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2008年5月30日 金曜日 日本郵政株式会社 社長会見の内容

2008年5月30日 金曜日 日本郵政株式会社 社長会見の内容

「平成19年度決算」について

【社長】
今回、民営化後の初めてのグループ連結決算が取りまとまりましたので、皆さんにご報告いたしたいと思います。
まず、平成19年度ということですが、民営化から半年なので、半年間の経営成績ということになりますが、グループ連結で経常利益4,387億円、税引後利益2,772億円を確保することができました。
民営化前の承継の実施計画における損益見込みにおいては、グループ全体で税引後2,150億円を見込んでいましたので、これを上回ることはできたということです。
これは、民営化から半年の一応の成果ということですが、民営化直後の慣れないシステムや業務フローに起因する民営化当初の業務輻輳が営業成績にも影響を及ぼしたことを考慮すると、まずまずの結果ではないかと考えています。
非常に厳しい中で努力していただいた職員の皆さんに、改めて感謝を申し上げたいと思います。
ただ、この半年は、発足当初の経理上の特殊要因も含まれていますので、4月から始まりました平成20年度が実質上の民営化元年と考えるべきかと思っています。4月、5月と業務成績も少しずつ上向きつつあります。分社化後の新しいビジネスモデルのもとでの各社間の連携の一層の強化、そして効率化、収益力の強化、さらに他の企業との連携の推進、そして新商品の取り扱い、さらに重要なコンプライアンスの徹底など、20年度は特に課題の多い年であるという認識でいます。
日本郵政グループの総力を挙げて、この大きな課題に積極的に取り組んでまいりたいと考えています。
私からは以上です。
各社ごとの詳しい計数等につきましては、藤本常務からご説明いたします。
【常務執行役】
お手元に何種類か資料を配布しております。まず、縦版の「平成20年3月期連結財務諸表の概要」ですが、これは各社ごとにあるわけですが、従来の報道発表資料と少し変わっていますのは、今回から上場会社の決算短信のフォーマットに準じた形でつくらせていただいたということです。もちろん上場はしていませんし、またその前期の実績も、民間会社としてのものではありませんので、多少違った点はございます。
これを一般に「短信」と呼んでいますが、これからの説明の際には、「短信」と呼ばせていただきます。
まず、日本郵政がどういった構成になっているのかを簡単にご覧いただきたいと思います。
この「短信」の日本郵政の1ページ目です。会社名は日本郵政株式会社。その下には定時株主総会の開催予定日が書いてあります。その後に、3月期の連結業績、半期のものですが、(1)連結経営成績、それから(2)連結財政状態があります。その下の欄、2に、21年3月期、つまり20年度の連結業績予想が書いてあります。
そして、6ページに、今申し上げた平成20年度の見通しが文章で書かれています。
次に日本郵政の連結の財務諸表ですが、7ページに貸借対照表、8ページに損益計算書があります。さらに9ページには連結株主資本等変動計算書があります。
次に日本郵政単体の財務諸表ですが、13ページに貸借対照表、14ページに損益計算書があります。
これが日本郵政の分で、これが各社ごとにあります。必要に応じて参照いただくことになると思います。
それから、お手元に要約した横版の資料を2枚お配りさせていただいております。「平成19年日本郵政グループ決算の概要」(ページ(1))とそれに関連する「日本郵政グループ決算の概要(資料)」(ページ(2))があります。ちょっと名前が紛らわしいのですが、それぞれ、「概要」、「概要(資料)」と呼ばせていただきます。この「概要」は、従来、公社時代に出していました報道発表資料に近いもので、各社の業績が文字で要約してあります。
それから、「概要(資料)」の方は、経営成績としまして、各社の経常収益、経常利益、当期純利益、それから財政状態としまして総資産、負債、純資産を書いています。また、「参考」欄に、承継の実施計画における損益見通し、それから総務省に提出しています平成19年度の事業計画のそれぞれ経常利益と当期純利益を参考までに書いています。
