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2009年1月29日 木曜日 日本郵政株式会社 社長会見の内容

2009年1月29日 木曜日 日本郵政株式会社 社長会見の内容

案件なし

【社長】
冒頭に私から2点、お話をさせていただきたいと思います。
まず、かんぽの宿等の譲渡に関してでありますが、皆さんご存じのとおり、かんぽの宿をオリックス不動産に一括譲渡する当社の方針に対しまして、鳩山総務大臣から、1、なぜ譲渡先がオリックス不動産なのか。2、なぜ一括、全国一括なのか。3、なぜこの時期なのかという3つの疑問が投げかけられました。
私どもからは、大臣より示されました疑問点やご指摘のあった事項につきまして、事実関係や当社の考え方をご説明させていただき、14日には私も直接鳩山大臣をお訪ねして、ご説明をさせていただきました。
また、その後、大臣からいただきましたご質問に対しましても、誠意を持って回答させていただきましたが、いまだ大臣のご理解をいただくまでには至っておりません。
このような状況でございますので、私どもとしましては、大臣からのご指摘を真摯に受けとめまして、専門家から成る検討委員会を設置いたしまして、このオリックス不動産あて譲渡案はひとまず横におきまして、この問題を原点に立ち戻って、再度検討してまいる所存でございます。で、現在は、委員会の人選等、準備作業を行っている段階でございますが、できるだけ速やかに検討委員会を立ち上げたいと考えております。
次に、昨日発表しました役員人事、具体的には日本郵政の副社長人事に関してでありますが、これは民営化から1年余りが経過しまして、民営化当初に起きておりました業務の輻輳なども収束しておりますので、今後はグループの一体的な経営をより一層強化するために各社の社長、COOでありますが、この社長を持株会社である日本郵政の執行役副社長に就任をしていただこうというものであります。業務執行の最高責任者、すなわちCOOであります社長にグループ全体の観点を踏まえながら、各社の業務執行を行ってもらうということを期待しているわけであります。
私からは以上でございます。
【幹事社記者】
幹事社から幾つかお伺いします。
かんぽの宿なんですけれども、先ほどのご説明で譲渡案を横に置きという表現がありましたけれども、これは白紙撤回するという意味なのか、あるいは基本方針は変わらないという意味なのか、ご説明をお願いします。
【社長】
白紙撤回ということではございません。基本方針は変わらないのかという点も少し違います。原点に立ち返って、この案も含めてですね、検討をしてもらうと。これだけを検討してもらうということではなくて、かんぽの宿等の譲渡のあり方、あるいはその他不動産の譲渡のあり方ということについて、公認会計士、それから不動産鑑定士、弁護士、それから企業価値評価の専門家等の先生方にお願いして検討委員会を立ち上げ、検討していただこうと、こういうことであります。
【幹事社記者】
一般的な譲渡のルールをつくるということと、そのルールに照らして、今回のが、妥当かどうかというのは改めて判断するということですか。
【社長】
ええ。そういう検証もやっていただこうと思っていますが。オリックス不動産さんのほうで、どういうふうにお考えになるかですね、これは何も話をいたしておりませんので、オリックス不動産さんの考え方によって、この検討委員会は変わらないわけですけれども、その譲渡案の成り行きについては今何とも申し上げません。
【幹事社記者】
優先的な交渉権は依然オリックスにあるということ......。
【社長】
ま、それは、これまでの約束ですからね。
【幹事社記者】
各社、お願いします。
【記者】
1月14日に鳩山大臣とお会いになった際にですね、西川社長からどのような発言をされて、大臣はそれに対して、どうお答えになられたのか教えてください。
【社長】
今申しましたですね、疑問点につきまして、縷々ご説明をいたしました。大臣からは特段その場では、それに対してコメントはありませんでした。
【記者】
もう1問、お願いします。今回、FAにメリルリンチを利用されたわけですが、そのことも1つ、議論の的になっていますが、FAの仕事としては、完全に終わった形になっていると思うのですが、成功報酬は、これは払う予定になっているのでしょうか。教えてください。
【社長】
これは調整中です。
【記者】
調整中といいますと。
【社長】
どうするかということは、まだわかりません。
【記者】
まだ現時点では払っていないということでいいですか。
【社長】
はい、払っていません。成功していませんから。
