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2023年12月22日 金曜日 日本郵政株式会社 社長会見の内容

2023年12月22日 金曜日 日本郵政株式会社 社長会見の内容

[会見者]
日本郵政株式会社 取締役兼代表執行役社長 増田 寬也
【社長】
本日は私から1件、ご報告申し上げます。
 郵便物などの減少、労働力不足や少子高齢化の進展など、将来の事業を取り巻く環境や社会環境を見据えて、郵便物流事業における先端技術の活用については、積極的な取り組みが必要と考えているところです。ここで言う先端技術の活用の中で、ドローンはその代表的な一つであると考えております。このような状況の下で、一層の省人化、業務効率化を進める必要性から、ドローンなどの新技術の活用が課題解決の一つになり得るのではないかと考え、2016年度から実証実験を開始し、2018年度の福島県における郵便局間輸送など、実現に向けて、さまざまな取り組みを進めてまいりました。本年の3月17日には、昨年12月の航空法改正により実現可能となりましたレベル4飛行を日本で初めて日本郵便で実施するなど、技術と物流の融合を図る取り組みを今、進めているところでございます。
 しかしながら、レベル4飛行を実施するための実用化に向けては、国による第1種の機体認証を取得した機体でなければならないことや、一等無人航空機操縦士の国家資格を保持する操縦者が必要となるなど、機体や人材の確保などの課題がございます。
 一方で、レベル3の飛行は、飛行経路上に第三者が立ち入らないように、立ち入り管理措置などを講ずる必要がございます。ドローンが道路や線路を横断飛行する際、目視のための補助員を配置することや一時停止義務などが課されていましたが、このたび、二等無人航空機操縦士以上の資格の保有と保険の加入などを条件に立ち入り管理措置を撤廃するレベル3.5飛行が新たに設けられることとなりました。
 これを受けて、日本郵便は今週月曜日の12月18日に、レベル3.5でのフライトを兵庫県の豊岡市にて実施いたしました。当日の配送実施の模様につきましては、お手元の資料にございますので、ご確認いただきたいと思います。このレベル3.5は、コスト抑制の面などからも、事業者にとって大きなメリットとなります。これにより、ドローン配送の実用化の取り組みがより進むものと期待をしております。
 また、私どもは、政府が一丸となって推進するデジタルライフライン全国総合整備計画およびその実現会議においても、委員やワーキンググループの構成員として、これまでのドローンの取り組みを通じて蓄積してきた知見、課題を惜しみなく共有させていただき、自社だけでは解決することが難しい大きな社会課題にも、多くの皆さまとともにチャレンジを続けているところでございます。現在、そういう段階でございます。
 なお、昨年12月に業務提携先のACSL様とともに発表しました物流専用機の、こちらの実飛行も、今年度中に皆さまにお披露目できる見込みとなっております。こちらにつきましては、準備が整い次第、改めて日本郵便からご案内申し上げます。 私から以上でございます。
【記者】
よろしくお願いします。1点お伺いします。今月18日の郵政行政分科会で、日本郵便が封書やはがきの郵便料金を来年の秋にも引き上げる方針が示されました。こちらの引き上げについて、その背景や決定の詳細、また今後の業績への影響と、今後の郵便制度自体の見直しの必要性などについて、お考えをお伺いできればと思います。
【社長】
料金引き上げの関係ですが、本年の7月に公表した日本郵便の2022年度、昨年度の郵便事業収支の営業損益が、211億の赤字となりました。この赤字は民営化後、初めてのことです。
 その赤字になった理由ですが、今、SNSやメールなどが非常に日々進展をしており、郵便物数がずっと右肩下がりで推移をしており、なかなか回復を見込めないような状況がございます。他方、人件費や燃料費などがかなり上昇しており、営業費用の増加を収益のほうで打ち返すということが大変難しくなっています。よって、今、郵便事業収支が非常に厳しい見通しであるという状況があります。
 そこで、私ども、総務省にご相談申し上げまして、郵便サービスの提供を継続していくためには、郵便料金の早期の引き上げをお願いせざるを得ないということで、第1種も含めた、料金の引き上げを総務省にお願いをした状況です。25グラム以下の定型郵便物につきましては、省令で決めるということになっておりますので、総務省で私どもの意見も組み入れながらいろいろお考えになられたのだと思います。今回、総務省が省令改正案を審議会に諮問をされたわけですが、その考え方については、今後の郵便事業の収支見通し、その他の郵便法に規定する上限額設定に当たっての勘案要素を踏まえた上で、次の3点、「経営状況に応じて短期間に再度見直すことも念頭に」、「最小限の値上げ幅とする」、「利用者にとって分かりやすい料金とする」の趣旨の下に定めたと、このように承っています。
