現在位置:
日本郵政ホームの中の1
日本郵政株式会社の社長等会見の中の3
2012年4月27日 金曜日 日本郵政株式会社 社長会見の内容

2012年4月27日 金曜日 日本郵政株式会社 社長会見の内容

【社長】
本日、参議院本会議で「郵政民営化法等の一部を改正する等の法律」が可決・成立しました。これまで、国会や政府のご関係者、JP労組、全国郵便局長会の皆さん、また40万人の社員の皆さんには、大変ご心配、ご苦労をおかけしてきましたけれども、この間のご尽力に対して心から感謝、お礼を申し上げたいと、それがまず第一でございます。法律成立を受けて、私から3点申し上げたいと思います。
第1点目は、今回の法律で、郵便局会社と郵便事業会社が合併することになりました。法律の趣旨に則り、日本郵政グループの経営を預かる者として、お客さまにご迷惑をお掛けすることのないよう、しっかりと統合準備を進めていきたい。今後、分社化の弊害と言われた部分の解消と、郵便局と郵便支店、あるいは本社・支社の共通部門の統合を段階的に進め、効率的な組織運営を目指したいと考えています。また、改めて今回の法律で義務づけられました金融のユニバーサルサービスを含め、しっかりと3事業のお客さまサービスの提供に取り組んでいきたいと考えています。これが第1点目でございます。
次に、株式の売却凍結が解除になりました。これまで、この法律が存在したため、新規事業への進出が大変認められにくい環境にあったのは事実でございますが、今後は郵政民営化委員会の審議や政府のご認可等、必要な手続きを経て、お客さまに役立つサービスをご提供申し上げ、安定的な経営基盤を確立していくという観点から、様々な新規事業の展開を検討していきたいと思います。これが2点目でございます。
3点目は、将来の上場を目指して、市場や投資家に対して、我々の取り組みを示していく必要があります。郵政グループを競争力ある民間企業として脱皮させ、お客さまの生活を総合的に支援する企業グループとして再生していくことを目指したいと考えておりまして、まずはグループの中期ビジョンの策定について、早急に検討していきたいと思っています。さらに、そのビジョンを踏まえた事業展開、損益計画、投資計画等を盛り込んだ中期的な経営計画等の策定も、株式上場のためには必要でございますので、これについても検討を急ぎたいと考えています。これが3点目でございます。
このようにグループが抱える課題は多いですが、一生懸命やっていきたいと考えています。お客さまに喜ばれるサービスを提供し、コスト意識の徹底と社員の営業努力と相まって、財務体質を改善し、事業が存続できる経営基盤の確立を目指したいと思います。また、それによって、40万人の社員の生活を守りたいと考えております。郵政グループ全体の企業価値の向上に向けて、不断の努力を続けてまいりたいと思っております。冒頭、私から申し上げることは以上です。
【記者】
まず冒頭、私の方から2問質問させていただきます。ただ今のお話にもありましたが、今後、中期的な経営計画を立てられ、企業価値の向上に取り組まれていくそうですが、これは、いずれも上場に際しては必要不可欠なことだと思いますが、例えば、企業価値を向上させるために、具体的にどういったことをお考えでしょうか。
【社長】
まず、分社化の弊害と言われるものを解消することが第一です。具体的には、郵便局と郵便事業会社の窓口を一本化することについて検討を進め、お客さまの不便を順次解消したいと考えています。これが、まず第一です。
それから、直ちに効果は出ませんが、郵便局と郵便支店とか、本社、支社の共通部門の統合を進めていきたいと考えています。それにより、組織の効率化が図られ、相当な費用の圧縮もできるのではないかと思っています。具体的な計画はまだですが。
それから、今、一番問題の郵便事業につきましては、平成24年度営業損益の黒字化に向けて、一生懸命やっている最中ですけれども、もちろん会社統合後もこの取り組みは継続していかなければなりません。新会社の郵便事業部門の黒字化を達成して、郵便事業の再生を図ることが、まず基本だと思います。そのために、基本的に重要なことの1つは、頑張った社員が報われる人事・給与制度の導入ということで、現在のような年功序列的な賃金体系を改めることに注力していきたいと思っています。これによって、社員の士気を上げ、生産性・競争力を向上させることが重要であると考えています。これは、郵便事業に限ったことではなく、グループ各社にとって、すべて同じことだと考えています。
