平成21年3月期日本郵政グループ中間決算の概要
- 【社長】
- 平成20年度中間決算がまとまりましたので、皆様にご報告いたします。お手元に資料をお配りさせていただいていると思いますが、ご覧になりながらお聞きいただきたいと思います。
民営化当初の半年は、システム面や業務輻輳によって追加的に発生した人件費、そして決算上では、税の負担など、会社発足当初の特殊要因も含んでおりましたが、業務面やシステム面でも落ちつきを取り戻し、ようやくこの上期は平常時の状態に戻ったと考えております。
営業面について申しますと、これまで郵便局フェアの実施などにより、郵便局会社と3事業会社との連携をさらに強化し、グループ全体の営業力強化を図りながら、郵便局の現場力が最大限発揮できるようグループを挙げて取り組んできたところであります。これに応えて努力された全社員に謝意を表する次第です。
これらの結果、グループ連結合計では、中間純利益2,224億円を計上することができました。前下半期に比べますと、純利益において減益になっていますが、これは郵便事業会社において、この上期は年賀状販売の裏シーズンということによるものです。
民営化して1年間を経過したことになりますが、昨年度のグループ最終利益、下半期ですが2,772億と当中間期の利益を通算しますと、民営化後の1年間の通算利益は4,997億円、約5,000億ということになります。
各社ごとの詳細は、経理担当の藤本常務から説明いたしますが、私からは、各社の概況を簡単に申し上げておきたいと思います。
- まず、郵便事業会社についてですが、当中間期は赤字となっております。これは今も申しましたように、郵便事業の営業実態としまして、下期は年賀状販売の影響が約1,600億円あります。このウエイトが高いために、上期の損益は赤字化する傾向にあります。
この傾向は、公社時代も同様でした。最終損益は、189億円の赤字となっておりますが、通期の見通しでは、470億円の黒字を確保できる見通しです。
- 次に、郵便局会社ですが、郵便局を中心としたグループ全体の営業が正常化した結果、郵便局会社の収益力、主に手数料収入ですが、これが向上し、中間純利益は209億円となりました。
貯金について申しますと、公社時には年間で10兆円前後の残高減少が続いていましたが、この半年では減少幅が半減してきております。そして、営業拠点ごとに見ると、純増に転じているところも相当数出始めてきたところであり、徐々にではありますが、その減少傾向に一定の歯止めがかかってきているものと認識しております。
かんぽ生命の保険契約については、昨年度は民営・分社化に伴う事務繁忙などにより、営業社員の活動量を十分に確保できなかった面もありましたが、当期からは、保険の新商品の販売による商品・サービスの拡充を行うとともに、郵便局との連携強化により、90万件の新規契約を獲得しました。
これは前下期に比べますと5割増ということです。前年の上期との比較では、大体8割前後まで回復してきており、ようやく新しい体制での成果が現れ始めたところであります。
このように郵便局の営業努力の結果が、郵便局会社の受託手数料の増加、ひいては収益増につながり、郵便局会社の決算結果となったものであります。
- 一方、金融2社の状況でありますが、貯金残高と保険の新契約につきましては、今申し上げたとおりでありまして、ゆうちょ銀行については、業務純益ベースで2,812億円、最終利益で1,501億円。かんぽ生命においては、基礎利益で2,298億、最終利益で247億の計上となりました。これは利益から8割を契約者配当準備金に繰り入れた結果、最終利益247億円を計上することができたものです。
この上期の、特に後半になってからですが、世界的な金融危機の拡大により、株価が大きく下落し、さらに円高が進みましたが、金融2社ともに、株式、そして外貨建ての債券などの総資産に占める割合は非常に僅少でありますので、これらの影響は限定的なものでございました。
- 当期の通期見通しといたしましては、お配りしている「概要Ⅱ」の最下段にお示ししたとおりであります。
私からは以上です。
- 【常務執行役】