【常務執行役】
それでは各社についてご説明させていただきます。
まず日本郵政です。まず、「概要」をご覧ください。
日本郵政の欄に日本郵政の性格・機能が書いてあります。純粋持株会社として各社の経営指導をする等の機能を持っていますが、それ以外に病院事業とか宿泊事業を行なっていますし、それから子会社の共通の事務、人事システムとか経理システムを持って、子会社に対するサービスを提供しています。
次に、「短信」の14ページの損益計算書をご覧ください。これは単体の損益計算書です。
ご覧いただくとわかるように、致し方ないことですが、前期との比較がありません。営業収益、営業費用が計上されています。営業収益は、冒頭申し上げた関係会社からの経営管理料に相当するものが関係会社受入手数料として、また、シェアードサービスによる受託業務収益、それから日本郵政に対して旧勘定における預金保険料見合いのものが交付されているので貯金旧勘定交付金として、そして医業収益、それぞれセグメント化された収益を計上しています。一方で、ほぼ、それに対応する形で営業費用も計上しています。
下の「当期純利益」欄をご覧いただきますと、当期純利益として約425億円を計上しています。税引前当期純利益が約370億円でして、その間に「法人税、住民税及び事業税」の欄が「△」が立っています。
税引前当期純利益より、当期純利益の方が大きい数字になっていますが、これはあとでご説明申し上げます。
13ページの貸借対照表ですが、右下の(純資産の部)欄の「II、社会・地域貢献基金」に約42億円が計上されています。その上に、「その他利益剰余金」欄があり、約384億円が計上されています。その上に、「その他利益剰余金」欄があり、約384億円が計上されています。これを足し合わせると、約425億円になるわけです。これは、法律の規定に基づき、当期純利益の10%を社会・地域貢献基金に積み立てるとなっていますので、これが分かれて計上されているということです。
それから、先ほど申し上げた税引前当期純利益よりも、当期純利益の方が多いのはなぜかということですが、これは連結納税の関係や民間会社になってから、従来なかった税務調整が起きているなと、いろいろな特殊な事情があります。詳しくお話しすると、日本郵政ですが、先ほど申し上げたように、税引前当期純利益が約371億円です。それに対して、当期純利益は約425億円で、法人税等の納付税額が約72億円のマイナス、これは逆に戻りが約72億円生じてきているということです。これはひとえに、申告調整等の結果でありまして、要は企業会計といいますか、財務会計上の費用と、税法上の損金とは違います。あるいは利益の概念も違いますので、その影響がここに出てきているわけです。
退職給付引当金の繰入額約139億円あります、また、整理資源のキャッシュアウトが約658億円あり、それが相殺されて、大きな税務上の損金が立ちます。これは閉鎖決算等の時にご説明しましたが、昭和34年の恩給期間の年金について、当時は郵政省、民間になる前は郵政公社が、年間1,300億円くらい費用として支払っていたものを、閉鎖決算のときに債務計上しました。
ただ、実際上、KKRから請求され、キャッシュアウトする部分は変わらないわけです。そのキャッシュアウト分が、税務上の損金になるわけです。年間約1,300億円ありますので、今回はその半期分の650億円程度が、ここにキャッシュアウトして、損金になるということです。そうしますと、他の要素もありますが、課税所得は合計約243億円のマイナスです。それに法人税率を掛けると、納付税額は約72億円のマイナスとなります。今回、日本郵政グループは、連結納税をしています。税務上、赤字の会社、黒字の会社もありますが、その相互間の関係がありまして、日本郵政の場合は、財務会計上は黒字ですが、キャッシュアウトという点から見ると赤ですので、その分戻りが生じてくる。その約72億円を税引前当期純利益に足しますと425億円になります。
それから、郵便局会社についても、少し性格は違いますが、やはり税務上の説明を要することが生じていますので、あとでご説明申し上げたいと思います。
以上が、日本郵政株式会社の単体です。
