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- 2008年1月16日 水曜日 日本郵政株式会社 社長会見の内容
2008年1月16日 水曜日 日本郵政株式会社 社長会見の内容
「平成20年用年賀はがきの配達・販売状況」について
「年賀はがきの古紙配合率」について
「ゆうちょ銀行ATMの年末年始の稼働状況」について
- 【社長】
- 本日は、私から3件についてご報告をいたします。まず1点目は「平成20年用年賀はがきの販売・配達状況」について、2点目が「年賀はがきの古紙配合率」について、そして最後に「ゆうちょ銀行ATMの年末年始の稼働状況」についてです。
- まず、平成20年用年賀はがきの販売につきましては、1月7日時点で36億260万枚で、対前年比99.8%と、ほぼ前年並みとなっております。平成20年用年賀はがきは40億枚という販売目標を掲げて、グループ全体で年賀はがきの販売に邁進してまいりました。大変残念ながら、所期の目標は達成できませんでしたが、過去3年間で約10%も減少するという年賀はがき販売の低落傾向に、一応の歯止めをかけることができたのではないかと存じます。
- 一方、配達につきましては、1月7日時点で29億5,200万通の年賀状を配達しております。これは、対前年比99.3%と、ほぼ前年並みとなっています。
今期はより多くの年賀状を元日にお届けすることを一つの目標にして、12月25日までに投函していただいた年賀状は元日に、12月26日以降28日までに投函していただいた年賀状は、できる限り元日にお届けできるよう、万全の体制で取り組んできました。
お客様に12月25日、26日に多くの年賀状を投函していただいたこと、また、前年の反省を踏まえて計画を立て、社員が一丸となって取り組んだこと等から、今年の元日は前年より1億2,400万通多い、20億3,300万通、対前年比106.5%の年賀状を配達することができました。
これは12月30日までに投函していただいた総通数の約90%の通数になります。ちなみに前年は約84%でございました。
また、昨年は、サービス相談センターに年賀状の遅配に関する苦情が多数寄せられましたが、今期は前年に比べて80%強も減少しました。
早期の投函にご協力いただきましたお客様、そして、年賀状の早期投函を記事に取り上げていただきましたマスコミ関係の方々にこの場をお借りして、お礼を申し上げたいと思います。 - 次に、先般報道がありました再生紙使用の年賀はがきの古紙配合率の問題ですが、私どもが発注先に求めていた配合率の基準を、大きく下回っていたことが明らかになりました。環境対策に積極的に取り組んでいる日本郵政グループとして、お客様の信頼を損なうような事態になったことについては、大変申し訳なく思っております。
現在、詳細な調査を行なっており、その調査結果を踏まえて、今後の対応を検討してまいりたいと考えております。 - 最後に、ゆうちょ銀行のATM稼働についてですが、この正月三が日は、公社時代を含めて、初めて、日曜・休日に稼働しているATM、ホリデーサービス実施ATMといいますが、これを、原則、稼働いたしました。資金補充や保守対応、システム面に万全を期して臨んだ結果、順調にサービスを提供することができました。
- 私からは以上でございます。
- 【幹事社記者】
- それでは、幹事社から2問、質問させていただきます。まず、年明け初めての会見ということで、年頭に当たっての社長の抱負を伺いたいと思います。
- 【社長】
- はい。今年は事実上の民営化元年でございます。民間会社として、経営基盤をしっかり固める年だと考えております。
特に大切なことは、会社のいわゆる足腰をしっかりさせること、つまり、ルールをきちんと守り、コンプライアンスをしっかり行なうこと。また、小さな業務やオペレーションも、おろそかにすることなく、緊張感を持って、確実かつ正確に処理すること。こうした取り組みによって、会社の足腰は強くなるものだと考えます。
また、同時に今後のグループ各社の株式上場も視野に入れまして、各社が提供するサービスについて、お客様から高い評価をいただき、また、投資家の皆様からも信任が得られる収益構造を構築して、競争力を強めてまいりたいと考えております。
さらに私がいつも言っていることでありますが、全役職員の創意工夫というものが、最大限に発揮され、そして、努力が必ず報われる職場づくりにも注力していかなければならないと考えております。
これらのことを通じて、JP日本郵政グループの看板であります「安心と信頼」を最高のブランドとして高めていきたいと願っているところです。以上が年頭に当たっての抱負です。
- 【幹事社記者】