- 私の方から、若干、詳細な説明をさせていただきます。
お手元の資料ですが、幾つかの種類があります。横版2枚になっている資料に「概要Ⅰ」と「概要Ⅱ」がございます。それから縦版で幾つかホッチキス止めになっているものが各会社の短信と同様のつくりをしたものです。主として横版の2枚の資料を用いてご説明させていただきたいと思います。
- 何点か総論的なことを申し上げておきますと、短信の方の引用は極く一部しかいたしませんが、今回、第2期目を迎えましたので、前期との比較ができるようになりました。ただ、先ほどの社長の話にもありましたように、下期、上期の比較になりますので、特に郵便については、収益が非常に違っている、そういった季節的な変動要因もございますし、また、初年度と2年度の比較という点もありますので、その点にご注意いただきたいと思います。
- それから、それらに関連しますが、公社から株式会社に移行しましたので、税務上の加算減算の影響が初年度は出ておりました。今回はそういう影響はありません。例えば、どういうところに現れるかと申しますと、郵便局会社の当期純利益は、第1期46億円でしたが、今期はそういう要素がなくなってまいりましたので、普通の状況になっております。実効税率が大きく見えていたのが通常のものになったというようなことです。
- 前置きはそのくらいにしまして、具体的な説明を進めさせていただきます。
まず、日本郵政グループの連結合計です。最初の「概要Ⅰ」をご覧いただきたいと思います。右側のほうに縦に要約して書いていますが、連結経常収益が9兆4,868億円、連結経常利益が4,225億円、連結中間純利益が2,224億円です。
次のページ、「概要Ⅱ」をご覧ください。比較しやすいように、当中間期の経営成績、下に(参考)として前期の数字を書いています。一番下の欄は通期の見通しですが、今申し上げた日本郵政グループの連結合計、上段の一番左端に縦の若干太い囲みで書いております。
中間純利益のところをご覧いただきますと2,224億円の下に△548億円とあります。その主たる要因は社長の話にもありましたが、同表の日本郵政から右に2つ横の郵便事業株式会社の単体の中間純利益に△189億円、括弧の中に△884億円とありますが、その影響が出ているということです。
ざっと日本郵政グループ、それから各社の中間純利益をご覧いただきますと、おおむね増益か、ほぼ前期と同等と言えようかと思います。その中では郵便局株式会社が162億円の増益となっています。
- 次に日本郵政です。日本郵政の業務は純粋持ち株会社の機能以外に、病院事業とか、宿泊事業とか、グループシェアードサービスを行っています。
同じ資料、「概要Ⅱ」の表をご覧いただくと、今期、前期と比較しますと、中間純利益が780億円でして、354億円の増になっています。この要素としては、今期、各社からの配当を計上しているのが主な要因であり、これが413億円あります。そういう要素を除くと、日本郵政株式会社については、ほぼ前期と同等とお考えいただいて結構です。
それから、経常利益が775億円、中間純利益が780億円となっております。税引前利益は、787億円であるのに対して、受取配当金が413億円、それから、退職給付の税務上の減算調整項目が400億円ほどあり、わずかに課税所得が生じています。
- 次に日本郵便です。資料は「概要Ⅰ」の方に戻っていただきたいと思います。上から2段目の日本郵便です。黒の四角の上段が取扱物数、下段が損益の計数になっています。
総取扱物数ですが、郵便物91億5,756万通、括弧内は比較として、公社時の昨年の9月期、前年の同じ期間をとっており、前年度同期比を記載しています。これは上期、下期で郵便物取扱量、ひいては収益、それから利益に大きな差がありますので、公社の期間ですが比較しやすい前年同期とあえて比較したということです。
公社時の19年9月期と比較して3%の減、これが郵便物数です。荷物は、ゆうパックが1億3,255万個、同0.8%の減、ゆうメールが10億7,867万個、同3.1%の増ということです。