次に、郵便事業会社について説明します。「概要」の「日本郵便」をご覧いただきたい。民営化以降、業務が、郵便事業と荷物の事業に分かれています。監督官庁も違っています。まず郵便についてです。これは郵便物、手紙、はがき等ですが、取扱物数は125億5,686万通です。この半期では、やや減って、2.8%の減です。次にゆうパック、これは荷物ですが、取扱物数は1億3,807万個、それから、ゆうメール、これは以前の旧冊子小包ですが、取扱物数は12億945万冊です。こういう荷物の分野が10.7%の増となっています。郵便がやや減ですが、全体ではこの半期で、残念ながら、総取扱物数は1.6%の減となっています。
その結果、営業収益が1兆536億円です。あえて前期といいますか、前年の後半期と比較しますと、微減といったところです。経常利益は1,137億円です。これは前期に比べて、約180億円ほど増加しています。また、当期純利益は694億円です。コストの面では、民営化、分社化直後の事務繁忙がありまして、人件費がやや増加をしたこと、それとは逆に、何遍か申し上げた整理資源、これは郵便事業の場合、毎年約600億円くらいの費用が計上されていたわけですがその半期分の費用がなくなったことで減が生じています。また集配運送委託費の減などもありました。その結果、経常利益が1,137億円となりました。
概要(資料)」、こちらをご覧ください。郵便事業株式会社については、今申し上げたように経常利益1,137億円、当期純利益694億円で、税務上、特記すべき事項はございません。
それから、郵便事業会社の平成21年3月期の業績予想ですが、郵便事業会社の「短信」の1ページ目の「業績予想」欄に書いております。
【常務執行役】
次に郵便局会社について説明します。「概要」の「郵便局」欄をご覧いただきたい。ビジネスモデルが書いてありますが、皆さんもご存じのとおり、グループ3社から委託された窓口業務等を全国の郵便局ネットワークを通じて提供するという新しいビジネスモデルに基づく会社です。
それが「短信」ではどう現われてくるかということですが、郵便局株式会社の「短信」の4ページをご覧ください。これは郵便局株式会社の損益計算書です。「営業収益」欄に、業務を受託するということですので、郵便窓口業務手数料、銀行代理業務手数料、そして生命保険代理業務手数料が項目として書いてあります。これが郵便事業会社、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険から受ける受託手数料です。
郵便事業会社から約1,000億円、ゆうちょ銀行から約3,000億円、かんぽ生命から約2,000億円と、1対3対2ぐらいの割合で受託業務収入が入ってきていることが見てとれます。その他手数料収入は38億円ですので、収益の大宗は受託業務収入であることが、ここで明らかになっているわけです。
概要(資料)」、こちらをご覧ください。「郵便局株式会社」欄ですが、経常収益が6,343億円。大半は、先に申し上げたように、郵便、貯金、保険の受託手数料です。その下には経常利益が約185億円とあります。それに対し、当期純利益が約46億円ですから、その間の差が税金になります。一般的に、実効税率40%程度ですので、単純計算しますと、当期純利益がかけ離れた数字のように見えますが、その点のご説明を少し申し上げます。
郵便局会社の「短信」の4ページをご覧ください。税引前当期純利益が約183億円でした。しかし、税務の申告調整により大きな違いが生じてきています。これは主に初年度における特殊な現象であるとご理解いただきたいと思います。各会社いずれもがそうです。「未払法定福利費」71億円に加え、外形標準の事業税、一括償却資産、あるいは未払金等が38億円あり、その他退職給付引当金の調整を含めると、課税所得が約276億円となります。したがって、約183億円でなくて、税務上は約276億円を前提として法人税等が課されるわけで、課税所得約276億円に対する法人税が約137億円となり、その結果、税引前当期純利益183億円から法人税等約137億円を引きまして、税引後の当期純利益が約46億円になります。
再び「概要(資料)」をご覧ください。「参考」欄に、承継計画の見通し、あるいは、19年度の事業計画の見通しがあります。その経常利益の欄をご覧いただきたいのですが、例えば、19年度の事業計画では、これは総務省に提出しているものですが、経常利益は241億円ですが、それに対して今回の決算では経常利益は185億円となっており、50億円ちょっとの差にとどまっています。
