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2008年12月25日 木曜日 日本郵政株式会社 社長会見の内容

2008年12月25日 木曜日 日本郵政株式会社 社長会見の内容

案件なし

【社長】
会見に先立ちまして、二、三お話をさせていただきたいと思います。
まず、先月末に発覚いたしました「鉄道コンテナの残留事故」につきましては、お客さまに大変ご迷惑をおかけしたことを改めて深くおわび申し上げます。
また、昨日、郵便事業会社から「心身障害者用低料第3種郵便物の不適正利用について」発表をさせていただきましたが、鉄道コンテナの残留事故も含め、私はチェック体制の甘さ、そして追跡システムなどの遅れということを痛感いたしております。この点の早急な是正等を通じて、サービスの品質向上に一層努めて、そしてお客さまからの信頼に応えてまいりたいと考えております。
次に、年賀状の関係でありますが、今年は年賀状用区分機を88台増やすなど、さらに体制を強化しております。皆様からお預かりした年賀状をできるだけ多く元旦にお届けするために全職員が全力を挙げて取り組んでいるところでございます。
また、全銀システムへの接続につきまして、昨日、全銀協の内国為替運営機構様より、接続日を来年1月5日にすることにつきまして正式にご通知をいただきました。同機構をはじめとする関係者の皆様方のご尽力に対しまして、深く感謝を申し上げる次第でございます。これにより、かねてお客さまから強いご要望をいただいておりました、ゆうちょ銀行と他の金融機関との間での振込が可能になり、利便性が一層向上いたします。スムーズにサービスを開始し、お客さまが混乱なくご利用いただけるよう、この年末年始も万全の体制で臨んでまいります。
最後になりましたが、今年一年、日本郵政グループのいろいろなサービスをご利用いただきましたお客さまにこの場を借りまして感謝を申し上げますとともに、来年も引き続き変わらぬご愛顧をいただきますようお願いを申し上げます。
お客さま、そしてこの場にお越しいただいております記者の皆様も、どうぞよいお年をお迎えください。
私からは以上です。
【幹事社記者】
質問を3点させていただきたいと思います。
1問目ですが、1年が終わりまして、年賀状の受付も今、大詰めを迎えているわけですが、今年1年を振り返っての感想と来年に向けた抱負についてお伺いします。
【社長】
総括的に申しますと、今年1年は民営化元年として、まだまだ満足すべきものではありませんが、業績面そしてお客さまサービス面でもまずまずの結果が残せたのではないかと思っています。業績面では、19年度下期に純利益2,700億円、20年度上期に純利益2,200億円と、1年で約5,000億円の純利益を確保することができました。ただ、この秋以降、金融情勢が急激に変化いたしまして、実体経済も悪化してきております。今後の経営にとっては、予断を許さない状況と考えています。一層気を引き締めてやっていかなければならないと思っています。
お客さまサービス面では、まず、郵便局ネットワークの維持、とりわけ簡易局の一時閉鎖対策を強化してまいりました。その結果、一方においては一時閉鎖となる簡易局がかなり出たわけでございますが、一方において再開努力が実りまして、再開局数も相当数に達し、結果としては一時閉鎖局を若干ながら減少させることができました。
また、民営化後、分社化の結果として、ご不便をおかけしている問題、例えば、郵便の集配担当社員が配達途上で貯金のお預かり等ができなくなったことであるとか、あるいは郵便局が車で小包の集荷ができなくなったこと等の問題ですが、こういった問題の解決に向けた取り組みも進んできています。これらの問題につきましては、引き続き全力で取り組んでいきたいと考えています。
また、民営化のメリットをお客さまに早期に還元するため、新商品、新サービスに積極的に取り組んでまいりました。今年はJP BANKカード、住宅ローン等個人ローンの媒介、それから新入院特約「その日から」などの販売を開始することができました。
さらに、新規事業として、東京中央郵便局、大阪中央郵便局の再整備などの不動産事業に着手することができました。これらについては、まだスタートしたばかりであり、実績は十分には出ていませんが、将来的には収益の柱になるよう育てていきたいと考えています。
来年は、日本郵政グループにとって実質的に2年目となるわけですが、株式上場に向けた基盤固めの年と考えています。早期の上場に向けて、限られた準備期間の中でさらなる企業基盤の強化が必要となるところです。特に株式上場企業にふさわしい収益力、そして内部管理態勢を実現することが来年の最重要課題であると考えています。