【記者】
オリックス以外の選択肢もあり得るというようなお話かなと思うのですが、何か随分今までと比べるとトーンが変わったような気がするのですが、そのあたりはどういうふうな。
【社長】
いや、それはやはり鳩山総務大臣のご認可が得られない限りですね、実現できないわけですから、我々もそれを踏まえてですね、対応を考えていかなければならないということですね。かんぽの宿をこのまま5年を、民営化後5年を超えてですね、持ち続けるということは現行法においては不可能なわけですから、また選択肢を広げながらですね、譲渡等の方法を考えていかなきゃならないということですね。
【記者】
ということは一括ではなく、個別もあり得ると、そういうことですか。
【社長】
これは検討委員会の先生方のご意見、見方というものも受けた上でですね、示していただいた上で、考えるということですね。
【記者】
検討委員会の期限というのはどれぐらいが目途というふうに。
【社長】
これはまだ委員の人選も終わっておりませんし、お集まりをいただいてですね、どれくらいかかるものかということを先生方のご意見を聞いてみないことには、こちらから期限を切ると、なるべく早くお願いしますということは申し上げるわけですけれども、具体的にいつまでにということを申し上げるわけにもまいらないということです。
【記者】
当初予定だと4月1日がクロージングだったと思うのですけども。
【社長】
このオリックスへの譲渡案ですね、オリックス不動産への。
【記者】
そういうのは今回の検討委員会の期限の目安にはなるのでしょうか。
【社長】
ずれ込む可能性もなきにしもあらずということかと思います。
いずれにしてもですね、大臣のご認可を得られなければ、実現できないわけですから、大臣のご納得をいただける道をですね、見いだしていかなきゃいけないと、こういうことですね。
【記者】
その納得を得るための方法として、今おっしゃった原点から、譲渡の方法を含めて、見直すというか、やり直すというやり方と、今回の入札の方法が正当なものであったということで説明をするところもあるかと思うのですけれども、で、情報開示の不徹底さが1つ、今回の問題の1つの要因にはあると思うのですけれども、で、総務省なんかも、日本郵政の積極的な情報開示を求めているみたいなことも言っていますし、そのあたり、今回の入札について、その疑念を晴らすという方向は考えられませんか。
【社長】
私は直接、総務省との間で、本件について説明をし、そして、総務省の考え方を聞いてきたということではありませんので。しかし、必要なことはですね、担当者のほうから、折にふれ、節目節目でですね、きちんとご説明してきたというふうに聞いておりますので、どこが足りなかったのか、どの辺の、どの部分が開示を徹底していなかったのか、この辺のところも、よく検証してみないとわかりません。
【記者】
それは検討委員会の仕事ではないと。
【社長】
ま、ないでしょうね。
【記者】
今回の入札で、何らかの不正があったとか、そういうことではないと。それは断言していただけますか。
【社長】
それは断言しますよ。公明正大な手続きに従って、取り運んできているわけですから、そんな、疑いを持たれるようなことはですね、全く私はないと見ています。
【記者】
なのにですね、鳩山さんは、その取得費用に2,400億円かかったと。
それに対して。取得費用に、2,400億円。
【社長】
何の取得費用ですか。
【記者】
かんぽの宿など、全70施設の取得費用に。建設費やら。
【社長】
2,400億円ですか。
【記者】
そうそう、はい。かかっているのに109億円で売るということがおかしいというふうに言っているのですけど、この大臣の主張については、どういうふうにお考えになりますか。
【社長】
これはね、中間を、飛ばしたといいますか、中間段階の説明がですね、あるいは不十分だったのかもしれません。
対象物件の取得原価というのは、時期がそれぞれ違うわけですけれども、累計すると約2,400億円になるということです。そして、郵政公社、日本郵政公社が、平成15年4月に承継した時の帳簿価格、これは1,726億円です。で、この間にですね、償却をしたり、こういったものがあって1,700億円。700億円ぐらい減少していると、そういうことですね。
次にですね、郵政公社が、これは2005年の、平成17年9月ですね、の中間決算から、不動産鑑定、不動産の鑑定評価等を参考にして、減損会計というものを実施し始めたわけです。で、かんぽの宿等につきましてもですね、需要価値に見合った評価をしてきたと、こういうことでありまして、公社時代の、この減損損失の累計額が、1,363億円になっているわけです。で、平成19年9月30日、日本郵政公社の閉鎖時ですね、の帳簿価額が129億円と、こういうことになっています。この間にですね、さらに、減価償却とか、その他の除却とか、こういったことがあって129億円になっていると、こういうことなんですね。