それから、平成19年度事業計画では、当期純利益を321億円を計画していましたが、今回の決算では当期純利益は46億円という結果となりました、これは特殊事情があります。詳しく説明しますと時間もかかるので要約して説明します。退職者をどれくらい見込むかということで、退職金のキャッシュアウトが変わってきます。当初の予想より退職者が非常に少なくなっています。退職金をたくさんキャッシュアウトすることは、税務上の損金になるわけですので、税務上、赤字になると予想していました。そうしますと連結納税の結果、戻りの益が生ずる。戻りの益が生じた結果、事業計画では当期純利益が321億円という、ちょうど、先ほどの日本郵政でご説明した時と同じような現象を予想していましたが、退職者数が大きく違ったものですから、課税所得がプラスになり、それに対して税金が生じたため、実際の当期純利益は46億円という結果となりました。こういう非常に特殊な事情があるということです。経営成績の比較を行なう場合は、「当期純利益」ではなく「経常利益」で比較していただきたいと思います。郵便局株式会社は、以上です。
次に、ゆうちょ銀行です。「概要」をご覧ください。ゆうちょ銀行の経常利益は2,561億円です。業務純益は3,019億円です。当期純利益は1,521億円となっています。
ゆうちょ銀行の「短信」の4ページをご覧ください。「経常収益」の下に「資金運用収益」欄がありますが、さらに、「経常費用」の下に「資金調達費用」欄があります。これを差し引いて、資金運用の利益、資金収支が出てくるわけですが、これが約8,700億円です。「営業経費」の欄がありますが、営業経費は約6,177億円ということです。
それから、ゆうちょ銀行の場合、株価水準の下落でありますとか円高の進行がありまして、「損」が計上されています。これは、営業経費の下に「金銭の信託運用損」欄がありますが、約149億円を計上しています。これは実現損です。
また、やや技術的な話になりますが、今回から保有している金銭の信託の保有目的を、運用目的から、その他有価証券に変更していますので、3ページをご覧いただくと、貸借対照表の右下の(純資産の部)欄の「その他有価証券評価差額金」に金銭の信託の評価損益が計上されています。
金銭の信託に限って言いますと評価損が出ているわけですが、金銭の信託以外のその他の有価証券のプラスがありまして、その合算値がプラス約739億円ということです。
再び「概要」をご覧ください。貯金残高は181兆7,438億円、自己資本比率のバーゼルIIですが、85.89%です。非常に高い数値に見えますが、これはご存じのとおり、運用の側でリスクウェイトゼロの国債が大宗を占めているので、この数字になっているわけなのですが、反面大きな金利リスクがあることも否定できないところです。
最後に、かんぽ生命です。まず、「概要」をご覧ください。かんぽ生命の保険料収入は、実質上の半期で3兆8,866億円です。基礎利益は2,672億円です。これを三利源に分解しますと、逆ざやがまだ2,000億円ほどありますが、危険差、従来、死差と言っていたものですが、危険差の益及び費差益で、これをカバーしているところでして、上期、公社時代のものと、下期、民間になってからのものをあえて合計しますと、通期分では基礎利益も増加しています。
それから、かんぽ生命の場合、株式相場の下落ですとか、円高の影響も出ておりまして、これを簡単にご説明したい。かんぽ生命の「短信」の4ページをご覧ください。右下の(純資産の部)欄の「その他有価証券評価差額金」に約1,236億が計上されています。ここに1つ、表れています。
それから、5ページの「損益計算書」の方をご覧いただきたい。金銭の信託で株式を保有しているわけですが、ここに「減損」が生じています。また、「経常費用」の欄の「資産運用費用」に「金銭の信託運用損」があり、約3,185億円を計上しています。そのうち減損が約2,400億円程度になります。
また、その下の「有価証券売却損」に約624億円、それから「有価証券評価損」におよそ約1,050億円を計上しています。これは外債です。このように、株安とか円高の影響を受けたわけですが、内部留保としまして、危険準備金、価格変動準備金など、公社時代のものを承継していて、それらの一部を取り崩す等して対応しております。