まずこの収益力の強化については、グループ各社それぞれが民間企業として他の競合企業との間の収益指標について、見劣りのしない水準を身につけていくことが重要だと考えています。このために営業の強化、そして費用構造の改善、効率化に重点的に取り組んでいきたいと考えています。
また、同時に、ITインフラの整備や人事制度の改革を進め、総合的に企業基盤を強化していきたいと考えています。
また、内部管理態勢の強化については、研修ですとか、あるいは監査等を通じて、かなりの改善を見てきたと考えていますが、まだ未だに重大な事故や事務ミスが発生するなど、まだまだ十分なものとは言えないのが現状です。
お客さまからさらなる信頼を得ていくために、そして株式上場を見据えて、投資家からの信任を得ていくためにも、民間企業として恥ずかしくないレベルに早く引き上げていかなければならないと考えているところです。
【幹事社記者】
かんぽの宿の譲渡交渉の決着が延びているようですが、その背景及び現在の交渉状況について、御社としての姿勢をお伺いします。
【社長】
かんぽの宿については、現在、合わせて71施設があるわけですが、この譲渡または廃止の具体的な方法について検討した結果、施設のみではなく、その運営を行なう事業部門全体を一括して譲渡することとしました。今年の4月初めから5月中旬にかけ、譲渡先候補を公募したところ、多数の企業等から応募があり、これまで譲渡先の選定作業を行なってきたところです。選定作業は、ただいま最終段階に入っており、間もなく正式決定することができると思いますが、決定したところできちんと発表させていただく考えです。
【幹事社記者】
先ほど、冒頭の社長のご挨拶にもございましたが、JR貨物の梅田駅で発生しました鉄道コンテナ便の事故についてお伺いします。
郵便事業会社が今後の対策について、もう既に発表されていますが、この事故に関する西川社長のご見解を改めてお伺いしたいということと、その打ち出された郵便事業会社の対応策について、コンプライアンスとか情報開示の面で十分だったとご評価されているのでしょうか。
【社長】
今回の事故に対して、12月12日に総務省及び国土交通省に本件事故の調査状況、原因分析、再発防止策等について報告書を提出しました。12月15日に総務省から再発防止等のために必要な対策を講ずるとともに、適正な業務体制の確立と定着、さらには事故リスクが発生した場合の迅速かつ適切な対応のために必要な対策を講じるよう命令を受けたところです。
お客さまからお預かりした大切な郵便物で、二度とこのような事故を起こしてはならず、再発防止策について早急に全力で取り組み、お客さまの信頼回復に努めるよう、私からも郵便事業会社に対し厳しく指示したところです。
郵便事業会社の対応については、事態をきちんと把握して、一応の対応をしてきたと思いますが、冒頭触れましたように、やはりここにおいてもチェックの甘さというものがあると思います。新越谷支店から新大阪支店にコンテナが既定便として3個あるが、今回はその内の1個が残留したということで、その間に委託業者が2社入ったということではありますが、最終的な責任は郵便事業会社にあるわけですから、発送した支店から到着する支店との間の情報連絡を、これは簡単にできるものですから、それをきちんとやっていれば、コンテナを1個出した、1個をきちんと受け取ったということが確認できるわけですが、これさえできていない。非常にプリミティブなものができていないということは非常に残念なことです。
また、さらに言えば、追跡システムというものについても、当然充実していかなければならない。もちろん郵便事業会社も、もともとそういったものを課題として認識していて、我々としてもやらなければならないという問題意識は持っているが、まだできていない、あるいは、手をつけられていないという状況です。
JR貨物はRFIDというシステムを使って、ポイント、ポイントにおいて無線で情報発信しようということですから、それを受けるシステムを持っていれば、郵便事業会社においてもポイント、ポイントにおいて、どこに郵便事業会社のコンテナがあるかということが把握できるということです。そういうことがやられていないということは、非常に残念なことです。やはりこういうところは、早急に改善していかなければならないことだと思います。
情報開示等の対応については、一部、若干誤解されている面があったかと思いますが、郵便事業会社として対応すべきところは、きちんと対応してきたと思います。社内的な処分も一応行なったということでして、あとは具体的な改善措置を講じていくことがやはり大きな課題だと思います。
【幹事社記者】
幹事社から以上です。各社どうぞ。
【記者】