総取扱物数が減っているように見えるわけですが、この前年同期については、統一地方選挙とか、ちょうど公社から民営に移り変わる時期でありましたので、郵便においても民営化のお知らせ等がたくさん出ておりました。
そういう特殊要素がありましたが、それらを除くと、若干今期は減少している程度ということでして、郵便物数においても、ほぼ横ばいとご理解いただければと思っています。
- それから、その次の黒の四角、営業の形態として下期のウエイトが高いため、これもあえて、公社の同期、上期と比較しているわけですが、2億円の減少、ほぼ同等というところです。
それから、経常損失、これは上期は年賀がないために損失が出るわけですが、204億円でして、前年の同期に比べますと、117億円改善しているということです。その結果、当中間純損失が189億円ということです。
- 「概要Ⅰ」の上から3段目、郵便局会社です。これは郵便と違い、単純に、今年の3月期と比較しています。郵便局会社はご存じのとおり委託元から窓口業務を受託するという新しいビジネスモデルです。前期決算で申し上げましたとおり、収益のほとんどが3社からの受託業務手数料ということです。今期においても、基本的な構造は同じです。
ここについては郵便局会社の縦版の「平成21年3月期 中間連結財務諸表の概要」をご覧いただきたいと思います。
その資料の5ページ、「中間損益計算書」をご覧ください。ローマ数字Ⅰで「営業収益」と一番上に書いてありますが、「郵便窓口業務等手数料」、「銀行代理業務手数料」、「生命保険代理業務手数料」とありまして、それぞれ郵便事業、ゆうちょ銀行、かんぽ生命からの受託手数料です。比較しますと、郵便が少し減っており、銀行代理業と生命保険代理業が少し増えている、こういう関係にあります。
郵便につきましては、やはり郵便局会社といえども、郵便事業本体の年賀の販売に影響を受けるわけでして、上期である当期については、前期よりも減っています。これに対して、銀行代理業務手数料、生命保険代理業務手数料は増加を見ているわけです。
その要因を若干ご説明しますと、民営化当初の不慣れなシステムですとか、業務フローなどが次第に克服されて、営業活動が復調してきた結果ということになります。
後ほどご説明しようと思っていましたが、「概要Ⅰ」のゆうちょ銀行のところにも記述してありますように、貯金残高の減少が下げ止まる傾向にあります。言わば減少幅が縮小しているわけです。個々の営業拠点で見ますと貯金残高が純増の拠点が増えています。
昨今の金融情勢から安全資産への逃避というようなことも言われておりますが、営業の努力もありまして、貯金残高の減少傾向が止まりつつあります。
そういう全般的な状況があり、そこへ今回設定しました貯金残高純増に対するゆうちょ銀行からのインセンティブ手数料が機能しまして、営業拠点、郵便局の営業努力を引き出し、受託手数料の増加を見ているわけです。また、かんぽ生命の保険につきましても営業が盛り返しつつあります。そのため、かんぽ生命からの手数料も増加しております。
- 郵便の手数料について、若干、付言しますと、前期と比べると若干、受託手数料が減っているわけですが、ご記憶にあるかもしれませんが、前期は郵便の受託手数料について、販売チャネル、郵便局の窓口にお客様がみえるのか、あるいは郵便事業会社の方にみえるのかということで、見誤っていた点がありまして、郵便局会社の郵便窓口の業務手数料が予想よりも少なかったわけでありますが、その点について、今回、見直しを行っております。このことを付言しておきたいと思います。
以上、各会社別にそれぞれの手数料の増減要素を申し上げましたが、これらのことから郵便局会社の経常収益が前期に比べ171億円の増加となっております。
- それから、郵便局会社の経常利益は380億円でありまして、その下の段に中間純利益が209億円と記載しております。中間純利益のところの括弧書きをご覧いただきますと、162億円前期に比べて増えております。その要因を若干ご説明申し上げます。
税務上の特殊な要素ということを何度か申し上げたわけですが、初年度ということがありまして、特に郵便局会社については、当期純利益が低目になっておりました。前期、税引き前の利益が183億円に対して、法人税等が137億円と実効税率が約7割ということでしたが、民営化初年度における特殊要因ということであったわけです。