- 続いて、民営化後のかんぽ生命の新規契約についてお聞きします。公社時代と条件設定等が違いますので、単純比較はできませんが、10月はおよそ公社時代の2割、それから11月も5割程度に留まっています。これは先般、総務省に認可を得た実施計画の前提ともかなり乖離があると思うのですが、この時点で販売体制の見直しなどをお考えかどうか。それから、この件の受けとめについてお聞かせください。
- 【社長】
- かんぽの新規契約につきましては、公社期間中も5割程度減少してきたものであり、私は就任当初から大変危機感を持っていたものです。 これは、お客様のニーズが、死亡保障から医療保障、あるいは、年金といった生前保障へ変化している中で、医療保障ニーズに十分対応できていないということ。かんぽ生命の主力商品であり、貯蓄性の強い普通養老保険の予定利率が大幅に低下してきて、魅力が低下したということなど、商品性、取扱商品の問題が底流にあるということです。
さらに、この11月は、10月に引き続き、営業社員の大半を占める郵便局チャネルにおいて、保険以外の業務の繁忙や、民営化に伴う保険業法等への対応などによって、営業社員の活動量が十分に確保できなかったということ。こういうことから、新契約については、非常に低調な状況になっているということです。
今後の見通しについては、これらの要因がこの先しばらくあると、少なからず影響があると思われますが、かんぽ生命のパートナー営業部職員を活用した最大の販売チャネルである郵便局への販売支援、そして連携のさらなる強化を図るなどによって、早急に改善を図ってまいりたいと考えています。
数字について申し上げると、新規契約は申込みの月ではなく審査をパスした月に計上されていますが、しかしながら、例えば10月の新規契約について申し上げると、公社時代の9月に申し込みを受け付けたものは全てが政府保証のついた簡易保険契約ですから、審査に時間を要したものでも9月の公社の契約にカウントされて10月の新規契約件数にはカウントされていません。
そういうことで、この10月、11月の単純な比較はちょっと難しいということになります。
もちろん会社としては、体制の挽回に努力するわけですが、きちんとした数字が出てくるには、もうしばらく時間がかかるであろうと思います。
- 【幹事社記者】
- 幹事から以上です。各社、どうぞ。
- 【記者】
- 質問を2問お願いします。まず、年賀はがきの販売ですが、全体ではほぼ横ばいぐらいの水準を維持しているのですが、中身を見てみると、例えばカーボンオフセット年賀とか、ディズニー年賀の販売が低迷していたりという状況のようです。それに関して、商品構成をどう評価するのか。それから、どう見直していくのかというのをお伺いします。
- 【社長】
- ディズニー年賀とか、カーボンオフセット年賀、あるいはデザイン年賀について、アイデア自体はよかったのですが、その商品性に若干問題があったと思います。
例えば、ディズニー年賀は、全面がキャラクターになっているということ、そして「謹賀新年」と印刷してあるということで、子供さんにはちょっとフィットしなかったという面があったのではないかと思います。また、カーボンオフセット年賀については、これもアイデアは非常によかったと思いますが、お客さまにはまだよく理解されなかった、徹底されなかったというところがあったのではないかと思います。カーボンオフセット年賀とは何ぞやということですね。環境には随分関心を持っていただいているお客さまが多いわけですが、カーボンオフセット年賀という言葉自体、よく理解されていなかったという面があったと思います。
これらの点について、もっとよく理解されるようにしていかなければならないということだと思います。
デザイン年賀についても、全面がデザインで年賀の文章を書きにくいというところがあったのではないかと思います。デザインとしてはすばらしいデザインですが、実用性がないということだったのかなと思います。
いろいろ反省点がありまして、これらの反省点を洗い出して、来年用の年賀はがきに活かしてまいりたいと考えています。
- 【記者】
- 次に、ゆうちょ銀行に関する質問ですが、今、欧米金融機関がサブプライムローンの損失を改善しようとしている。そういう中で、世界の銀行、いわゆるウェルスファンドとか、昨日は、みずほコーポがメリルに出資するなどの動きが出ています。ゆうちょ銀行は大量の資金を持っているわけでもあり、そういう中で、ゆうちょ銀に資本支援の要請は来ていないのかということと、それから、たぶん今後、上場して、一般の民間企業と横並びになった場合に、そういうことを将来的に行なう可能性があるのかということを教えてください。
- 【社長】
