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2023年11月13日 月曜日 日本郵政株式会社 社長会見の内容

2023年11月13日 月曜日 日本郵政株式会社 社長会見の内容

[会見者]
日本郵政株式会社 取締役兼代表執行役社長 増田 寬也
日本郵政株式会社 専務執行役 浅井 智範
【社長】
2024年3月期中間決算のグループ全体の要旨及び株主還元などにつきご説明を申し上げます。お配りしております資料をご覧ください。
 2024年3月期のグループ連結の中間純利益は約1,202億円です。前中間期と比べて約857億円のマイナス、約4割の減益となります。この減益となった主な要因の一番大きな部分は、今年3月に実施したゆうちょ銀行株式の売却による持ち分比率の低下によるものです。その他は、日本郵便における荷物の取扱数の減少、人件費の増加による減収減益によるものです。
 なお、楽天グループ様の株式に関する有価証券評価損につきましては、第1四半期決算で約850億円を計上いたしましたが、第2四半期決算では、株価の回復により、全額戻入を行っております。
 通期業績予想の進捗率は50.1%と、ほぼ計画通りの進捗です。従って、今年5月に公表した今年度の通期業績予想である純利益年間2,400億円には変更はありません。
 続きまして株主還元についてご説明いたします。今年5月に公表いたしました配当予想、中間配当25円、期末配当25円の1株当たり年間配当50円ですが、こちらに変更はありません。
 また5月にあわせて公表いたしました3,000億円を上限とする自己株式取得の状況は、10月末時点で約1,949億円を取得済みであり、現在の進捗率は約65%となっております。
 最後に今後の見通しについてです。
 足元におきましては金利や物価の上昇に加え、世界各地の紛争など、外部環境の不確実性は高まっています。このような状況の中、当グループといたしましては、各社の施策を引き続き推進していくことにより、着実に業績を積み上げてまいります。
 特に厳しい環境が続いております日本郵便については、この10月からゆうパック運賃などを一部見直していることに加え、ヤマトグループ様や楽天グループ様などとのさらなる連携を通じて、荷物分野での収益拡大に努めていきたいと考えております。
 また、先般「ゆうパケットポストmini」というサービスを開始しましたが、こういったポスト投函商品の開発をさらに実施していったり、10月から「日本郵便アプリ」をリニューアルしましたが、郵便全体について、いろいろ調べたりご利用いただく際に、その使いやすさが増すような取り組みを行うことにより、お客さまにお使いいただけるような環境整備にさらに努めていきたいと考えております。
 私からの説明は以上です。決算の詳しい内容につきましてはこの後、専務執行役の浅井から説明を申し上げます。
【専務】
お手元の資料「2024年3月期 第2四半期(中間期)決算の概要」の右下1ページ目をお開きください。
 一部重複するところがありますが、決算の全体感については、先ほど社長から説明がありましたように、最終純利益は減益となりましたが、業績予想対比では着実に進捗しております。
 具体的な計数ですが、経常損益はグループ連結で3,352億円、前中間期比プラス407億円と、こちらは増益となっております。先ほど説明がありましたように、金融2社の運用収益の好調が主因です。
 他方、中間純損益につきましては、連結ベースで1,202億円、前中間期比マイナス857億円と、こちらは減益です。主な要因は2つありまして、一つは、ゆうちょ銀行株式の当社の持分比率が低下したことに伴う影響がマイナス500億円程度です。それからもう一つは、日本郵便が前中間期比でマイナス474億円の減益ということの二つです。
 続きまして通期業績予想との対比です。経常利益、当期純利益の中間進捗率は、いずれも50%以上であり、着実にラップを刻んでおります。金融2社も同様の状況です。
 続きまして2ページ目以降、日本郵便の事業セグメント別及び連結のご説明を申し上げます。
 まず、「郵便・物流事業」です。取扱数量の推移については、郵便、ゆうメール、こちらがそれぞれマイナス3.4%、マイナス12.3%と減少率が拡大しております。
 これは大きな潮流であるデジタル化の推進に加え、郵便については昨年度のマイナンバーカード関連、後期高齢者の保険証の再交付関連といったスポット要因が剥落したことが理由です。
 ゆうメールについては、環境負荷の低減などの動きに伴い、定期刊行物の発行回数などが減少傾向にあり、二桁台の減少率になっております。
 次にゆうパックです。ゆうパケットも含まれておりますが、特にゆうパケットポストなどの好調を背景に、ゆうパック全体では、プラスの1.7%と増加に転じております。
 これを受けた収益への影響は、営業収益が前中間期比でマイナス344億円の減収ということで、荷物、特にゆうメール、それから普通郵便、切手・葉書販売収入などにより減収になっております。
 人件費は、ベースアップに加え、前中間期と比べますと、雇用保険料の割合が1000分の3から1000分の6になったこともあり、増加しております。