ただ、民営化第2期となった今期は、そういう要素がありません。したがって、実効税率も45%程度になり、昨年度前期の74%から転じて、普通の税率になったということが言えます。要約いたしますと、初年度におけるさまざまな特殊な要因がほぼ一掃され、郵便局会社に対する正当な評価がなされやすくなったのではないかと考えております。
- 次に、ゆうちょ銀行です。「概要Ⅰ」の4段目になります。その1つ目の黒の四角に記載がありますように、また、先ほど郵便局会社の状況をご説明した際にも申し上げましたが、貯金残高の減少幅が減少しています。これが大きな特徴です。
経常利益は2,520億円です。預託金利息収入の減少があり、資金利益が減少するといった傾向があること、それから、代理店営業、郵便局における営業が堅調でして、そういう意味で委託手数料も増加するといった要因があるわけですが、その他の経費の節減に努めた結果、市場環境による金銭信託の減損等を吸収しまして、前期に比べほぼ同等、わずかに41億円下回る程度の結果となりました。
- ここで、金銭信託の運用について一言申し上げておきます。金銭信託の株価下落による減損損失は364億円のマイナスです。それから、金銭信託、あるいは、その他有価証券について、評価損を計上しています。これがマイナス1,340億円、税効果適用後がマイナス794億円ということになります。
その結果、中間純利益ですが、これも前期とほぼ同等の1,501億円ということになりました。
一番下の黒の四角ですが、いわゆる業務純益が2,812億円、また、自己資本比率バーゼルⅡは90.78%で、前期よりも向上しました。
- 最後に、かんぽ生命です。新商品販売等のサービス拡充により、個人保険の新規契約件数が90万件と記載してあります。新入院特約「その日から」を7月に発売しましたし、また、新フリープラン(普通養老保険)の加入年齢の上限を引き上げる等、商品・サービスの拡充を行いました。
民営化当初は、業務輻輳により、営業職員の活動量が十分確保できなかったため、新規契約件数が59万件にとどまっていましたが、今回は、郵便局との連携を強化したこともあり、90万件の新規契約を獲得することができました。
その結果、保険料等収入が増加しております。「概要Ⅰ」かんぽ生命の黒の四角の3段目をご覧いただきたいのですが、保険料等収入は3兆9,782億円で、前期と比べ916億円増加しています。
経常利益を見ますと1,063億円で、前期と比べ943億円の増加となっています。
その要因ですが、保険料等収入が増加したことが1つあります。また、前期は公社から民間に移る際に時価評価で資産を承継した結果、その後の株価の変動により、金銭の信託で減損を生じておりましたが、確かに今回も金銭信託の減損を生じておりますが、前期に比べると、そういう要素が少なくなってきたため、結果として経常利益は増加しております。
かんぽ生命の場合の減損ですが、金銭の信託での減損損失が538億円です。これ以外に金銭の信託、その他有価証券の評価差額はマイナス809億円、税効果会計後はマイナス516億円を計上しています。
かんぽ生命の基礎利益は2,298億円。これを三利源別に分析しますと、逆ざやが2,000億円ほどありますが、これを危険差益の1,900億円と費差益の2,400億円でカバーしているということです。今中間期末の内部留保残高は3兆5,596億円、ソルベンシー・マージン比率は1,357%です。
- それから、「概要Ⅱ」をご覧ください。
一番下の段に、「通期見通し」が書いてございます。日本郵政グループ全体の当期純利益としまして4,600億円、日本郵政株式会社が1,050億円、郵便事業株式会社が470億円、郵便局株式会社が450億円、ゆうちょ銀行が2,800億円、かんぽ生命保険が310億円、これを21年3月期の通期の見通しとして掲げさせていただいております。
- 私の方からは、以上でございます。
- 【幹事社記者】
