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2008年4月18日 金曜日 日本郵政株式会社 社長会見の内容

2008年4月18日 金曜日 日本郵政株式会社 社長会見の内容

「新規業務の認可取得」について

【社長】
本日は、まず私の方から1件、ご報告をさせていただきます。
本日、ゆうちょ銀行・かんぽ生命におきまして、昨年の11月26日に金融庁長官及び総務大臣に対して認可申請しておりました新規業務、具体的には、ゆうちょ銀行では、クレジットカード業務、変額個人年金保険等生命保険募集業務、住宅ローン等の媒介業務、かんぽ生命では、法人向け商品の受託販売、入院特約の見直しの合わせて5つの新規業務につきまして認可をいただきました。金融庁、総務省などの関係省庁をはじめ、ご審議いただきました郵政民営化委員会の関係者の方々に厚く御礼を申し上げます。
これらの業務を実施することにより、お客さまの利便性向上や両社の経営の安定に大きく資するものと考えております。
商品・サービスの詳細や開始時期につきましては、改めてお知らせしたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
認可の概要について、私のこの会見終了後に、ゆうちょ銀行及びかんぽ生命の担当がご説明を申し上げます。ご質問もあろうかと思いますが、その説明の際にお願いいたします。
私からは、以上です。
【幹事社記者】
幾つか質問させていただきます。
まず、ゆうちょの限度額見直しの問題ですが、全銀協などからは、肥大化につながるのではないかという懸念の声も聞こえていますが、改めて、見直しを要望された理由と、そういう肥大化批判に対し、どう答えられるのか、お答えいただけますでしょうか。
【社長】
今回ご要望を申し上げたのはご承知のように流動性預金、具体的には、通常貯金を限度額管理の対象から外していただきたいというものです。もちろん1,000万円の限度額は続けていくことを前提に、通常貯金はその限度額の対象から外していただきたいというものです。これを政令改正要望という形でお願いしたところです。
これは、専ら顧客利便の向上と、顧客利便の確保という観点からお願いしているわけで、通常貯金を限度額管理から外すことによって、貯金残高を増やそうという考えは毛頭ありません。そういう類いのものでもありません。
したがって、このことによって、貯金ボリュームが肥大化していくということは全く想定していません。それはないと思います。
【幹事社記者】
あと、もう1点、昨日の自民党の部会で郵便局の経営について、だいぶ厳しい意見も出ていたようですが、民営化から半年経って、持ち株会社の下に4つの事業会社がぶら下がっているという形態の効率性などを来年春に向けて、見直すと言う人もいるわけです。そういうことが、今後、必要になってくるのか。あるいは、今の形態がベストなのか、それらについてのお考えを改めてお聞きできますでしょうか。
【社長】
私どもは、現行の郵政民営化関連法等に則って、そこに掲げられた理念であるとか、あるいは民営化のねらいであるとかを、きっちりと実現していくことに邁進するだけでして、制度変更とか、仕組みの変更とか、こういうことについては、一切考えておりませんし、また、我々から申すべきものでもないですし、今、その必要性もないと思っています。
【幹事社記者】
わかりました。
では、各社、お願いします。
【記者】
昨日の自民党の総務部会の関係でお尋ねします。部会において、日本郵政の受取配当金が、当初の実施計画に比べて大幅に減少したことについての指摘があったと思います。まず、この理由について、お聞かせください。
【社長】
昨年の4月に公表しました実施計画との対比において、日本郵政の受取配当金が320億円減少していることは事実ですが、この実施計画策定の段階においては、4事業子会社ともに、その事業の内容にかかわらず、民間上場企業の平均的な配当性向を見て、配当金、受取配当金の額を決めたということですが、今度の事業計画の中では、例えば、ゆうちょ銀行は銀行、郵便事業は物流会社といったように業種別に、その平均的な配当性向を見て、受取配当金の見積りをしたということです。その結果、合計で490億円、実施計画に比べて320億円減少しているということです。
実際の子会社からの受取配当金は、19年度決算を踏まえて決定されるものであり、事業計画に記載している計画額は、現時点で決定されたものではありません。来月、19年度決算が確定してくるわけですが、その中で決定されるということです。
【記者】
配当性向も合わせて、その際に、きっちりとしたものになるのですか。
【社長】
そういうことになると思います。
【記者】
日本通運さんとの提携の話の進捗状況についてですが、4月中に基本的な契約を結ぶという運びだったと思うのですが、それと10月には子会社設立ということだったと思いますが、その後のスケジュール観というか、進捗状況はいかがでしょうか。
【社長】
おおむね、当初申し上げているとおりです。今月中には、基本的な考え方について契約を締結する予定です。もうあと10日ぐらいですが。
【記者】
連休に入る前にということでよろしいでしょうか。
【社長】
そうですね。
【記者】
特定局との局舎買い取り計画が、遅れているという話を聞きましたが、来月、全特総会もありますし、その辺の状況はどうなのでしょうか。
【社長】
局舎の買い取りについては、郵便局側からの希望があれば、買い取りますが、全部について買い取り案を提示しているわけではありません。賃借料の見直し等については、郵便局側と協議して、見直すべきものは見直していきたいと考えております。この点について、どういうやり方をするか、現在協議中です。
