、これはすべて誤解です。私どもがお願いしていますのは、民間の金融機関、あるいは保険会社と同じような条件にしてもらいたいということでして、銀行法、保険業法に基づく一般会社にしていただきたいということでございまして、その保険会社の新規事業について、認可が必要であるならば、それは私どもの会社についても認可が必要であるわけです。今度の改正法案で規定されたのは、一般の会社としての銀行法、保険業法の規制の他に、それにプラスアルファの規制として、新規事業を営む際には届け出る必要があるということでして、これはいわば、一般の金融機関、保険会社に比べて重い、いわば規制がかかっているということでございます。その届出に対して、もし問題があれば、今度新しくできる10人の委員で構成される郵政改革推進委員会、そこで意見を述べられて、もし不適当であれば、それに基づいて政府が勧告するという規定も入っておりますが、これはいわば、他の民間会社、実は私どもも民間会社だと思っておりますが、私ども以外の民間の金融機関、保険会社に比べて、いわば加重された規制がかかっているという意味でございます。
しかし、現行の法律に比べますと、現行の法律はすべて規制ということで、政府の認可が必要であったわけです。それが外れたという点では、私どもにとっては大変ありがたい改正であったと思っております。そういうことですので、十分にその新法の利点を生かして、経営改革に努めていきたいと思っております。
【記者】
上場の意思についてですが、大塚副大臣によると、上場するかしないかは会社側の意思であるようなご発言があったのですが、斎藤社長は上場されるおつもりがあるのか。あるいはそうではなくて、株式については一般企業に対して売却してもらったほうがいいとお考えなのか。それと、上場の時期について、現時点でこのくらいの時期までにはというようなメドをお持ちなのか。また、その場合、3社、持ち株会社とゆうちょ銀行、かんぽ生命では時差を設けたほうがよいのか、それらについてどうお考えなのかを教えてください。
【社長】
まだ具体的なプランがあるわけではございませんが、今度の改革法では、3つの会社が一緒になるわけですが、親会社というか、その会社については政府は3分の1にしようと。それから、子会社の金融と保険の会社についても、それぞれ株式を3分の1にするということが書いてございますので、その残りは売却するというのが、改革法の基本的な精神だと私は思っております。
もとより、政府が今のところ100%の株主ですから、政府と相談なしに、勝手に売却するわけには参りません。ただ、できるだけ早く、売却の方向に持っていきたいと考えています。その場合、売却の相手は、何も特定の企業であるわけではなくて、できれば一般公開という形で上場したいと思っております。
【記者】
時期についてはどうでしょうか。
【社長】
皆様ご承知のように、私どもの会社は、いろいろな意味で、まだ上場に適した環境にはないと思っております。いろんな不確定要因がございますので、これらの不確定要因を早く、確定要因に持っていって、早く中期の経営計画が立てられるような環境に持っていき、いわば市場に適した会社にしていくことがまず基本だろうと思います。それに持っていくまでにどれくらいの時間がかかるか、まだ確たる見通しはありません。できるだけ早く上場したいという希望は持っております。
【記者】
ゆうちょの預け入れ限度額や保険の加入限度額について、拡大という方向が閣議了解になっているわけですが、閣内からも一部異論が出たり、また、世の中には、とりわけ民間の金融機関のサイドから、これは民業圧迫であるという批判が出ていると思うのですが、政府が100%出資する時期のうちから、限度額が拡大になることについて、社長はどうお考えでしょうか。
【社長】
これについては、いろいろな事実誤認があると思うのです。例えば、先ほどのように、私どもの企業だけが、届出できるという発言があったり、ある評論家は、ゆうちょ銀行が預金保険機構に加入していないということを堂々と論文に書かれたり、そういう事実誤認が非常にあると思うのです。その1つとして、私どもの貯金残高を見ますと、平成11年から今年度に至る約10年間に、約80兆円減っているわけです。それから、その間、民間企業、金融機関の預金残高は約100兆増えてるわけです。これは何かというと、この10年間、10年余りの間に、預金残高の面で見ますと、私どもの1人負けということです。