- 海外投資については、今の段階において、我々には、何ら要請はありません。
今後につきましても、ゆうちょ銀行の今後の展開いかんにもよりますが、今のところは、完全な民営化と申しますか、株式の処分が相当量進み、過半数以上が処分され、間接的な政府出資がマイノリティになっていくという時期にならないことには、なかなか難しいのではないかなという感じがします。
- 【記者】
- それは、上場後は戦略としては十分あり得るということでしょうか。
- 【社長】
- 保有株数がどうなるかということ、そして、ゆうちょ銀行の本業の展開がどうなっていくかということによって、その辺の判断は変わってくるだろうと思います。
本業がしっかりしていないのに、リスクのある大きな海外投資をするわけにはいかないでしょうから、その展開いかんにもよるということだと思います。
- 【記者】
- と言いますと、欧米のシティなりメリルなり、それなりに名の通った金融機関に出資すること自体、社長ご自身は、かなりリスクが高いものだとお考えですか。
- 【社長】
- これは私の個人的な判断ですから、コメントするのはやめておきましょう。
- 【記者】
- ありがとうございました。
- 【記者】
- 同じく、ゆうちょ銀行の関係ですが、個人のお客さま向けの投資信託についてお聞きします。民営化前、駆け込み的に、投資信託をかなり売ってきた経緯がございますね。今日も株価がかなり落ちていますが、これによって、かなり損失を被っているお客さまも多いと思うのです。聞くところによると、保有する投信の価格が20万円以上下落すると、レッドアラームが点滅すると聞いたのですが、そのように20万円以上目減りしているようなお客さんを、どれくらい抱えているのでしょうか。
それから、こういう市況の中での投信の販売、つまりは手数料ビジネスについてお聞きします。今後のゆうちょ銀行の方向性としては、手数料ビジネスは大きいと思うのですが、この辺を見直されるお考えはないのでしょうか。
先ほど欧米の話もありましたが、サブプライムとの絡みで、西川社長が思い描かれています、ゆうちょ銀行の保有ポートフォリオの戦略見直しがあるのか、そういったことは、まだ感じていらっしゃらないのかをお聞かせください。
- 【社長】
- 投資信託については、確かに各ファンドとも、程度の差はありますが、基準価額が下落しているという状況だと思います。これは申し上げるまでもなく、市場環境によるものですが、なかんずく日本の株式価格の下落、そして、円高の進行等によるものであろうと思います。
REITにつきましても、このところ、価格ダウンが目立つということであり、基準価額が下落しています。お買いになった時期の基準価額と、現在の基準価額との間には、程度の差はありますが、これは、あくまでも評価損の問題です。
また、この保有期間中に分配金が支払われているものも多いわけであり、最終的な損失というものがどれくらいになるのかは何とも言えないということ、20万円以上の評価損の出ているお客さまがどれだけおられるかと言われると、ちょっと数字はありません。
それぞれお客さまに対して、投信会社の作成した資料により、相場の状況等をしっかりとご説明しているところです。
そして、今後の販売方策としては、特に変わるものではありませんが、お客様のニーズに応じて対応していくということです。
お客さまによりましては、今、基準価額が相当下がったということで、むしろ先行き期待できるのではないかというお考えの方もおられるかも知れません。お客さまの判断を尊重しながら、対応していく以外にないということです。
投資信託などの投資商品というのは、長期投資という考え方で臨むもので、短期的な動きによって一喜一憂するものではないだろうと個人的には思います。やはり分散して長期投資することが正解であろうと私は考えています。
それから、ゆうちょ銀行のポートフォリオについてですが、言われるようなサブプライムローンのような債権、証券化された債権がいろいろな形で組み込まれているようなCDOに、今、ゆうちょ銀行が手を出すという考えはありませんので、その点はご心配いただくことはないと思います。
そういった代替投資、オルタナティブ投資というものは、全く関心がないというわけではありませんが、今、直ちにそういうものに投資していくだけの体制が整っているというわけではありませんので、そこは慎重にやっていかなければならないと思います。
- 【記者】
- 再生紙の年賀はがきについてお聞きしたいのですが、古紙がほとんど使われていなかったということについて、社長の率直な感想と、販売元としての責任について、どのようにお考えなのでしょうか。
- 【社長】