 集配運送委託費は、国内は委託費の見直しなどがあり、国際運送料は昨年中国向けの引き受けが停止していた期間がありましたが、これが解除され、取扱量が増えたことによる増加です。
 この結果、営業損益はマイナス507億円、前中間期比444億円減となっております。2期連続で営業損益は赤字となり、郵便物流事業は「減収・減益」です。
 続きまして3ページ目、「郵便局窓口事業」をご覧ください。
 まず受託手数料は銀行手数料、保険手数料を中心に、合計でマイナス192億円の減少となっております。銀行手数料は、ゆうちょ銀行の直営店の効率化に伴う単価引き下げなどによる減少、保険手数料は過去の募集件数の減少に伴う手数料の減少などによるものです。
 交付金については、デジタル化の進展などの対策や、コロナ禍に工事がストップしていた案件の再開などによる負担金の交付金が増えております。
 さらに、人件費は、社員数の減少などに伴い、減っておりますが、経費は、不動産の竣工に伴う取得税など、一時的なスポット要因で増えております。
 この結果、営業利益は304億円、前中間期に比べマイナス67億円、約18%減であり、郵便局窓口事業は「減収・減益」という状況です。
 続きまして、「国際物流事業」です。4ページ目をご覧ください。
 営業収益と営業費用の増減をご覧ください。いずれも大きく減っております。営業収益は、フォワーディング事業の世界的な貨物運賃の急落や、経済停滞により一部荷動きも減っていることもあり、8億5,100万豪ドル減っております。営業費用も、取扱数量の減とコスト削減により、8億100万豪ドル減っておりますが、収益の減少を埋め合わせるまでには至っておりません。この結果、中間期の営業損益は円換算ベース34億円で、前中間期比でマイナス46億円、57%減と、国際物流事業も「減収・減益」となっております。
 ちなみに、事業別の営業損益につきましては、ロジスティクス事業は収益増とコスト削減などに伴い、反転増益になっております。他方フォワーディング事業は今申し上げた要因から大幅な減益になりまして、若干の赤字ということでございます。
 5ページ目をご覧ください。「日本郵便(連結)」です。
 3セグメントとも営業損益は、前中間期比で減益となっております。これを受けまして、日本郵便連結の営業損益は、マイナス201億円と、前中間期に比べて552億円の減です。この流れを受けまして、最終的な中間純損益はマイナス210億円と、前中間期比474億円の減であり、日本郵便連結全体でも「減収・減益」となっております。
 私からの説明は以上です。
【記者】
増田社長に郵便物流事業について伺います。今日の出てきた数字でいうと端的に、非常に事業として厳しい状況だと思います。赤字幅が拡大しておりますし、純利益としても赤字に転落ということで、これ、もともとの想定を上回ってかなり逆風が、もちろん原燃料高といった業界全体に関わるような要因もあると思うのですが、まずこの数字について率直にどのようにとらえておられるかというのをお聞かせください。
 あわせてヤマトさんとの提携については、10月から滑り出し来年2月にもメールも含めてですね、提携範囲を拡大するということで、こちらも中長期的な増収要因にはもちろんなると思うのですが、原燃料高人件費の上昇と逆風が広がる中で、どのような形でその利益貢献というところを求めていかれるのかあわせて戦略的なところもお願いします。
 あと1点、数字上の確認ですけども4月-9月期の取扱数量が4.7%減ということなのですが、7月-9月期で見ると多分こちらの方が、落ち込みが大きいと思うのですが、その数字も合わせてお願いできればと思います。
【社長】
いくつかご質問いただきましたので、順次申し上げます。
 郵便物についてはずっと低落傾向であり、また物流の方もコロナの初めのころは、巣ごもり需要で取り扱いが増えておりましたが、それが剥落しております。特に、eコマースなどもだいぶ増えたのですが、どうも今年の夏ぐらいからは、同業他社様の数字を見ていても、大変厳しい数字になってきています。従いまして、コロナ禍で抑えられていた移動が活発化してくる中で、巣ごもりでいろいろ物を取り寄せられていたのが、実際に現地へ赴いて皆さまお買い求めになることなどにより、このような結果になっているのかと思います。
 もちろんいくつか対策を講じ、手を打っております。やはり一番大きなのは、今お話ございましたヤマト様との提携です。特に「クロネコゆうパケット」は移行の第1段階を10月から始めたばかりで、現在のところ全く滞りなく、順調に進んでおります。また、来年の2月には「クロネコDM便」が日本郵便の取り扱う「ゆうメール」を活用した新サービス「クロネコゆうメール」として取り扱いを開始し、全て私どもで配達いたします。これは、これまで競争が非常に厳しい両者でしたが、やはり得意分野をできるだけ活かしながら、2024年問題などの厳しい環境を乗り越えていこうということで考えたものです。こういったヤマト様や佐川様との提携、それぞれの得意分野を活かすことをより進め、運転手の確保ですとか、ガソリン代の高騰などの物流全体の厳しい状況を乗り切っていくということについて、しっかりと話をしていきたいと考えております。それによっての数字の回復を、私どもも期待をしております。宅配市場は、お互い激しい競争環境におかれておりますが、今後の厳しい物流事業を見据えると協力して業界の課題解決を図っていく必要があると考えます。やはりこういった時期を乗り越える上ではそういうことを一つ一つ積み重ねていきたいと思います。