なお、再び「概要」をご覧ください。ソルベンシー・マージン比率は1,116%で、民間の大手生保さんと同じ水準を確保していると考えています。
私の方からは、以上です。
【幹事社記者】
決算についてお尋ねします。グループ全体の経常売り上げベースで見ると、承継計画を1,000億円ほど下回りましたが、この原因については、どの辺にあるとお考えかお聞かせください。特にかんぽ生命については、保険の新規契約件数が59万件に留まっていまして、前年同期と比べるとほぼ半減という状況なのですが、これについての原因は、どの辺にあるとお考えか教えてください。
【社長】
保険契約自体は確かにそのとおりですが、それが今期の業績に直接それほど大きな影響を及ぼすものではありません。それは受託手数料という面において、郵便局会社には影響しているわけですが、かんぽ生命本体にそれほど大きな影響を及ぼすものではありません。ただ、かんぽ生命の経常利益が運用の収益減から119億円という金額に留まったところがグループ全体に大きく響いていると思います。
【幹事社記者】
契約件数が減ったことの理由については、どのようにお考えになっておられますか。
【社長】
契約件数の減少は、民営化スタート時の10~12月において、先ほど申しましたように各郵便局の窓口等で業務の輻輳があり、外務員まで内務の仕事に時間をとられたこともあり、営業活動が低調になったことがやはり大きく響いたのだと思います。1~3月にかけて、だんだんと回復に向かい、この4、5月は計画しているラインにほぼ近づいてきていると見ています。
【幹事社記者】
決算とは関係ないのですが、昨日、韓国で偽造切手が大量に発覚したようで、日本にも相当数、持ち込まれているようですが、これについての現状とご対応をどのようにお考えでしょうか。
【社長】
昨日、韓国で起きたばかりの事件であり、まだ詳細については承知していません。
【幹事社記者】
印刷の原版のようなものが見つかっているようですが。
【社長】
普通、原版が出回ることはあり得ないと思います。
【幹事社記者】
その点については、報告を求めたりとかされるのでしょうか。
【社長】
それは担当部が調べていると思いますが、主に国立印刷局が管理しているわけですから、原版が出回ることはあり得ないと思います。何かほかにいわゆる偽造する方法があるのだろうと思いますが、原版から切手を作ったということは考えられません。
【幹事社記者】
幹事からは以上です。あと、各社、ご自由にどうぞ。
【記者】
かんぽ生命の金銭信託の運用損が約3,200億円なのですが、もう少し詳しい内訳と原因について、ご説明をお願いします。
【常務執行役】
「金銭の信託運用損」については、プラスとマイナス、益も減も両方立っているわけですが、売却損が1,223億円、それから減損が2,443億円です。減損は株式の減損でして、3月中の平均で30%以上下落すると減損処理するというルールでかんぽ生命が行なっているわけです。
それらと配当金収入及び売却益との差し引きがそこに計上されているわけです。
【記者】
国内株という理解でよろしいですか。
【常務執行役】
国内株です。
【記者】
テクニカルな話で恐縮です。連結の経常利益なのですが、承継計画の5,400億円という数字は、連結で計算し直した数字で、これは比較の対象としてなり得る数字なのでしょうか。
【常務執行役】
経常利益は単純に合計したものであり、実施計画の連結ベースでは純利益しか出しておりません。
【記者】
郵便局会社の決算で西川社長に2点、常務に1点お伺いいたします。郵便局会社の営業利益を事業計画と比べますと、大体42%くらいに留まってしまったということだと思うのですが、西川社長の受けとめ方をお聞きします。また、今年度は営業利益でいうと280億円を目指しておられますが、これは年間の数字ですから単純に比較することは、もちろんできませんが、なかなか容易ならざる数字なのかなと思えます。その点どのように達成していかれるかお聞きします。
あと、常務にお伺いしたいのですが、郵便局会社にとって、初年度ゆえの当期純利益の目減りというのは、結局何億円くらいになるのか、初年度ゆえの目減り分も併せて教えてください。