- まず、問題になった日本製紙については、1%から5%ということで、基準になっている40%からすれば非常に低いということであります。印刷会社を通じて発注している製紙会社、5社ですが、それぞれ40%に満たない、多いところで20%ということが調べてみて判明しています。
これは、私どもが今回の報道を受けるまで知らなかったこととは申せ、お客さまの信頼を裏切ったということに対して、大変申し訳なく思っております。 古紙の配合率につきましては、印刷会社から提出される社内検査実施報告書によって確認をしていまして、当社としては、自ら、理化学試験は行なっていません。
販売元としての責任というお話でありますが、再生紙はがきの古紙配合率40%は社内で決めた基準とは言え、お客さまの信頼を損なうような事態になったことについて大変申し訳なく思っています。
我々、直接の契約相手は印刷会社であり、その印刷会社と製紙会社が契約しているものではありますが、具体的な対応については、現在いろいろ調査していますので、その結果を踏まえて、対応を別途検討するということにしています。
- 【記者】
- 日本製紙では、古紙の配合が少なかった理由として品質というものを挙げているのですが、印刷会社を通じてですけれども、その品質管理に対して厳しいというか、何かそういった注文というのはあったのでしょうか。
- 【社長】
- 特にございません。当社としては、仕様の中で、はがき用紙のちりやインクの固まりのような小さな黒い墨玉等について、目立たないことと定めていまして、それによって、一定の品質を確保することとしているわけです。
しかしながら、当社からこの品質確保のために、少し配合率を落とすようにと印刷会社に求めたという事実はありません。
- 【記者】
- 年賀はがきの販売に関して3点ほどお聞きします。まず、1点目は、先ほど減少傾向に一応歯止めがかかったということをおっしゃいましたが、片や、それを上向きに反転させるように相当額の広告費、倍以上の宣伝費用がかかっているようですが、投資対効果ということについて民間企業としてどうお考えなのか。
2点目は、年賀はがきを横ばい傾向まで食いとめたものの、大きく見ると減少傾向がある中で、ちょっと気が早いですが、来年用の年賀はがきの発行枚数はどれくらい見込んでいるのか、そして、3点目は、これはわかればで結構なのですが、年賀はがきがどれぐらいの規模で余ると、どれくらいのリサイクル費用がかかるのか、以上3点について教えていただけないでしょうか。
- 【社長】
- 40億枚に挑戦しようと、宣伝費も相当に投入したということでありますが、反省してみると、そもそも販売戦略において、抜かっているところがあったと受けとめておりまして、その点では残念な面もあります。
郵便局会社は、民営化直後の事務繁忙で出足が遅れていたのですが、それによりかえって危機感を強めたということで、11月下旬あたりから、相当、反転攻勢をかけました。
私も、地域グループの郵便局長会が東京で開かれましたので、そこに参りまして、局長に直接お願いしたり、また、首都圏以外には行けなかったのですが、東京、神奈川、埼玉の特に出遅れているグループの郵便局長のところへ行きまして強く要請したりしました。
郵便局は12月に入りまして相当巻き返し、目標の92%までやってくれたということですが、肝心の郵便事業会社が途中から伸びなくなりました。これは来年に向けて、法人を中心にきちんとした予約活動を行ない、その積み上げの中でしっかりと販売していかなければならないということだと思います。
9割ぎりぎりぐらいということでしたが、せめて90%の前半には持っていきたかったので非常に残念でした。
来年用については、今、何枚ということは申し上げられませんが、今年の年賀販売についての問題点を洗い出し、先ほど申しましたが年賀はがきそのものについてもその問題点を洗い出してきちんと対応していく。その中で目標枚数を改めて検討してまいりたいと思います。
余った年賀はがきについては、主にこれまでは、段ボール原紙用の古紙として使用されてきたようですが、このほかにも今問題になっています年賀はがき用の古紙としても考えられるのではないかと思います。なるべくリサイクル費用が少なくて済むような処理方法をいろいろと考えてまいりたいと思います。費用については、データがないので、この場ではお答えできません。
- 【記者】
- 広告費の80億という金額について、どうみておられますか。
- 【社長】
- これは正直申し上げて、結構無駄が多かったと思います。もっと効率的な使い方があったのではないかという気がします。
販売の終期に、毎日のように新聞広告が出ていましたが、誰もあまり見ていないのではないかと思います。きちんと効果を測定した結果を聞いておりませんので何とも言えませんが、個人的にはそのような受けとめ方をしていました。