【記者】
遅れていると言ってもいいのでしょうか。
【社長】
もともと、簡単に決着できる話ではありませんので、いろいろ意見もありますから、そのすり合わせを丹念にやっているという状況です。
【記者】
新規業務の今日の認可の関係なのですが、細かい部分については後ほどお聞きしますが、これは国民利便の向上と両社の経営に資するという2点で意義深いお話だと思います。ただ、まだ民営化の果実というものを国民が理解できていないところがあると思います。やはり、新規サービス、新規商品がどんどん増えてくれば、我々としては、民営化ってこんなにいいことがあるんだということを実感できるのだと思います。
今回は、その第1弾なのでしょうか。それとも、ある程度、今回の5商品でほぼ出そろったということになるのでしょうか。
【社長】
これだけで十分というわけではありませんが、今回が第1ラウンドということです。
【記者】
第1ラウンドですか。
【社長】
そうです。そう一気にあれこれと申し上げても、いろいろご意見のあるところでもありますし、一挙に進むものでもありませんので、段階的に新しい業務を拡大していかざるを得ないということです。一方において、民業圧迫論というものも根強くありますので、郵政民営化委員会でご審議していただいた上で、一つ一つ関係省庁の認可を頂戴して、実行していくということです。
それよりも前に、もしくは、それと同時並行的に業務フローのあり方について見直していこうと考えています。民営化に際して新しい規制の導入、あるいは、リスク管理といった観点やシステム開発により、やや過重な業務負担を郵便局窓口に課していることで、逆に、お客さまにご不便をおかけしています。例えば、本人確認の問題であるとか、あるいは、業務フローの複雑化、煩雑化が原因でお客さまをお待たせするなど、ご不便をおかけしている面が少なくありません。これについては、半年経過したところで全部見直し、郵便局の活性化、活力の向上を図ろうということで、2月末に郵便局会社がトップのメッセージとして、郵便局活力向上宣言というものを郵便局長あてに発出しています。この宣言には、たくさん項目があるわけですが、それぞれの項目について、きちんとスケジュールを決めて、できるだけ早くそれぞれの項目を実現するということも、同時に顧客利便の向上と、あるいは、ご不便の解消ということに結びついていくものと考えています。新しい業務もさることながら、現在抱えている問題点を除去していくことも大変重要であると考えています。
【記者】
先ほど、限度額の関係で、貯金残高のボリュームを増やすという考えは毛頭ないとおっしゃっていましたが、貯金残高の減少傾向がずっと続いており、今年度末には177兆5,000億円まで減るという計画の中で、この減少傾向が続くことについて、どうお考えになっているのか、改めてお伺いします。また、もし、これにストップをかけたいというお考えであれば、どういう形で対応されるのでしょうか。
【社長】
私は、貯金残高を減るに任せているわけにはいかないと考えています。2000年3月末に260兆円というピークを迎えて以来、大体、年間10兆円ペースで減少してきていますが、ゆうちょ銀行の20年度の計画では、減少ペースを半分以下の4兆円台にすることになっています。これまでは何もやっていませんでしたから、10兆円規模で減少してきた、その減少幅を半減させることを目指しています。しかし、半減以下にするだけでも結構努力を要することだと思います。
郵便局とゆうちょ銀行の直営店があるわけですが、郵便局の占めるウエイトが9割以上です。約92%は郵便局ですから、直営店だけでは、本当に7~8%しかないので、郵便局の営業活動をしっかりやっていけるようにしなければなりません。そのためには、先ほど申し上げたように、郵便局の業務の中で過重に負担がかかっているところを取り払い、過重になっている部分を早く是正して、リスク管理はしっかりやりながらも営業活動に力を入れられるようにしていかなければなりません。
相当頑張っても、減少を食いとめることは容易ではないと思います。ゆうちょ銀行の主力商品である定額貯金が、この低金利の中で魅力をなくしていることが大きな減少要因の一つですから、営業努力だけでは何ともしがたいところがありますが、その中でも、できるだけ努力して残高減少を食いとめる、あるいは、その減少幅を小さくしていくという努力をしなければならないだろうと思っています。
これは運用との絡みもありまして、資金運用の方は、現在国債中心で、確保できる利ざやが限られています。この3月までは、かつての預託金が残っていましたが、3月で全て償還されました。これはこれで1つの高利回りの運用であったわけですが、これがなくなったということですから、新しい運用でできるだけ利ざやを確保し、国債よりも利ざやを大きくすることを実現していかないと、ある程度はボリュームに頼る必要があると思います。
ですから、一方でしっかり利ざやを確保できるようにする。運用対象の拡大については、一部認められており、例えば、クレジットものや、シンジケートへの参加、債権の買い取りであるとか、こういうことができることになりました。しかし、これだけでは限られたものですから、さらに運用対象の拡大をお願いしていかなければならないわけです。その一方において、それらを行ないながら利ざやの確保に努力する。そうでなければ、なかなかボリュームの縮小を容認していくというわけにはいきません。
ただ、繰り返しになりますが、流動性預金を限度額管理から外してもらうことによって、これでさらにボリュームアップを図ろうという考えはありません。
【幹事社記者】
ありがとうございました。
【社長】
ありがとうございました。