 私どもも、このような社会情勢の中で料金を引き上げるということは、利用者の皆さまにご負担をさらにおかけするということになりますので、大変心苦しく思っておりますが、一方で、サービスを持続させていくためには、どうしてもこの点ご理解をいただかなければならないと思っており、一層の業務の効率化、生産性の向上、サービスの拡大などにも可能な限り努力をしていきたいと考えております。
 総務省で進められる手続き、今回の審議会については、まだ諮問した段階で結論はこれからということになります。消費者委員会にも意見をお聞きするなど、そちらでもご議論があると聞いております。そういったところでも委員の皆さまからのご意見も多々あろうかと思いますので、そうした点にも十分注視しながら、また、ご意見をお聞きしながら、私どもも一層の経営努力を行っていきたいと考えています。
【記者】
本紙の取材で、郵便局長でつくる全国郵便局長会の下部組織の九州地方郵便局長会と関東地方郵便局長会で、不祥事や防犯対策の名目で、個人情報の行きすぎた収集が半強制的に行われているのではないかということを報道したのですけれども、この問題についてお聞きします。まず、会社として、この実態がどのようになっているのかという調査はされていますか。加えて、されていれば、その結果の詳細を教えてほしいというのと、この事案自体を会社としてどういうふうに受け止めてらっしゃるか、この2つをお聞かせください。
【社長】
今回報道があった件、全国郵便局長会の地方組織で行われているということですが、任意団体で行われている問題ですので、具体的な関係について、日本郵便では内容を把握しておりませんし、今後も調査を行う予定はないということです。
 したがって、そのような報道がなされているということは承知しておりますが、会社として、この問題について特に何か対応するという予定はないということです。
【記者】
今、調査の予定はないということでしたけど、この半強制的な収集自体が、局長会の立場だけではなくて、会社の上下関係を背景にして行われているということがあるのですけれど、これ、会社が全く関係ないとは言いにくいのではないかなと思うのですが、その点はどんなふうに受け止めていらっしゃいますでしょうか。
【社長】
会社として行っている調査ではございません。このことはしっかりとこの場で申し上げさせていただきます。
 人事異動など、会社として行うさまざまな行為については、公平無私として行うということで、これは今後もしっかりと貫いていきたいと思っております。
 郵便局長会でどのような調査が行われているのか、詳細を承知する立場ではございませんが、会社としては、さまざまな社員の人権を守り、行為については公正に行っていきたいと思います。
【記者】
よろしくお願いいたします。1点です。ヤマト運輸との、荷物の移行について教えてください。定期的に協議とかもされていると思うのですけれども、ちょっとずつ移行するというところで、現状は、うまく滞らないように移行ができているのでしょうか。
【社長】
ヤマト様との荷物、「クロネコゆうパケット」の関係は、5段階に分けて順次移行するということで、今、第1段階のところですが、全く問題なくスムーズに行われていると日本郵便から聞いております。来年2月には、「クロネコDM便」の全量を日本郵便が扱うことになります。これはかなり物量が多くなりますので、この準備を今、滞りなく進めるように、全力を挙げているとのことです。また、「クロネコゆうパケット」については、来年春以降の第2段階以降についても滞りなく進められるように今準備をしているということです。
【記者】
ヤマトのほうではパートの問題というか、メイトさんの問題とかそういった雇用の問題がありました。ヤマトの希望する人を郵政のほうで時間制社員として雇用しているだとか、そういったところっていうのは、もし教えていただけるようでしたら、いかがでしょうか、状況というのは。
【社長】
詳細は承知しておりませんが、今の段階での荷物量ですと、私どものほうの体制で十分こなしていけるというふうに聞いております。今後、第5段階まで進んで、「クロネコゆうパケット」全量を日本郵便で扱うようになりますと、もちろん新たに人の手当てなども必要になってくることが考えられますが、それについては、日本郵便の基準に従って採用することになります。もちろんヤマト様の方から応募してくる方もいらっしゃるでしょうが、ヤマト様だけでなく、一般に広く、いろいろな方を採用していくということになると思いますので、公平な条件の下で考えていきたいと思います。
【記者】
お世話になります。郵政事業に関する法改正に向けた動きも水面下で進められているようで、中期経営計画見直しとも関連してくると思うのですけれども、郵便局ネットワークの公的サービスの新たな役割として、増田社長はどのようなことが郵便局にできるとお考えでいらっしゃいますでしょうか。