以上、3点、お願いいたします。
【常務執行役】
後のほうからお答えしたいと思います。初年度ゆえの目減りといいますか、むしろ税務上、加算された分とご理解いただいた方がいいと思います。先ほど申し上げた71億円の法定福利費、その他の加算要素38億円を合計して100億円くらい違っているとご理解いただければよろしいかと思います。
【社長】
営業収益において大きなものとしては、郵便関係の別後納郵便による手数料収益が、当初見込んだものとの間に、かなりの乖離ができたことが一番大きかったです。営業収益ベースで見て、170~180億円ほど見込みを下回ったということです。この点は郵便事業全体としては、別後納は減少していませんので、郵便事業会社と郵便局会社との間のシェアにおいて郵便局会社が割り負けしたということなのです。なぜかといいますと、公社時代の9月までは郵便局の窓口に別後納郵便を持って来られたお客さまがたくさんおられました。そのお客さまに引き続き10月以降も郵便局に持ち込んでいただけるものと郵便局会社は見込んでいました。ところが集配センターを一緒に行なっている局舎においては、別後納のお客さまは、直接、郵便事業会社の郵便窓口に行ったり、あるいは計量器にかけて、そこで料金を確定し、郵便事業会社が直接収入を得てしまう、こういうことが起きてきたわけです。その結果、今申し上げたような状況になったわけですが、そういう事情ですから、今年度からは郵便事業会社、郵便局会社との間の手数料について改定することで、今、詳細を詰めているところです。多分それが一番大きいと思います。
それから、次に大きいのは、保険の新契約が、先ほど申し上げたような事情で大幅に落ち込んだことや、投資信託の取り扱いも大幅に落ち込んだことにより、その手数料収入が減ったことなどだと思います。
【記者】
すると、20年度の営業利益で言うなら280億円という目標を達成できる体制はできてきているということでしょうか。
【社長】
郵便局会社、郵便事業会社とも、当初の業務輻輳がなくなったということ。さらに窓口に過重な負担がかかる業務フローがありましたが、これについては営業力を回復するために、「郵便局活力向上宣言」において真っ先にその過重な業務負担を軽減することを打ち出し、そして、スピードを上げてそれを実行しているということなので、必ず回復してくれるものと期待しております。
【常務執行役】
3会社からの受託収入が減少するという話を社長の方から申し上げたわけですが、若干補足させていただきたいと思います。収入の裏側では当然費用があるわけで、人件費とか、色々な経費がかかるわけです、そうすると、収入が減ったということは、仕事も減っているという面があります。それは、郵便としてはどれくらいか、保険の場合はどれくらいか、それぞれその業務によって違いがあるわけですが、大体、収入は350億円くらい減って、費用も250億円減っている、その差は100億円くらいあるわけです。ですから、その350億円減った分のすべてが利益の減になるわけではなくて、100億円くらいが影響しているということです。それを、話にありましたように、手数料の問題ですとか、営業努力、いろいろなものでカバーをすることになるのではないかと思います。
【記者】
郵便局会社と郵便事業会社の間で仕事の取り合いというか、摩擦的な動きがあったり、それから現場の事務が過重で営業活動が十分できなかったという話は以前から出ていたと思います。ある意味で4分社化のもたらした難しい点があると思います。これは、やってみなければわからなかったと思うのですが、とりあえず4分社化でやってみて、こういう結果が出たことについて、どのように受け止めておられますか。
それから両社による業務の取り合いの調整を、手数料でできるものなのかを教えてください。
もう1点は、やはり郵便局会社と郵便事業会社を統合したらいいのではないかという議論も、一部しかるべきところから出ていますが、そういう議論に対してどうお考えになっているのか。その辺を含めて教えてください。
【社長】