- まずグループ3社の株式上場方針についてお伺いします。西川社長が19日の自民党の郵政研究会の席上で、「マーケットが今のような状況では難しい」という発言をされました。これまで、早ければ2010年度にも上場することを目指すというご説明でしたが、この方針は転換したと考えて良いのでしょうか。また、株式上場にはどういう条件が、今後必要になるとお考えでしょうか。平均株価の水準とか、そういう目安になる指標をお持ちでしたら併せてお聞かせください。
- 【社長】
- 自民党の郵政研究会での私の発言というのは、ごくごく一部だけをとらえられているように思います。ゆうちょ銀行及びかんぽ生命保険の金融2社については、民営化法上の規定、及び政府の民営化推進本部からのご指示等により、できる限り早期に上場が可能となるよう準備を進めているところです。
上場時期については、かねてから申し上げているとおり、遅くとも民営化後4年目、2011年度。可能であれば東証の審査基準の特例、これは事業継続年数3年の短縮でありますが、これが認められるということを前提に、民営化後3年目、2010年度の上場が可能となるよう準備を進めているところであり、この方針に全く変わりはありません。
お尋ねの発言は、株式の売り出しスケジュールについては、適正な価格で売り出しを行うことができるように、市場環境を十分に見極めながら、適切に判断していきたいという趣旨で申し上げたものであり、予め、例えばTOPIXであるとか、日経平均株価等、こういう指標について特定の水準を条件として設定しているわけではありません。
- 【幹事社記者】
- 2点目の質問ですが、次は中期経営計画についてです。中期経営計画の作成が、遅れていると思うのですが、未だに作成できない理由は何でしょうか。また、過去の記者会見では、郵便局会社について、「代理店手数料がアームズ・レングス・ルールに則った、競争力のある手数料でやっていける経営体質にしていかなければならないという課題がある。郵便局会社の運営のあり方全般について、綿密な検討と施策の実行が必要である」と発言されていましたが、この点について、中計に盛り込む内容に一定の結論が出ているのでしょうか。出ているのであれば、その内容を教えてください。
- 【社長】
- 中期経営計画については、事業並びに経営の将来展望を、お客さまであります国民の皆様をはじめ、ご関係のステークホルダーの方々に、できるだけ早期にお示しすべく、鋭意検討してきたところであります。
しかしながら、このところの株価の大幅下落、あるいは急速な円高の進行といったことなど、これらが実体経済に相当大きな影響、悪影響を及ぼしそうだということから、景気の減速も現実のものとなりつつあるという状況であり、急激に経済環境が変化してきているわけです。そのため、現在は、金融分野を中心に、物流も同様でありますが、中期的な経営見通しを立てることは非常に困難な状況だと言わざるを得ません。
従って、次年度以降の、中・長期的な経営計画については、外部環境の行方も見据えながら、より慎重に検討を進める必要があると考えているところです。
大変難産でありまして、私も何度も中期経営計画を自ら策定したり、策定作業を見守ったりしてきたわけでありますが、これほどの難産は経験したことがありません。それほど大きな外部環境の変化と、また、どこへ落ちついていくのかも今のところ見通しが立たない、こういう状況だと思いますので、慎重を期さなければならないということです。
そして、この中期経営計画の策定に当たっては、ご指摘のとおり、我々のグループとしては、郵便局会社の運営のあり方というものが、やはり最大のテーマの1つであり、鋭意検討を進めてきたところであります。また、計画に盛り込むかどうかは別にして、郵便局活力向上のための取組なども現に実行に移してきたものも数多くあるわけです。
なお、郵便局会社に関して申せば、営業力の強化、そして事務改善など、これまでの取組が着実に、成果を表しつつあります。それが営業面では、ゆうちょ銀行の定期・定額貯金の新規預入や残高が当初の計画を上回るなど、中間決算においても改善が見られる状況であり、引き続き、経営体質の強化に向けて尽力してまいりたいと考えているところであります。
- 【幹事社記者】