【社長】
今までは全国に張り巡らされております郵便局がいわゆる基本的な3業務、郵便・物流、貯金、それから生命保険、これを大きな私どもの3業務として行ってまいりました。これから、収益を生み出していく上では、不動産業にも、郵政グループ全体として関わっていきたいと思っております。資産としての不動産を多く持っていると考えておりますので、こういった不動産についての事業展開を強化していくことと、それからもう一つ、いわゆる地方公共団体などが取り扱っているもの、あるいは公共事務周辺のかなり公共性の高い業務などが考えられます。なかなか今、特に地方部では担い手が少なくなっていて、業務としてうまく成り立ち得るかどうか、これから先が心配されているような公共性の高い業務について、郵便局で取り扱うということは、全国にネットワークを持っている事業体としても十分成り立ち得ますし、また、私どもこそがやれるのではないかと思っておりますので、そのような分野について、これから私どもとしてもいろいろな工夫をしながら、事業展開をしていきたいと思っております。
【記者】
ありがとうございます。工夫を凝らして事業展開をされるに当たって、やはりどうしても地方だと、金融が、なかなかサービスができないところとかも多いと思うのですけれども、金融の株式を全部売却でなくて、残しておいたほうがよいとのお考えというのは、ありますでしょうか。
【社長】
今のお話は、金融2社の株式を法律上は100%売却することになっておりますけれども、それを全部売却せずに、ということのご質問かと思いますが、もし、仮にそうなると100%売却するまでを今の法律上は業務の移行期間と捉えて、その移行期間中は、上乗せ規制がかかるようになっております。100%売却すると、上乗せ規制が外れるということになります。さまざま業務を展開してく上で、やはり上乗せ規制があると、どうしても私どもとしても十分な事業展開ができないということになりますので、今の法体系の中で、私どもとしては売却のスケジュールというか、スピード感をいろいろと考えていかなければいけませんが、まず、上乗せ規制をなくすということを最重視して考えていきたいと思っております。
【記者】
ありがとうございます。すいません、あと1点だけ、ドローンですけれども、今年度中に実装、実証じゃなくて、実装ということも展開されるご予定なのでしょうか。
【社長】
今年度中には、物流専用機の実飛行を皆さま方にお披露目できるということなのですが、それをレベル4の形でやるのは難しいようでございまして、レベル4の飛行に対応できるような物流専用機、大型のものに、重たいものも運べるような、そういったものを完成させて、その飛行をお披露目できるというところまでかと思っております。
【記者】
そうすると実証実験ということですよね。
【事務方】
今のご質問につきまして事務方のほうから補足をさせていただきます。
 先ほどの物流専用機に関するご質問ですが、本年度中にまずは新しくできましたレベル3.5を前提とした物流専用機による実証飛行の試行を考えておるところでございます。そして、レベル4の型式認証が取得でき次第、これも来年度以降ということに今、目標を据えておりますが、新しい物流専用機のレベル4飛行による実用化というふうに位置付けて、来年度以降の実用化を目指しているところでございます。したがって、実証という段階は既にもう過ぎたというふうに認識しておりまして、新しい機体による配送の試行を行うことを目標付けておるところでございます。
【記者】
3点あります。18日に総務大臣が情報通信行政・郵政行政審議会に25グラム以下の定形郵便物の郵便料金の上限を110円にするという省令改正案を諮問しました。その説明資料の中で、料金値上げをしない場合、28年度に郵便事業が3,439億円の赤字に陥ると書いてあるのですけれども、そこで質問です。増田社長のご認識はこの総務省資料と同じですか。
【社長】
郵便事業の赤字額ということでよろしいでしょうか。
【記者】
そうです。
【社長】
総務省のほうでおつくりになっている数字は日本郵便からさまざま出している数字と整合は取れていると思いますので、日本郵便の認識と合っているのではないかと思います。
【記者】
となると、2番目の質問も同じ答えになるとは思うのですけれども、今回上限110円になって、その110円にしたとしても、2025年度にいったん黒字化するのだけれども、再び赤字になって、28年度には1,232億円の赤字になるとも書いてあります。それで、だからこそ再度の見直しが必要だと書いてあるのですけども、これもそうすると日本郵便と認識は同じということなのでしょうか。
【社長】
その数字の関係の認識は同じです。したがって今回総務省のほうでも、経営状況に応じて短期間に再度見直すことも念頭にということを私どもに伝えてきておりますが、やはり今のまま、全く条件を変えなければそういうことになるかと思います。