郵便の別後納については、これは奪い合ったというものでは決してありません。今まで郵便局の窓口へいらしたお客さまが、直接、計量に行かれるとか、郵便窓口に差し出されるようになったためであり、そこで醜い争いをしたとか、取り合ったというものでは決してありません。ですから、両社間において手数料計算を一部修正していこうということです。決して争ってそうなっているというわけではありません。
【記者】
争うぐらい活発にやった方がよいと思いますが。
【社長】
いや、全体のパイが変わっていないわけですから、そこで醜い争いをしたのではむだな争いということになります。この件は、決してそういうことではありません。ただ、お客さまの利便性を考えれば、そうなってしまうということです。郵便局としては、窓口をどうしても維持していかなければならないという使命がありますから、それに応じた手数料を各社が考えなければならないということです。
【記者】
手数料を上げるということですか。
【社長】
いや、調整するということです。
【記者】
少しずつ上げるということですか。
【社長】
上がる部分もあると思います。
【記者】
ますます直接郵便の窓口に持っていく人が出ませんか。
【社長】
まだ少し変わる可能性もあるかもしれませんが、半年の状況を見た結果ですから、手数料の見直しについての見きわめは、ほとんどついているのではないかと思います。
だから、制度変更しなければならないというような問題ではないと思います。制度論は制度論で、これはもう全く別のこととして我々は受けとめて、あくまでも現在の民営化法に基づくやり方を粛々と進めていくものです。
【記者】
局会社と事業会社を統合しようというのは論外だということですか。
【社長】
私どもは制度論を論ずる立場ではありません。決められたことを粛々と進めていくこと以外にないわけです。制度論を論じ始めれば切りがありません。それでは経営になりません。そういう考え方で臨まなければならないと思っています。
【記者】
2点ご質問いたします。1つ目は、民営化からまだ半年ですが、民営化効果というか、例えば効率化とか何かそういうものが見えてきた部分があるのでしょうか、あるいはないのでしょうか。
2つ目は確認に近いのですが、上場の目処について、早ければ2010年度とおっしゃっていますが、今回の決算を受けてそのお考えに変わりがないかどうかを確認させてください。
【社長】
2つ目の質問から申し上げれば、特にスケジュールを変えなければならないとは考えていません。
民営化の効果ということについて、例えば効率化云々といったことについて、細かな計算はしていませんが、コスト削減という面では郵便事業会社をはじめ各社相当の成果を上げていると思います。郵便局会社についても、相当な成果を上げていると思いますし、また、この民営化の中で、例えば貯金も減るに任せていていいわけではないということで、ゆうちょ銀行、そして郵便局会社もきちんと計画を立て、そして、この減少に歯どめをかけようと、懸命に努力していまして、この4月に入ってからですが、その成果が少しずつ見えてきたというところです。郵便局単位の3月末対比で見て、4月は、貯金残高が純増になった郵便局が4,000局近く出てきているという状況です。これが、だんだん増えていってくれることを期待しています。
これはやはり国の後ろ盾がなくなって、自立していかなければならないという意識改革がだんだんと浸透してきているという証ではないかと思います。
【記者】
今のお話と関連する質問です。いわゆる民営化後の新規事業について、4月・5月あたりからゆうちょ銀行、かんぽ生命を中心に、開始しておられるわけですが、それらは今期の業績予想に反映されているのでしょうか。また、個々の新規ビジネスについて、個別の金額、あるいはグループトータルでどの程度の金額を見込んでいらっしゃるのかをお聞かせください。
【社長】
新規ビジネスについては、今月の1日からクレジットカードの発行を始めています。また、昨日からは変額年金保険の取扱い、住宅ローンをはじめとする個人ローンについてスルガ銀行さんの媒介を始めたといったようなことが、前下半期から今期にかけてかなり出てきております。こういう新しいビジネスは半年、1年くらいで目立った収益が上がるというものではなく、当初は、むしろイニシャルコストがかなりかさんでくるものです。相当なボリュームに達して初めて収益が上がってくるというものですから、これは数年間見ていかなければならないということです。