- 幹事社からは以上です。
- 【記者】
- 通期見通しで、郵便局会社の経常利益と当期純利益を上方修正されていますが、その一方で郵便事業会社の経常利益、当期純利益を下方修正されましたが、それぞれの修正理由を教えてください。
- 【常務執行役】
- まず、郵便局会社ですが、営業が貯金を中心として、比較的好調です。そういった状況が下期においても今後継続するだろうということです。
また、郵便事業会社については、今のところ直ちに影響が出るわけでございませんが、やはり景気の動向等に左右される要素がありますので、上期と下期とを比べると、若干下期のほうが慎重になっているということです。
- 【記者】
- 今、自民党などで、4分社の見直しということが議論に上がりつつありますが、その中で郵便局会社と郵便事業会社を1つにした方が良いのではないかという声もあり、鳩山総務大臣も何かそういうことも含めて検討したいと発言されています。これに関する社長のご意見を伺いたいのですが、この4社を3社にすることによって、何かメリットがあるのでしょうか。それから金融2社の完全民営化の見直しも考えていくという話もありますが、そうなった場合、日本郵政の経営計画とか、その他諸々の前提条件がかなり狂ってくると思うのですが、そのあたりの影響をどう見られているのかお聞かせください。
- 【社長】
- ちょうど来年の春が3年目の見直しのタイミングということでありますので、いろいろな議論がなされておるのだろうと思います。
私どもは、現行の郵政民営化法などに則って、粛々と事業運営を進めていくということであります。そういう見直し論ということについては、私の方から申し上げられることはありません。
確かに現行法に則って事業を進めていくと、郵便、あるいは郵便局との間で、顧客サービスという面において、かつてに比べ、サービスが低下しているのではないかと言われる部分が幾つかあります。
例えば、総合担務です。以前は総合担務局の郵便配達の方が貯金や保険のサービスを配達の途上で承ってくることができたわけです。これが分社化後は、できなくなったとか。あるいは、郵便局が営業車を使ってゆうパックを集荷できなくなったとか。あるいは、郵便局と郵便の支店が同居している建物には、郵便局の郵便窓口と郵便事業会社のゆうゆう窓口が併存していて、お客さまから見てどっちへ行けばいいのかわからないとか。あるいは、郵便局に、持ち戻り郵便物の照会をしても、郵便局では答えられない。電話を転送するというようなことになるわけです。
そういった点が、サービスダウンということで取り上げられています。しかし、これらは、運用の中で解決できる方策が当然考えられるわけでして、既に検討を進めているものもあります。
ただ、そういうサービスダウンに対応する担当会社のスピード感がないため、私がプッシュしているところです。できるだけ早く、そういうところは運用の中で解決していくように、サービスダウンと言われるところをリカバリーしていくように、経営努力としてやっていかなければならないものと考えております。
- 【記者】
- 郵便局会社の収益構造は手数料収入が中心なので、ゆうちょ銀行とかんぽ生命が完全に民営化してしまうと、これらの会社からの手数料が入らなくなってしまうのではないか、また、ユニバーサルサービスが守れないのではないかという意見がありますが、そのことについて、今後どのような対応策を考えておられるのかお聞かせください。
- 【社長】
- ゆうちょ銀行、かんぽ生命と郵便局会社との関係について申しますと、貯金残高は、現在約180兆円あるわけですが、そのうちの約92縲鰀93%は郵便局が取り扱っているものです。郵便局はゆうちょ銀行の代理店ですので、ゆうちょ銀行の貯金残高になっていますが、現実にはお客さまは郵便局のお客さまという状況です。
それから、かんぽ生命についても、かんぽの主力である個人契約については、100%近くが郵便局における契約です。郵便局の窓口、それから郵便局会社の外務の方がお客さまからいただいてくるご契約ということです。