【記者】
分かりました。3つ目の質問はその短期間の再度の見直しのところなのですけれども、これほどまで、1,000億円台の赤字という認識ですと、短期間に再度の見直しって、1回じゃ済まないような気がするのですよ。2回、3回とやらざるを得ない。要するに、今までは料金を見直したら、3年ぐらいは黒字をするというようなレベルでやってきたと思うのですけども、今回はそうじゃなかったので再度の見直し。でも、これぐらい赤字となると、また再度の見直しの後、再度の見直しということもあり得るのかなと想像するのですが、その辺についていかがですか。
【社長】
今回、総務省では、私どもに再度の見直しも念頭にと言われておりますが、もう一つ、最小限度の値上げ幅としたということも言われております。したがって、1年だけ黒字になるけれども、翌年また赤字に転落する、その水準での値上げ幅にしたということだと思います。今のメールですとかSNSがどんどん進んで、そちらに流れていくものを止めるのは大変難しいものがあります。私どもとしては少しでも食い止めたいということで取り組んでいますが、どこまで郵便物の減少が、どのくらいのスピードで、どのくらいの確度で進んでいくのかという問題があります。一方で、今ご質問いただいたように、そんなに短期間に何度も、値上げをするというのは、やはり国民の皆さま方の理解を得るのは非常に難しい部分もあると思います。何かまた新たなコストを削減するようなこと、今、自動ルーティングシステムを開発し、スマートフォンなどを活用した配送の効率化を順次進めていますが、より合理的な配送のやり方、それからまた、区分機をさらに高速化など、さらに何か具体化するものをしっかりと見いだして、総務省で発表された収支計算を改善する方向にしていかなければいけないと、認識しております。
【記者】
関連して、値上げの審議をするというので、令和4年度の赤字があって、それが5年度7月には郵便事業の収支が報告されてというところで、そこから値上げをするのが6年の秋と聞いていますけれども、その間、このグラフでいくと、どんどんまた赤字になっていって、その間、赤字が経営に影響すると思うのですけれども。赤字になったのが分かってから2年半ぐらいかかってしまうのですが、毎年値上げするわけにもいかないですし、民営化委員会で柔軟に対応したいというお話を日本郵便さんがしているのですけれども、何か増田社長のほうで、そういう何か柔軟にしてほしいというところで、お考えはありますでしょうか。
【社長】
まず、今回のことについていいますと、12月18日、今週、総務省が審議会のほうに諮問をされて、この後、先ほど申し上げましたが、消費者庁になると思いますが、消費者委員会などの手続きを経て、順調にいけばという言い方はおかしかもかもしれませんが、来年の春以降には結論が出るだろうと思いますので、諮問された案、110円ということでお認めいただければ、来年の10月に値上げを行っていきたいと日本郵便では考えております。
 したがいまして、来年は9月いっぱいまでは現行料金、それから来年の10月から、残り半年分は新料金ということになりまして、それが2025年度はずっと新料金ですので、2025年度は黒字に転換できると、こういう見込みになっております。
 やはり郵便物の料金というのは、非常に皆さま方がお使いになる公共性の高いものですので、私どものほうで、安易に手続きの簡素化などを申し上げる立場にはございませんし、慎重な検討が必要だろうと思っております。省令改正という手続きを経るというのも、いろいろな経緯とか、これまでの歴史を踏まえてつくられていると思いますので、私どものほうからいろいろなことを申し上げることは差し控えたいと思います。いずれにしても、非常に経営状況が厳しい中で、料金というのは非常に大きな影響がございますので、審議に当たって、私どもも最大限、真摯に向き合いたいと思っておりますし、ぜひこういう経営状況をご理解いただいた上で、速やかに審議していただくことを願っております。
【記者】
総務省のほうの説明会でも、ちょっとお話をしたのですけれども、料金は届け出制になっていて、第1種の定形の上限額だけが省令改正が必要ということで、実質的にも認可と変わらないような手続きをしなきゃいけないわけなのですけれども、例えば、上限のところで幅を持たせるとか、そういうことも、そうすれば、省令の改正のところの手続きは若干少なくなるのかなと思うのですけれども、柔軟性というところで、今、お考えはありますでしょうか。
【社長】
私どもでは、特にどのようにすべきだという考えを持っているわけではありません。もちろん省令で上限額を決めているということですけれども、私どもが考えている料金が上限額となれば、上限で届け出るつもりですが、いずれにしても、これまでいろいろな歴史の中でつくられてきた制度だと思います。むしろ、ご指摘の点については、総務省のほうで、今後いろいろお考えになるのではないかと思います。