今の事業計画等ではそれを大きくカウントしているものではありません。
【記者】
決算の話と直接関係ないのですが、先日、郵便局会社の副社長に森さんが昇格されるという人事をお聞きしました。これは春以降の「郵便局活力向上宣言」とか、先日も全特さんの大会がありましたが、非常に前向きな動きがとてもたくさん出てきている中で、郵政省からのプロパーの方がトップの方に就かれるのは、民営化後珍しいのではないかと思ったのですが、何かこれには狙いがあるのでしょうか。
【社長】
珍しいと言われると答えようがないのですが、当たり前のことではないでしょうか。私のように外から来た人間が主力を占めているというわけではなく、もう圧倒的に人数が多いのは郵政公社出身の方々ですし、その方々はそれぞれの分野でこれまで培ってこられたご経験もあるわけですし、特に郵便局会社の場合はやはり経営陣を強化していかなければならないという大きな課題があります。
森さんには、ぜひ、トップマネジメントとして頑張っていただきたいという意味合いで、今度、取締役副社長をお願いしました。
【記者】
提携の話ですが、特にゆうちょ銀行とかは、これから新しい分野に参入していくことになるのですが、一方では、地方銀行側もそれに対する包囲網という形を形成しています。そういう中で、競争がかなり激しくなってくるのではないかと思うのですが、その点についてのお考えをお聞きします。
それから、10月に宅配事業で、日本通運さんと一緒に合弁会社をつくってやっていかれるということですが、環境的にはかなり競争が厳しいと思うのですが、そのあたりについてどうお考えでしょうか。
それから、20年度は実質上の民営化元年というお話がありましたが、グループ全体としてどのような課題を抱えているのかお聞きします。
【社長】
課題については、冒頭申し上げたことに尽きると思いますが、色々な分野での競争の激化ということは、当然、我々としてもあり得べしということで臨んでいるわけで、そうなることが、この民営化の1つの大きな狙いであったと思いますし、結果として、顧客サービスの向上、利用者利便の向上につながっていくのであれば、むしろそれは歓迎すべきことではないかと考えます。
切磋琢磨して、そして、顧客利便の向上を実現していくことは、むしろ積極的に取り組むべきことではないかと思います。
それは、金融事業であれ、物流であれ、全く同じことです。我々はサービス面で遅れているところ、あるいは品質において劣後している部分がありますから、まずはその遅れている部分、劣後している部分をキャッチアップしていくことになります。
そのためには、提携あるいは事業統合等も考えなければならないということです。
【記者】
今回の決算は、かんぽ生命の運用損が一番大きかったということなのですが、これは市場環境が今こういう状況なのでやむを得ないと社長は認識されているのか、あるいは、さはさりながら民営化したこともあり、運用ノウハウとか、運用能力の点をもう少し考えていかなければならないのか、そのあたりをどうご認識されているか、お聞かせください。
【社長】
同じような運用を銀行、保険、両社とも行なっているわけですが、かんぽ生命の場合は資金調達サイドと申しますか、あるいは負債サイドと申しますか、これが長期計画に基づくものですから、運用についてもどうしても長期的な運用を考えざるを得ないこととなります。
ということで、あまり短期的な売買を繰り返すということはしない運用方法をとってきているわけです。一方、銀行の場合は必ずしもそうではなく、相場の状況を予測しながら、ポジション調整を繰り返していくことになるわけです。
その違いがありまして、かんぽ生命の場合は9月末の相場で、承継の際に時価評価せざるを得なかったわけですが、その後株価が急落してきたという非常に不幸な結果であり、9月に時価評価していなければこのようなことにならなかったものです。9月に時価評価したために、9月中間期はとても利益が出ました。下半期はその裏目が出てしまったということですから、やむを得ないところがあったと思います。
また、今、3割のライン以下に下落すると減損処理することにしていますから、相場が戻ればよくなることがあるかもしれません。そういう違いが出ているということです。
【幹事社記者】
ありがとうございました。
【社長】
ありがとうございました。