で、これをですね、さらに総務大臣の任命された評価委員による承継財産評価委員会においてですね、評価をされたものがですね、126億円です。承継時簿価ですね、10月1日、これが126億円ということです。
したがって、日本郵政グループとしてはですね、この126億円を承継して、今、それをどうするかということを考えておると、こういうことなんですね。もちろん売却もあるわけですが、今申し上げたのは、対象になっている物件だけの動きですから。それでごらんになっていただいてもですね、減損であるとか減価償却であるとかいうことで、この帳簿価格が減少してきておると、しかしその最後のところはですね、この評価委員会の評価も、ほぼそれに匹敵する評価をされているということなんですね。
【記者】
そうすると、オリックスの買い値も、極めて適正な価格だったという主張になりますよね。
【社長】
これはですね、オリックス、今度のオリックスの109億円、109億円ということが言われているわけですけれども、これは不動産価格だけを言っているのではなくて、かんぽの宿等の事業をですね、譲渡すると、一切を譲渡すると、従業員も含めてですね、譲渡するということでありまして、この、想定有形固定資産はですね、123億円なんです。その一方ですね、想定負債というものがあるわけでありまして、それらをですね、差し引いて純資産というものを出しているわけで、純資産は93億円なんです、純資産は。この93億円に対して、オリックスさんが109億円という入札をされたと、こういうことなんですね。
【記者】
だから、その価格は極めて適正だったというふうなお考えで。
【社長】
適正と申しますか、純資産価額は上回っておると。16億円程度上回っておるということでありましてね。
【記者】
それに難をつけてくる大臣に対するお考えはどうですかというふうに聞いているのですけど。
【社長】
いや、ここのところが、なかなかよく理解され......。
【記者】
理解されていないわけですか。
【社長】
されないと......。
【記者】
えっ、理解してくれない......。
【社長】
ま、1つ1つの物件を見ればですね、そんなものではないということであるとか、あるいは、一括譲渡ではなくて、個別に譲渡すればですね、買い手はあると。そして、もっと高く売れるのではないかというお考え方とか、ま、オリックスの適正性とかですね、こういうところなんですね。
【記者】
個別にいったら、もっと高く売れるのですか。
【社長】
これは従業員の問題もありますのでね、従業員の雇用を確保していくと、これも、正社員が640名、それから、非常勤の方が2,600名、こういう方々のですね、雇用の確保ということもありますし、かんぽの宿にはですね、公社時代から、これ、もっと前からかもわかりませんが、簡保事業団の時代からかもわかりませんが、現在、約120万人の会員組織があるわけですね、で、それを、その方々が全国どこでも自由に行けると、こういう、かんぽの宿が全国に配置されておるということと会員組織ということで、1つのネットワークができていると、こういうことでありますので、そのネットワークの価値ということもですね、考えなければいけないということだと思います。
それに加えてですね、これは私も素人で、確たることは申し上げられませんけれども、この1つ1つの、各地のかんぽの宿をですね、1件1件譲渡していくということになると、果たして、どれだけのコストがかかるか、それに必要な人員が確保できるかと、ま、どれだけ時間がかかるかということ、こういったことを考えると、なかなか個別譲渡ということは、ネットワーク性ということも含めて、あるいは雇用の確保ということも含めてですね、不利ではないかなという思いはあります。
こういったことは、1つ1つを見てまいりますと、感覚的には、これはすばらしいとか、これはすごいなとか、こういうことは常に出るのですけれども、事業として一塊と考えた場合はですね、またちょっと判断も違ってくるという面があることは事実ですね。
【記者】
すいません、西川さんのお考えとしては、あくまで、オリックス、優先順位としてはオリックス不動産への売却というのを、やっぱり念頭に置かれているという......。
【社長】