ところが、この10年間というのは、実は皆様がおっしゃるように、平成11年から19年10月1日、これが民間会社の旗揚げ、今の民営会社がスタートした日、その日までの約8年から9年の間は政府保証そのものがついていたわけです。いわば、政府保証そのものがついていた期間に、郵便貯金は大幅に減少しているわけです。平成19年10月からは、制度上の政府保証がなくなり、他の民間機関と一緒になりました。それでも皆様が暗黙の政府保証がついているとおっしゃっていますが、その間も実は貯金は依然として減り続けているのです。
ということは、皆様がおっしゃるように、国家保証があるから貯金が増えるのだと、みんなが安心して預けているのだというのは、実は事実に反するわけです。国家保証があった間に80兆減っているわけです。ということを見ますと、政府保証があるということが貯金のメリットにはなっていないと私は考えております。
なぜこの間80兆円も減ったかというと、やはりいろいろな条件において、過去、郵便貯金は民間の金融機関の金利より上乗せして金利がついたとか、あるいは金利の収入には税金がかからなかったとか、実はさまざまな利点があったわけです。それが今や剥げ落ちて、貯金には民間の金融機関に比べて利点がないわけです。したがって、それを反映して、貯金残高はこれだけ減っているのだと思います。
したがって、今回1,000万円から2,000万円にしていただいたのは、そういう減った要因の一部として、限度額が1,000万円ということが不便であって、それによって貯金残高が減ったということがあるかもしれないということがあります。私どもにはもう政府保証は実際にはないわけですし、政府保証がある間も貯金は80兆円減っているわけですから、限度額をなくしてもらいたいというのが私どもの会社の希望でございます。全国各地で6回「利用者の声を聞く会」を開催しました。私も北海道に参りましたが、そこでは利用者の皆様方が一律に、もう限度額はやめてもらいたい、撤廃してくれと、面倒くさくて仕方がないとおっしゃる声が、ほぼ100%あったわけです。したがって、そういう利用者の声も含めて、限度額を撤廃していただいて、民間の金融機関と同一にしてもらいたいというのが私どもの希望であったわけでございます。
ただ、政府の方で、今、まさにあなたがおっしゃったような民間金融機関とのバランスも考慮されて2,000万円に決められたのだと思います。これは時間が経ってみないとわかりませんが、2,000万円に限度額がなったことによって、それほど貯金残高が増えるとは思っておりません。今までの、このすさまじい低下傾向が、ストップされればありがたいと思っており、これから貯金の残高が劇的に回復するということは、競争上の条件において有利な点が私どもには全くありませんから、それほどの期待はしていないところです。
ただ、1,000万円で預けるのが不便だった方々が2,000万円になれば、預けてくださるという希望がありますので、今までのような低下傾向が少しは下げ止まると考えています。少なくとも横ばいから、少しは上向いてくれれば大変ありがたいと思っている程度です。
また、政府は、これから、来年の10月、1年間の法律施行までの間に、民間の金融機関がご懸念になるような大量の資金移動が起こった場合には、貯金の限度額を下げるということまで、そういう意思を持っておられるわけですから、これから冷静に、来年の10月までの資金移動のあり方をウォッチしていただければいいのではないかと思います。私は、それほど著しい資金移動が起きるとは全く思っておりません。
【記者】
関連で質問させていただければと思いますが、その点について、まさしく社長がおっしゃられたように、商品性で見劣りがしてきたことは、このところの残高減少につながっているのだと思うのですが、そうすると、残高減少を抑えるために、商品性、金利面などで他の民間金融機関と競争はしないというのが、今の社長の経営方針だということですか。
【社長】
もとより私どもは一般の金融機関と思っておりますから、他の金融機関よりもすぐれた商品ができれば、そうしたいという希望は持っておりますけど、今の私どものゆうちょ銀行の状況から申しますと、そういう有利な商品を仕組むだけの余裕がないというのもまた事実ですので、当面そういうことは全く考えておりません。
したがって、来年の10月までの間に、貯金の残高が劇的に回復するということはないと思っております。
【記者】
新しい法律では、公共性、地域性を重視するというような面が盛り込まれていくと思うのですが、この点について、社長は、民間会社としては、足かせであるというような気持ちはないのでしょうか。
それから、ユニバーサルコストについて、会社間の消費税を軽減するとか、あるいはゼロにするといったことも取りざたされたり、あるいは大臣がはっきりそういうことを言われた時期もあったのですが、会社としてユニバーサルコストについて政府に負担を求めたいというようなお気持ちはあるのでしょうか。