 それから、料金の設定ですが、やはり、現状を見ますと非常に厳しい状況のため、「ゆうパック」の基本運賃は10月から引き上げておりますし、現在、特約ですとか、そういった法人様との関係については相対でいろいろお話させていただいております。お互いにご理解をいただきながら、そうした料金改定にも取り組んでいきたいと考えております。
 ちなみに郵便の方についても、料金改定を検討しているということはこれまでも申し上げているとおりです。これは多くのご利用の方にご理解いただくことが大前提ですが、料金の見直しについても進めていきたいと考えています。
 日本郵便の郵便や物流についてのサービス、例えば「ゆうパケット」、「ゆうパック」でお出しになられた際に追跡情報などがすぐに手に入るかなど、さまざまな面についてお客さまからのご不満のお声をお聞きしております。この点については、システムを直さなければいけませんので、すぐにはサービスのレベルアップはできないのですが、来年2月の郵便・物流関係のシステム更改後、そういったサービスの向上も併せて図っていきたいと思っております。
 それから、私どもの強みはやはり手紙や小型薄ものの荷物などですが、全国に約17万5千本あるポストに投函する、いわゆるパケット型の商品は利便性も高く非常にお客さまからの評価も高いものとなっています。「レターパック」など、使いやすいものをいくつか提供させていただいておりますが、今後もしっかりとマーケティングなどを行って、新しい商品を投入し、日本郵便については、今回お出ししたような数値を打ち返すような方向に持っていきたいと考えているとこでございます。
【記者】
7月~9月期の実績取扱数量については。
【社長】
7月~9月期は、ご指摘のとおりより厳しい状況ですが、同業他社様も8月などお盆のあたりは相当厳しかったのではないかと思います。同業他社様の前年度からの落ち込みに比較すると私どもの数字はそこまでではないと思っているのですが、いずれにしても、やはり人の移動の活発さと、かなり関係しているのではないかと思っています。
 まだ正確な10月の数字は私のところに届いておりませんが、7月~9月期がそのような状況で、10月はより厳しくなるのかどうか、その時にどのように対応したらそれを打ち返せるのか、もう少し、検討してみたいと思いますし、お客さまの声もしっかりと集めておきたいと思っています。
【記者】
現段階でもゆうパケットについては、勢いをちょっと取り戻してきたのではないかという印象を受けるのですけれども、その要因というのは、どのようなところにあるのでしょうか。
【社長】
やはり小物については、私どもの料金設定や取り扱いが、お客さまにとって使いやすいということがあるのではないかと思っています。特にポスト投函商品であるパケット類はこのところずっと増えてきております。先ほど申しましたように、ポスト投函型の新しい商品などの工夫を考えて、何とか全体としてのマイナス面を取りかえせればと思っています。「ゆうパケットポストmini」が最近発表した商品で、メルカリ様でも取扱いを開始し、多くのご利用をいただいております。ゆうパック全体の中でパケット類はまた別の動きをしていますので、料金設定と使いやすさ、いろいろなニーズに合った商品の開発などをさらに進め、また新たな需要をとらえていきたいと思っております。
【記者】
あと、楽天の荷物については、成果は引き続き出ている感じですかね。
【社長】
楽天様の倉庫を経由しているものは、前期に比べて着実に増えてきており、さらに提携を進めたいと考えています。来月が楽天様では1年で一番大きく荷物が動くスーパーセールの月なのですが、そこでさらに大きな成果が出ることを期待しています。
 大型の倉庫が全国にでき、去年、一昨年の秋口ぐらいから運用がスタートしました。最初のころは少しオペレーションにぎこちないところがあったりしたのですが、現在は倉庫も段々と埋まってきており、オペレーションについても、相当一気に荷物が集中しても対応できるようになっております。来月が楽天様経由の荷物では期待しているところですが、オペレーションのミスなどにより遅延を生じさせないようにし、そのことによってまた評価を高めるようにしていきたいと思っております。
【記者】
あと1点だけ。アフラックとの資本提携の数字というのは、この提携金融事業ところに入っている感じですか。
【社長】
はい。そこに入っております。
【記者】
その他収益というのは全体で伸びていて、不動産が伸びているって書いてあるのですけど、提携金融の方もそれなりに好調という感じでしょうか。
【社長】
アフラック様を含め、予定通りの形で伸びています。
(※記者会見における発言および質疑応答をとりまとめたものです。その際、一部、正しい表現・情報に改めました。)