ゆうちょ銀行、あるいは、かんぽ生命として、それに代わるものがあるかというと、各社には直営店はあるものの、そのウエイトは大変小さなものであり、かんぽの個人契約などはほとんど郵便局に依存している状態です。委託契約は10年契約になっているわけですが、これは10年経過しても、この状況について、それほど変化は考えられませんので、当然のことながら、ゆうちょ銀行やかんぽ生命が株式を上場し、日本郵政が10年以内に株式の100%を処分したとしても、その受委託関係は両社の経営上、どうしても続ける必要があると思います。
従いまして、ここで私が軽々に申し上げるわけにはいかないのですが、契約の期間、これは10年過ぎると1年毎の自動更新になっていると思いますが、それを長期の契約に切りかえていくということも十分可能でありまして、金融2社が上場したから受委託関係がなくなることは、まず考えられません。
上場する際も投資家に対して、郵便局会社との受委託関係というものを大前提として、また、郵便局会社の郵便局を窓口として委託していくというビジネスモデルを前提として、プレゼンテーションしていくことになるだろうと思います。
投資家にも、当然それを前提として、考えていただくことになるかと思います。現状としては、ゆうちょ銀行のOHRを見ますと約68%になっていますから、例えば地方銀行に比べても、やはり10ポイント前後は高いのではないでしょうか。そういう面がありますから、やはり郵便局会社において、人手のかからないもっと効率的なシステムを構築する、あるいは事務の省力化を図っていくといったことにより合理化、効率化を進めるということも、経営努力として必要なことだと思います。
- 【常務執行役】
- 先ほど、通期見通しの変更要因についてのご質問の際、少しはしょってご説明しましたので、補足させていただきたいと思います。
郵便事業会社ですが、「概要Ⅱ」をご覧いただきますと通期の経常利益は変わらないわけです。これは、下半期につきましては、若干慎重になりますが、上半期が予想より良かったということで、通期では変わらないということになります。
一方、当期純利益は、なぜ減少するのかと申しますと、これは、当初より退職者の減少が見込まれております。そうしますと、退職金の支払は、税務上の減算要素になりますので、退職者の減少は、その分だけかえって法人税が増えることになります。その分が影響して郵便事業会社の当期純利益が減るという仕組みです。
少し言葉が足りませんでしたので、補足させていただきました。
- 【記者】
- 中期経営計画について、もう一度、重ねて伺いたいのですが、この現在の環境というのは1カ月や2カ月で変わるものではないでしょうし、ただ平成20年度も終わりに近づいている中で、中期経営計画を改めて、いつごろ取りまとめられ、いつまでに出すのかという見通しをお聞かせください。
- 【社長】
- 今のところ、確約できる期限はありません。
我々は、中期経営計画が存在しなければマネジメントできないというわけでは決してありません。経営者は常に2年先、3年先、あるいは場合によっては5年先のことを考えて、現在どういう手を打つべきかということを日々考えているわけです。
今の時期、こういう激動期は、やはり足元を固めて、そして、その先を見据えながら、半年、1年先のことをしっかりとやっていく。ここで極力成果を上げていくということが重要な時期だと思います。
これは、経営者の立場から言えばそうだということですが、頭の中だけでは外から見てもわからないではないかということになるかもしれませんので、早くやれるように極力努力します。早くやれるように極力努力はしますが、今ここで確約するわけにはまいりません。
- 【記者】
- 今、おっしゃったことは、一般的には理解できるのですが、並の会社と違って、早ければ3年目なり、4年後の上場というのがあるわけですから、そこから逆算して中期経営計画を取りまとめるとか、努力されるということではないのでしょうか。
- 【社長】
- 当然、マーケットに出ていく際には、エクイティ・ストーリーを示していくということが欠かせないわけですから、それには当然間に合わせなければなりません。また、投資家の皆さんにご理解を得られるようにしていかなければならない、ということはおっしゃるとおりです。