【社長】
地域性、地方の振興というのが重要であるということについては、ゆうちょというのは全国至るところにあって、民間の、例えば銀行がないような地域にも郵便局はあるという意味で、その地域の振興というか、地方の活性化というか、それは私どものいわば商機というか、商売のチャンスになると思っていますので、これが私どもの足かせになるとは思っておりません。いずれにせよ、私どもは、ユニバーサルサービスを維持するということで、全国的に郵便とゆうちょと保険のネットワークをめぐらさなければならないわけですから、そのポジションをむしろ有利に利用して、地域振興というか、地方の再生ということを商機に結びつけるチャンスであると考えています。
それから、ユニバーサルサービスと申しますが、今の民営化の会社の全国の郵便局の機能というのは、実はユニバーサルサービスそのものでございまして、特に地方の小規模な郵便局の場合、その主な仕事はむしろ貯金と保険の業務にあるのです。というのは、配送事務は郵便事業会社がやっておりますから、郵便については、窓口で切手を売るとか、はがきを売るとかいうことでして、地方の小規模な郵便局は、実は仕事の過半は貯金とか保険の業務にあるということも事実なのです。
したがって、ユニバーサルサービスのコストというのは、それだけ従来に比べて特に増えるというような要素はそれほどないと私は思っておりますので、今までの経営をそのまま続けていけば足りるのではないかと思っております。
もちろん経営者としては、税金が安いのはありがたいわけですから、それは少なくとも会社間の取引の消費税については減免していただければありがたいと思っておりますが、どうしてもそれが必要だという切実な考えを持っているわけではありません。
【記者】
先ほど、経営の自由度をかなり得られたと思うというお話がありましたが、この自由度をもとに、新しく始めたいと思っておられる業務を順番に幾つか例示していただけないでしょうか。あるいは、今考えておられることは全部言ってくださってももちろん構いません。
【社長】
まだそこまで具体的に申し上げる段階には至っておりません。特に、今、私どもが、まず考えなければならないのは、いわゆる皆様がむしろ民業圧迫ということで、例えば地方の信用金庫とか信用組合とかの仕事を圧迫するというようなことはできるだけやってはならないと、私は個人的に思っております。
したがって、私どもが今考えておりますのは、そういう地方の金融機関と協調というか、相談をして、例えばその金融機関が必要とされております資本性の資金を供給するとか、あるいは、場合によっては債権の買い取りをするとか、そういう地方の金融機関ともできるだけ協調して、新しい仕事を探っていきたいと思います。
それから、原口大臣等がいろいろな提案をされておりますが、これらはすべて、そういう民業圧迫ということを避けつつ、何らかの新しい商売というのでしょうか、運用のタネがないかということでご提案していただいているので、大変ありがたいことでございますが、残念ながら、私どもには、まだそういうことの運用に至る、それだけの人材が育っておりません。
また、そういう運用をするには、当然のことながらリスク管理も必要ですが、そのリスク管理の能力もまだありません。したがって、そういう運用のテクニックとか、リスク管理の実際とか、そういうことが可能な人材を、これから早急に育てていくということも必要なわけです。そのためには、当然のことながら、民間の金融機関のお力も借りなければならない場合も出てくると思います。したがって、これから何をするかということについては、幸い、新規業務については、銀行法、保険業法の規制はありますが、あとは届出ということでできることになりましたので、これから一生懸命研究していきたいと思っておりますが、これをやったらよいのではないかというような具体的な構想がまだあるわけではございません。
【記者】
一般企業と申しますか、通常、民間企業ですと、年間の人員計画というのがありまして、その上で新入社員採用数であるとか、中途採用数ですとか、そういった枠を決めるわけですが、今回の話を聞いておりますと、そういった正規社員に採用される方の人数枠というのはお決めになっていないということなのでしょうか。それとも何か目算があるということなのでしょうか。