【記者】
私からも先ほどから質問が続いている郵便事業の関係について伺います。増田社長がおっしゃっておられるように、毎度毎度の値上げも、非常に理解を得るのは難しい。また、加えて今回の値上げも含めて、郵便物の中長期的な需要というのがどこまで下がるのかというのもなかなか見通しづらい状況かと思います。そうした中で、先ほど増田社長からも幾つかコスト削減の腹案みたいなところについてもお話が出たかと思うのですけれども、より抜本的に、インフラであるとか、ランニングのコストの削減に踏み込むということができないかということについてのお伺いです。全国一律のユニバーサルサービスを義務づけられているという部分で、非常に特殊な立ち位置ではあるとは思うのですけれども、例えば総務省の審議会で全国に17万あるポストの在り方についての議論もされています。ただ、これ、削減を前提としたものではないということで、なかなか、ポストを減らして集配の合理化ということを進められるのかなど、その辺もやや踏み込みがどうなのだという疑問も感じております。増田社長としては、ユニバーサルサービスを維持した上で、その合理化、サービス改善を進めるということですけれども、そこはより踏み込んだ合理化のあり方について、国のほうにも働きかけるということも含めて、ご検討するお考えというのはありますでしょうか。関連して、今、来年までの中計の見直し、ローリングをされるというふうに伺っておりますけれども、例えば、そのローリング後の新しい更新版の中計の中で、そういったコスト削減の具体的な取り組みであるとか、その収支の計画といったところについて、何か新しい要素を加えられるお考えはありますでしょうか。
【社長】
コスト削減も、極限までやっていく必要があると思っております。今、お話にありましたポストについては、全国で約17万5,000本あります。活用方策をどのようにするのかについてですが、実はこれだけ本数がありますので非常にメリットにもなり得ると考えています。レターパックライトやレターパックプラスなどさまざまなポスト投函型の商品を開発しており、今回の値上げ幅の中でも、大体封書ですと3割近い値上げになるのですが、レターパックなど、私どもが非常に強みを持っており、お客さまからも人気の商品については、値上げ幅をぐっと半分程度に圧縮して、皆さま方にお使いいただけるようにしたいと考えています。そうすることにより、お客さまの利便性も非常に高くなりますし、配達でも、特にレターパックライトなどは、郵便受けに入れますので再配達の必要がありません。配達のスピードも速達に準じております。そういう意味では、単に郵便ポストなどを削減すると、かえってそういう人気商品の利便性を損なうのではないかということも考えられまして、どのようにするかということを決めかねています。ただ、非常に投函数の少ないポストを毎日必ず配達員が見回りに行くというのも非効率ですので、もっと合理化できるのではないかということで、今、ポストに郵便物の宛先や氏名が分からないような形でカメラを装着して、郵便物が入った日に取りに行くとか、それから、カメラではなくてセンサーをつけて、それでポストの中の状況を確認するといったテクノロジーを使って、もっと合理化できる部分があるのではないかといったことも、調査検討を進めております。
 申し上げたいのは、まずは、できるだけ利便性を高めて郵便の利用をしていただくこと、そこを追及していかなければいけないと考えます。ご質問のあった極めてインフラ的な部分について、全国くまなくのユニバーサルサービスを義務づけられているがゆえに設定した、そういうインフラをこれからどのようなレベルを考えていくかの分かれ道のようなところにきていると思います。この30年ぐらい値上げをしていなかったのですが、その間アメリカが17回ぐらい、それから、イギリスとかフランスはもう20回とか、世界のいわゆる先進国は、郵便料金を毎年や2年、3年に1度は必ずどんどん引き上げるような、そういう状況にきている中で、私はできるだけ固定的な、安定的な料金にしていきたいと思っております。そのあたりについては本当に、考えに壁を持たずに、それからできるだけテクノロジーを使って、極限まで合理的な集配体制というのを築いていく必要があると思います。新しい商品の開発ですとかメルカリ様などのフリマアプリ向けに、先日も新しいポスト投函型の商品を出しましたが、非常に身近なところで使えるような商品をつくれば、また新たな需要層も発掘できるのではないかと思っておりますので、先ほどご質問いただきました中期経営計画の中で、そういったことも全部まぜ込んで、考えているところであり、新しい要素も入れて、中計の中で反映できるものは反映していきたいと考えております。
(※記者会見における発言および質疑応答をとりまとめたものです。その際、一部、正しい表現・情報に改めました。)