- 【記者】
- 各事業分野に関して、以前、承継計画という形で、数字を示しているものがあるかと思いますが、決算の通期見通しでは、ほとんどの項目でその数字に到達していませんが、その点に関して、今どのようにお考えでしょうか。
- 【社長】
- 実施計画というのは、いろいろな前提を置いて策定しているものでして、その置いた前提と現実との間には大きな乖離があるわけです。ちょうど2年くらい前に、この4分社化を前提として、各社についていろいろな前提を置いて策定しています。現実との間には大きな乖離があるということは、やむを得ないのではないかと思います。
したがって、今、前提をおいた実施計画にこだわって色々やらなければならないということになると、我々の現実の経営にはそぐわない面がでてくると思います。
- 【記者】
- 一時閉鎖の簡易郵便局の数ですが、9月末時点、直近の数がわかれば教えていただきたいのですが。
- 【社長】
- 10月末現在で416局です。去年の10月1日とほとんど同じです。今回再開したのが100局余りありました。逆にいえば一時閉鎖局もそれくらいあったということです。
- 【記者】
- 先ほどお話があったように、これで民営化して1年の決算が出たわけですが、民営化1年の成果と呼べる部分がどこにあるのかということを最後にまとめてお話しいただけますでしょうか。
- 【社長】
- 冒頭に申しましたように、当初の半年は、一部システムの問題であるとか、あるいは業務輻輳がありまして、十分営業に力を割くことができなかった時期がありました。 ようやく、この上期から正常化することができたということが、今度の決算数字に表れてきたと考えております。
しかしながら、中身を詳しく見ていきますと、民営化後、新たに始めたサービス、あるいは新たに取り扱いを始めた商品、これはゆうちょ銀行、かんぽ生命、それから郵便局会社とあるわけですが、こういう新しいものについて、まだまだ十分な成果を上げるまでには至っていないということであります。
それぞれ大きな意味があって始めているサービスであり、取り扱っている商品ですから、これらについて一層力を入れて、これも1つの民営化の大きなポイントでありますから、この新しい商品・サービスによる果実というものをしっかりと得ていく。あるいは、お客さまにもサービスの向上と利便の向上という点で評価をいただけるようにしていかなければならないと考えています。
- 【記者】
- 外部環境も中間決算の数字を見ても、「貯蓄から投資へ」ではなく、「投資から貯蓄へ」帰っているような感じがするのですが、それが将来のビジネスモデルをつくる際に影響してきますでしょうか。
- 【社長】
- やはり投資信託とか、あるいは変額年金保険といった商品についてある程度期待を持っていたわけです。ところが、株式市場、あるいは為替の問題等々から、投資信託の基準価格が大幅に下がってしまったということです。
ゆうちょ銀行や郵便局で取扱っている変額年金保険については、払込保険料相当額の最低保証がついてはいるものの、運用状況は芳しくない。プラスアルファを期待しておられた方も多いわけですが、それがなかなかできていない。
こういう状況はいつまでも続くものでは決してないと思いますが、当分展望が開けないという状況です。投資信託の取り扱いも大幅に減少しておりますし、本日の預かり資産残高を見ても1兆円を若干切るくらいの状況となっています。こういう状況ですから、今は、むしろ、アフターケアにしっかりと取り組んでいるところです。将来を考えればこれをしっかりやらなければいけないということでありますが、現状はといえばそういう状況です。
しかし、これは中期経営計画の中では、将来、力を入れるものとして考えていかなければならないものですので、お客さまへのアフターケアをしっかりやりながら粘り強くやっていく、そしてチャンスを待つという以外にないのだろうと思っています。
- 【幹事社記者】
- ありがとうございました。
- 【社長】
- どうもありがとうございました。
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