今の質問に関連しますが、チェック体制とか、システムはもちろんですが、それ以前の問題として、社長はよく、不作為の罪という言葉をお使いになりますが、例えば、昨日の低料郵便については、十何万通持ち込まれても誰もおかしいと思わないとか、そういう何か意識面でだいぶ問題があったのではないかという気がするのですが、そこをどう見ていらっしゃるのかをお聞きします。民営化から1年経ちますが、変わってきているのか、あるいは変わらぬままなのか、そのお考えをお聞かせください。
【社長】
残留コンテナの問題については、今も申しましたように、出したところから受けるところへ連絡し、受けたところから出したところへ着いたか着かないかという連絡をして、そこで確認するということは、誰が考えても当たり前のことです。難しいチェックシステムをつくるまでもないことです。個人間においても、送ったよ、着いたよということは当然やるわけですから。そういうところが、間に委託業者が入っていることで、委託業者の問題ととらえている面もあるように私は感じますが、先ほども申しましたように、これは郵便事業会社が全責任を持っているわけです。委託業者の問題は委託業者の問題として、その責任追及は別途やればよいことであり、それよりも前にきちんと郵便物が支店間で授受されているかを確認することは、イロハのイです。こういうことが当然のこととして行なわれていなかった、今までやられていなかったということですが、これは非常に残念なことです。ちょっと考えられないところが残念ながらあります。
【記者】
それは、どうしたらいいのでしょうか。
【社長】
それはもう、1つ1つどこに穴があるのか、どこに問題があるのかと、こういうことを洗い出して、それを1つ1つ改善に向けて変えていく以外ないでしょう。この低料3種郵便の問題についても、私は同じだと思います。
【記者】
また、まずいことに、そのコンテナの中に「ねんきん特別便」という、大変今、国民の関心がある物が入っていたわけです。それと企業向けのDMが一緒のコンテナで送られていた。我々もびっくりしたのですが、それを一緒に運んでいるのかと感じたのですが、その点について、どうお考えでしょうか。
【社長】
JRのコンテナで運ぶわけですが、内容物についてはきちんと把握しているわけですから、コンテナが、出した郵便局から送られた先にきちんと着けば、何も問題ないわけです。
たまたま、「ねんきん特別便」については、送達に少し余裕をいただいたということで、コンテナ便を使ったという事情もあったようです。
どの郵便物についても、これはあまり気を使わなくていいとか、これは大事にしなければいけないとか、そのような区別はないわけですから、混載しているから問題だということではなく、きちんとすべてお届けしなければならないというものです。
さらに言えば、「ねんきん特別便」については、この特別便を本来受け取るべき、年金受給者のお客さまから着かないと、「うちはどうなっているんだ」ということを不着申告の形で郵便の支店に問い合わせがあり、それを社会保険庁さまから受け付けた銀座支店に集めていた。ここで相当な件数になっているわけです。だから、そういう不着申告があるということをきちんと把握して、これはどこから出ているんだということを追求していけばわかるわけです。
そういう不着申告の状況などからしても、その残留がもっと早く発見できたのではないかと思います。ですから不着申告があるという事実も重要なこととして受けとめ、そして追跡することが、当然にして行なわれなければならないことですが、どこかで止まってしまったということでして、そういう点も含め、郵便サービスを提供することの責任というものを強く認識して対応していかなければならないと思います。
これはグループ全体の問題として、考えていかなければならない問題だと思います。
【記者】
来年の1月5日に全銀システムに接続するということですが、現時点で不安な要素とかは、特にないのでしょうか。確実に実施できるとお考えでしょうか。
【社長】
1月1日から3日までATMを止めて、システムの移植作業を行なうわけですが、その移植作業やその間に行なうテストが順調にいくかどうかが、最後の関門になってくるかと思います。
これまで、お客さまへの周知、特にここ数ヶ月は、他の金融機関からの振り込みを受けるために必要な振込用口座番号等の通帳への印字に、大変力を入れてまいりました。これからも引き続き実施していきますが、これまでに通帳印字についてもトータルで約2,000万件できておりますので、周知も相当に進んでいると思いますし、まず混乱が起きるようなことは考えられないと思います。
ただ、ゆうちょ銀行からお振り込みされる際に現金でのお取り扱いができないということをテレビコマーシャル等を使ってお知らせしてきておりますが、この辺が本当に浸透しているかどうかを心配しております。アンケート調査等の結果を見ると、認知していただいている方が多いわけですが、せっかく現金で振り込みに来たけれど、取り扱ってもらえないということからクレームになるとか、店頭でのトラブルといったようなことが予想されないわけではないので、その点が若干心配なところです。