- 【記者】
- 確認を2点お願いします。まず1点目ですが、年賀状39億枚販売した分すべてについて、規定の配合率を下回っていたということでよろしいのでしょうか。先ほど確認の際に、印刷会社から提出される社内検査実施報告書で確認しておられたということですが、そちらにはすべて40%という記載があったのでしょうか。
もう1点は、いつからこの配合率の虚偽表示というか、不正があったのでしょうか。
- 【社長】
- 最後のご質問から申し上げますが、これは、当初からです。初めて再生紙はがきを使った時からのようです。年賀はがきにつきましては、平成8年用の絵入り年賀はがきから再生紙化したということでありますが、その当初から40%には満たなかったということです。
それから、1点目の確認ですが、印刷会社から報告書を提出してもらい確認していたわけですが、そのもとになるのは、各製紙会社が印刷会社に提出している品質保証書というものです。これには再生紙の割合が40%と記載されているということです。これに基づいて、社内検査実施報告書が、郵政公社、そして10月以降は郵便事業会社に対して、提出されてきたということです。
- 【記者】
- 39億枚全てということですか。
- 【社長】
- 全てです。
- 【記者】
- かんぽの新規契約が落ち込んだ原因もそうだったと思いますが、お客さまへの営業を担当する郵便局会社などの職員が、民営化直後から繁忙期になってしまったということが、いろいろと年賀販売に影響を与えた面が多かったようにも思うのですが、10月に民営化して、即、年末年始のピークを迎えた、このスケジュール感に若干無理があったというような反省というか、お考えはないのでしょうか。
- 【社長】
- 民営化直後の繁忙の中には、実は当初から予想もされないような原因によって、非常に時間を取られたという面もあったわけです。そういうことがなければ、11月1日からの販売については、それほど大きな影響はなかっただろうと思います。当初のいろいろな事務繁忙が、尾を引いたということは、特に郵便局会社においては事実だったと思います。
私も郵便局を回りまして、いろいろ実情を聞いてまいりましたが、そういう状況であったようです。11月下旬くらいになりまして、ようやく動けるようになってきたという状況です。
- 【記者】
- 予想しなかった原因というのは、郵便認証司のミスとかですか。
- 【社長】
- そういったこともありますし、チェック項目が増えたこと、あるいは事務のやり方が変わったということによる影響も大きかっただろうと思います。
- 【記者】
- 2点お伺いさせていただきます。1点目は、先ほどから出ている、年賀はがきの古紙の配合の話ですが、製紙会社の方に言わせると、そもそも40%では、バーコードの読み取りが実質的にできなくて、40%という配合率は品質的にはあり得ないということを経済産業省などに言っているようです。そういう仕様を見直すとか、それについてどういうご認識なのか。仕様を見直すということもあり得るのかというのが1点目の質問です。
もう1点が、これから始まる春闘についてお伺いしたいのですが、今年の春闘は、いわゆる賃金引き上げがどこまで広がるのか、また、非正規雇用の社員の待遇改善がどこまで進むのか、この2点が産業界でも大きな論点になっているかと思うのですが、JP労組の方でも月例賃金、一時金等の引き上げを求める方向のようですし、非正規雇用の社員の待遇改善についても要求されるそうです。一方で、経営側としては、今年1年、まず経営基盤を固める、足腰を強くするという意味でいうと、何でもかんでも要求を飲むということでもないのかなと察するのですが、春闘に対して、どのようにお考えなのか。この2点について教えてください。
- 【社長】
- 古紙の配合率については、確かに40%で品質がどうなのかということを、3者で慎重に検討していかなければならない問題であろうと思います。
やはり品質面でお客さまにご迷惑をおかけするということがあってはならないと思いますので、その点については、本当に、どういう配合率が適正なのかといったことについて、よく検討して話し合う必要があると思います。
もう1つは、古紙の供給状況がどうなのかということにもよると思います。ご承知のように、ここ数年は中国の古紙需要が非常に多く、日本から随分中国向けに国内価格よりもはるかに高い価格で輸出されているという状況であります。それに応じて国内における古紙回収率は上がっているわけですが、品質の良い古紙が高い価格で中国に行ってしまい、悪い古紙が日本に残っているという状況です。
配合率はこういった需給関係というものもよく考慮に入れた上で考えなければならない問題であろうと思います。