続けて2点目ですが、物にはいろんな見方がありまして、経営という1点で見れば、正規社員への転用、採用はコスト増につながるわけですが、このコストを、どういうふうに吸収されていくおつもりでいらっしゃるのでしょうか。吸収と申しましたのは、例えば、どういった部分で削減を今後図っていかれるおつもりなのか。もしくは郵便料金の値上げなど、収入増という面で何か考えておられるのか、その経営方針をお聞かせいただければと思います。
3点目ですが、最終的な規模にもよるのでしょうが、正社員が増えるわけですから、今現在いる正社員に対する影響をお伺いしたいと思うのですが、例えばベアであるとか、一時金であるとか、膨らむコストを分け合うということになるのであれば、どのような影響があるのか、また、ないのか、今の時点でのお考えをお聞かせ願えないでしょうか。
【社長】
この正規社員化については、まず申し上げておかなければならないのは、最終的に何人になるかということが、私どもも見当がつかないということでございます。したがいまして、今年度、社員採用のプロセスを踏みまして、11月には新しく正規社員になる方の人数が確定しますので、その時点で考えて、新規社員の採用数とか、あるいは、これら正規社員になる方の給与を含めて、どういう給与体系を築いていくのかとか、そういうことの検討を始めるということでございまして、11月までは実は何人ぐらい正社員になるのか見当がつきませんので、それまでは特に手を打たないということを考えています。ただ、正規社員化により正規社員が増えることは確実でございますので、そのためにいろいろな事業の合理化を図っていくという努力はしなければならないと思っております。
また、正規社員は確かに増えますが、それは、いわば従来の週30時間の労働をしていただいている方々の中から、非常にクオリティの高い方を採るということでございますから、そのことは会社にとって決してマイナスにならないだろうと思います。従来の正規社員で、当然のことながら定年、その他の理由で退職している方も大勢おられるわけですから、その方の代替になるという意味もあろうかと思います。
【記者】
先ほど、運用方法の拡大について、原口大臣からいろいろ提案をいただき、ありがたいというお言葉があったのですが、海外への投資については、運用ですとか、リスク管理の人材が育てば、選択肢としてはあり得るとお考えでしょうか。
【社長】
ありがたいと申したのは、そういうアイデアをいろいろな方々からいただく、それをありがたいと申しただけでございまして、原口大臣の言われる案をそのまま採用できるかどうかは、これから運用についてのリスクを慎重に検討して判断していかなければなりませんので、何も決めているわけではありません。
【記者】
仮にですが、海外のインフラ投資などを行う場合に、国が株主のままでは、以前、無駄を指摘された財投の復活ではないかという、懸念する声も出ているのですが、これについて社長はどのようにお考えでしょうか。
【社長】
それが私が前から申している事実誤認という1つの典型的な例でございまして、今、私どもの会社は、財投というものには全く関係がないわけです。これは制度上断ち切られていますので、財投復活というのは論理的にあり得ないわけです。
海外投資について、例えば、仮に政府が100%保証するというのであれば、それは当然のことながら、私どもは応募することができますし、民間の金融機関も応募することができるわけです。したがって、私どもが今後とるのは、すべてリスクを判断して、民間の金融機関と同じように、それが融資、運用形態として成立するものであれば、それをやらせていただくということになるにすぎないので、財政投融資の復活ということは、論理的にはあり得ないと思います。
【記者】
ざっくりとでいいんですが、ゆうちょ銀行の将来のビジネスモデルについてどうお考えなのか。現在のような農林中金、投資銀行、メガバンクみたいな普通銀行、それとも地域に根差すリテールバンク、ざっくりした中での目標を教えてください。
【社長】
今まで、先人が苦労してモデルを築こうとしてこられましたが、まだ確たるモデルはなくて、結果として8割の国債運用になっているわけです。今度、改革法が成立しましたら、私どもは総力を挙げて、どういう運用モデルをつくるかということを検討していかなければなりませんが、今はまだその段階まで至っていません。ただ、私が期待しておりますのは、今度、郵政改革推進委員会というのができまして、そこに10人の識者を集めて、私どもの新規事業の審査というか、事業審査のみならず、金融業務全般について、ご意見を伺うことができますので、その委員会の方々と議論して、新しい運用モデルをつくれればありがたいと思っておりますが、今現在、確たる運用モデルがあるわけではございません。
【社長】
よろしいですか。どうもありがとうございました。