【記者】
システムがダウンしてしまうような可能性はないでしょうか。
【社長】
そういうことは、まず考えられないと思っています。しかし、処理が非常に集中し、キャパシティーをオーバーしてしまうようなことが可能性としてはないわけではありませんが、そのような事態もまず考えられませんので、何とか順調にスタートしてくれるのではないかと思っています。
【記者】
年賀状の販売状況についてですが、去年と比べて、今年の売れ行きはいかがでしょうか。
また、一部の企業で購入枚数を減らすなど不況の影響も出ているようですが、社長はどのようにご覧になっていますでしょうか。
【社長】
22日現在では総販売枚数が32億4,000万枚でして、前年同期までの累計と比べますと100.2%ということで、大体前年並みというところです。
そして、法人関係で個別には、年賀状の出状を減らしたとか、購入額を減らしたといったような事例は聞いてはおりますが、全体としては、現状のところ横ばい、前年並みという状況です。
【記者】
年賀状については、できるだけ元旦に届けるよう努力なさるというお話がありますが、販売は前年と比べ横ばいという状況です。ただ、今年は曜日の並びについて見ると週末が27日、28日になってしまっており、25日までの投函を求めてこられて、直近の数字は承知していないんですけれども、それがなかなか厳しい状況ではないかと思うのですが、この差し出し状況と元旦の配達状況についてはいかがでしょうか。
【社長】
24日までの引き受け状況は、昨年に比較しまして100.7%ということですが、問題は25日、26日あたり、今日、明日というところです。昨年の場合は、3連休が24日までありました。3連休後の25日の差し出し、引き受けが非常に多かったのです。25日、26日が火曜、水曜だったのですが、ここが非常に多かったのですが、今年はここのところがどうなるかという大きな勝負どころでして、今日から、あと数日がどうなるかというところが元旦配達にかなり影響してくると思います。
【記者】
足元の景況感を反映して、幅広い業種で雇用調整の動きが広がっています。日本郵政グループとしての当面の雇用に関する考え方をお聞かせください。
【社長】
現在の状況からすると、私どもは各社とも、非常勤の方を含めて目立った余剰があるという状況ではありません。
そういう状況の中でも退職される方も数多いわけですが、特に非常勤の方は退職される方も多いわけで、その穴埋めと申しますか、減少した分は新たな雇用で埋めていかないと、郵便事業、あるいは郵便局ともに、オペレーションや顧客対応がスムーズに行なえません。したがって、特に、今削減をしようという計画はありません。
【記者】
それに関連して、年末年始の年賀状のシーズンに全国各地でアルバイト、パートを雇っていると思うのですが、その応募状況は例年に比べて何か変化しているというような動きはあるのでしょうか。
【社長】
年末アルバイトの確保率、12月15日現在の必要人員に対する応募が98%です。前年度同期が87%という状況ですから、今年は10ポイント程度確保率が上がっているという状況です。
昨年度は民営・分社化の影響もありまして、アルバイト確保の準備が若干遅れましたので、この12月中頃では確保率がやや低かったという事情もありました。その反省を踏まえまして、今年は早めの取り組みを行ないました。その結果、昨年よりも確保率が上がっているのだと思います。
【記者】
今年、かんぽ生命の方では、新商品の発売とともに、日本生命との業務提携というのが大きな話題だったと思いますが、その後の進捗状況などを教えていただけますでしょうか。
【社長】
ご承知のように、今年の2月22日に日本生命さんとの間で、一部業務の提携を発表しまして、その後、商品開発、そして事務・システムの構築等の面で協力関係を強めてきた、加速してきたというところですが、特に商品内容については、平成21年度中の第三分野商品、具体的にはがん保険ですが、これの販売に向けて、今、マーケティングも含めて、精力的に検討を進めているところでして、人材面も含め、合意した領域については、積極的に実施に移しているところです。
なお、この入院保険金等の日額支給ということを基本とするがん保険の商品特性上、入院保険金等の総額に制限を加えることはできないため、がん保険の提供に当たって、現行の限度額管理の枠組みの一部修正が、どうしても必要だという状況でして、そのために早期に関係機関へ政令改正を要望すべく準備しているところです。
日生さんとの状況は以上です。
【幹事社記者】
ありがとうございました。
【社長】
どうもありがとうございました。