いやいや、ま、これについてはですね、冒頭、触れておりますようにですね、これ、大臣のご認可が得られない以上はですね、ご理解を得て、ご認可が得られない以上は、いくら優先順位が高いといっても、意味がないわけです。実現性がないわけですから。やはり大臣に、ご納得のいただけるプランでないとですね、我々としては、いけないだろうと思っています。
【記者】
ということは、白紙に戻すという......。
【社長】
まだ、しかし、そういう段階ではありませんのでね、引き続き努力はしてまいります。直接、オリックス案をどうこう評価していただくことだけをねらいにしているわけじゃないのだけれども、検討委員会も、しっかりとご議論をいただいて、そして、我々も、その意見を踏まえながら、改めて判断していくということ、しかし、これも、くどいようですけれども、大臣が「うん」と言っていただかない以上は、その案はもうだめですから、いずれにしても、大臣のご納得のいただけるやり方や、そのプランでないと実現できないということです。
【記者】
そうしますとですね、適正な手続きを踏んでやってきても、最後は大臣がひっくり返してしまう。政治の思惑によってですね、何て言うのでしょう、左右されてしまうとなると、経営なんてできないのじゃないですか。
【社長】
これ、必ずしも政治の思惑ということではないだろうと思います。もちろん経済合理性というものも入っての話でありますから。どこから見ても問題がないというものを見いだしていかなければならないということです。
【記者】
オリックスとは、何かその違約金とか、そういうのは発生しないのですか。
【社長】
わかりません。
【記者】
スキーム自体を見直すことになると、やっぱり、まだ、かなり時間がかかってしまって、上場時期に対する影響とかですね、出てくるかと思うのですけど。
【社長】
それはあるでしょうけど、もうそんなこと言っていられないですね。一方、これを持ち続けると、長く持ち続けると、累積損失が大きくなってまいりますので、経営改善の努力をしたとしてもですね、年間30億とか40億とかいう赤字が出ればですね、日本郵政グループとしても、決して無視できる金額ではありません。その重みもありますから、我々としては、できるだけ早く決着をつけたいという願いには変わりありません。
【記者】
そうしますと、時間が長引くことによってですね、今、営業しているかんぽの宿を例えば閉鎖しなければならないとかという、そういう局面というのは考えられますでしょうか。
【社長】
一々、私、すべてのかんぽの宿について、詳細聞いたわけでもありませんので、今、何とも申せませんが、今後の推移いかんで、そういったケースも出ないとは限らないですね。
【社員】
大体、一巡されたと思うのですけど、まだ何かございますか。
【記者】
すいません、公社時代にはですね、かんぽの宿の営業収支、減価償却を除いた数字を出されていたようですけれども、今、民営化になって出ていないようなのですが、この減価償却前のベースで言うと、どれぐらいの施設が黒字を確保していて、トータルでどれぐらいの経営状況になっているのでしょうか。
【社員】
それは、すみません、後で答えますので。答えられるものについては答えるようにしていきたいと思います。
【記者】
すみません。この問題、12月、年末のときには、順調に発表できる見込みということで指針を示していらっしゃいましたが、今月に入って、かなり問題が大きくなってきましたが、これについて率直に、社長はどのように受けとめていらっしゃいますでしょうか。
【社長】
12月と1月とで何も変わっていませんよ。
【記者】
また、かんぽの宿の件なんですけど、これだけ資産を投入して建てたかんぽの宿が93億円になってしまったことというのは、どこに責任、原因があるのでしょうか。
【社長】
これ、1つ1つですね、しっかりと検証してみないと、一概には言えないと思いますね。そもそもですね、今あるかんぽの宿が、本来、そういう場所にですね、その場所につくるべきではなかったと、立地を間違えたということもあるでしょうし、あるいはまたお金をかけ過ぎたということもあるでしょうし、これは、さまざまだろうと思います。いろいろ、1つ1つですね、どうなんだということを、原点に立ち返ってですね、1つ1つ検証してみないと、これはもう十把一からげにですね、ああだこうだということは言えないだろうと思いますね。
ただ、取得原価を見ると、投資がいかにも大きいなという、瞬間的に、直観的に考えてですね、投資がいかにも大きいなと、どういう考え方で、そういう大きな投資が行われたのかということが、私は、よく理解できないというところはあります。
【幹事社記者】
ありがとうございました。
【社長】
どうもありがとうございました。