品質の確保ということも大事なことでありますので、慎重に検討していかなければならないと思います。
それから、春闘については、まだ組合とも何も話をしていない段階ですので、この場での回答は、差し控えさせていただきたいと思います。
- 【記者】
- 年賀はがきについて、1点だけ質問させていただきます。くどいようですが、先ほど社長がおっしゃったとおり、地域グループの局長にハッパをかけ、販売については0.2%減、ほぼ前年並みを確保しましたが、その一方で、昨日、発表いただいたのですが、実際に差し出された年賀状は、30億枚を切ってしまい、2%減ということになったわけです。つまり、販売を確保した反面、死蔵されていた年賀はがきが積み上がったということですが、この結果については、どのように分析あるいは受けとめていらっしゃるのか、お聞かせください。
- 【社長】
- 販売と実際の引き受けの差というのは、常にあるわけですが、この1、2%というところが、どういうことを意味するのかは詳細なところまでわかりません。
余ったものについては、切手あるいは、はがきと交換をされるとか、その他の通信用に、例えば、懸賞に応募するような時に年賀はがきが使われるのだと思います。販売と引受の差は実際にはよくわからないところです。
しかし、販売計画枚数を策定する際には、実際に使われる枚数についても、ある程度は考慮していかなければならないと思います。
実際に使われない枚数が少ないからと言って、販売枚数をどんと落とすことが果たしてよいことなのか、この点もよく考えなければならない問題だと思います。
- 【記者】
- 今の質問に関連するのですが、販売すれば需要がちゃんと伸びると見ているのでしょうか。売り方が悪かったとおっしゃったけれども、売れば需要を掘り起こせるのでしょうか。
- 【社長】
- 販売活動で需要の掘り起こしということもやらなければならない。そういう需要の掘り起こしということは狙いの一つとしてやっていかなければならないと考えています。
何も考えずにただ枚数だけを期待するということはいかがなものかということです。やはり、どうやって需要を掘り起こすかということも、まず、考えていかなければならないということだろうと思います。
- 【記者】
- 今年は、そういう意味では、需要の掘り起こしが欠けていたのでしょうか。
- 【社長】
- 多くのコストを費やしその一部で色々なイベントを行なって、それによって需要を掘り起こそうと考えた面ももちろんあるわけです。それがどの程度、好影響をもたらしたかということについては、よく検証してみる必要があると思います。
郵便事業の中で、年賀というのは最大のイベントであり、最大の商品なのですから、今回行なったことに限らず、需要の掘り起こし策というものを、いろいろと考えていかなければいけないと考えています。
最近、年賀状がEメール等に随分シフトしていると一般的に言われるわけですが、年賀はがきは日本の非常にすぐれた文化でもあると思いますので大事にしていかなければならないと思います。
その中で、どうすれば年賀はがきに向いていただけるかということを真剣に考えていかなければならないと思います。
- 【記者】
- この時期に年賀はがきの販売を延長するというのは、お客様のニーズがあってやっていることなのか。また、いろいろ需要の掘り起こしにつながるのかお聞かせください。
- 【社長】
- 多くのお客さまには、遅くとも12月31日までには投函していただいていると思います。
その一方で、年が明けてからゆっくりと年賀状を書こうという方もおられるわけで、そういった方々のニーズにお応えしていくことも大事だと思います。関東では松の内が7日までと言われますが関西では15日までということですので、決しておかしくはないわけです。
一つの季節のあいさつというふうに考えれば、年が明けてからでも、決しておかしくはありませんので、これはしばらく続けてよろしいのではないかと思います。
実際に、年が明けて1週間ぐらいたったところでたまたま出くわしたのですが、ある方が、年賀はがきはありませんかと文房具店でお尋ねでした。印刷したものは売っているのですが、印刷していない年賀はがきはありませんかということを聞いておられました。やはりニーズはあるんだなということを実感したわけです。いろいろなニーズがありますので、そこは我々としても対応できるようにしていくのがよろしいのではないかと思います。
それほど大きなものを期待するわけではありませんが、きちんと対応していくのがよろしいのではないかということです。
- 【幹事社記者】
- どうも、ありがとうございました。
- 【社長】
- どうも、ありがとうございました。