先ほども申し上げましたように、今までは、株式の売却が凍結されたことによって、金融2社については、新規事業への進出が認められにくい環境にあったことは確かですけれども、今回は、郵政民営化委員会の審議とか、政府のご認可とか、依然として、そういう手続きが必要ですが、新規事業が認められますので、新規事業を発掘して、経営の安定に役立てたいと考えています。そのようなことを通じて、マーケットで投資家から高い評価を得る企業に育てていくのが、私どもの使命であると考えています。
また、これも先ほど申しましたとおり、時期はまだ決まっておりませんが、グループの経営戦略を盛り込んだ中期的な経営ビジョンを策定し、お示ししたいと考えております。
【記者】
続けて伺います。今回の改正法についてですが、できるだけ早期に金融2社の株式のすべてを処分することを目指すということになっています。ただ、金融のユニバーサルサービスを維持するためには、一定の政府関与を残す必要があるのではないかという指摘も根強いですが、社長ご自身のお考えとしては、全株処分とユニバーサルサービスの維持というのは、両立できるとお考えでしょうか。
【社長】
その点は、今度の改正案を主導した特別委員会の民主、自民、公明の理事さんたちも言っておられましたが、会社の経営判断だということになっております。私は、郵便の他に、今度新たにつけ加えられた貯金と保険のユニバーサルサービスを維持することは、この法律にも書いてありますから、それがまず第一だと考えております。
そのためには、やはり郵政グループ全体の企業の健全性を維持していかなければならないということですから、それを中心に据えて、果たして金融2社の売却がどれぐらい可能かということについて、検討を進めていくことになると思います。
もちろん、株式市場の状況も勘案しなければなりませんし、基本的には、政府とも、よく相談していかなければならないと考えておりますので、基本的スタンスがどうなるか、確定的なことまでは、まだ考えが至っておりません。
【記者】
最後に1点だけ、追加で伺いたいのですが、先ほど、日本郵政としては上場を目指すというお話でしたが、金融2社についても、株式上場されるというお考えでよろしいのでしょうか。
【社長】
それは、先ほども申したとおり、何が一体、最善の方法かということについて、まだ何ら確固とした経営判断ができておりませんので、それについては、保留したいと思います。
【記者】
今回の改正案については、TPP交渉の関連で、米国から、政府の関与が一定程度残るということに関し、かなり不満の声が出ていますが、おそらく、今回の交渉次第では、金融の新規事業への参入を凍結しろとか、かなり強い要求が出てくることが予想されますが、いわゆるTPPとの関係について、社長はどのようにお考えですか。
【社長】
これは、あくまでも政府間交渉の話でして、私どもが関与する立場にないわけでございます。私どもは、先ほど申し上げましたとおり、お客さまサービスの向上、企業価値の向上ということを第一に考えて、新規事業をしたいため、郵政民営化委員会の審議とか政府の認可をお願いするという立場だけでございまして、それをどう判断され、認可に結びつけるかというのは、政府のご判断でございますので、それ以上、私どもが申し上げることはないと思います。
【記者】
その関係で、いわゆる新規事業というものが凍結されたり、なかなか認められないという状況になった場合は、やはり経営には、かなり大きな影響が出るとお考えですか。
【社長】
それは、やはり、私どもが一生懸命お願いしたとしても、新規事業を認めていただけないということになりますと、経営に影響がないとは言えないと思います。
【記者】
もう1点、全く別ですが、小泉政権以降、日本郵政に関しては、かなり政治の動きで、企業形態もさまざまな変遷をたどってきており、政治にかなり翻弄されているという印象があるのですが、その歴史が、今まで日本郵政グループの社員や経営に与えてきた影響というのは、改めて、どのように総括されていますか。
【社長】
この記者会見の席でも、何回も申し上げたように、先行きがはっきりしないというか、不透明感があったということで、社員の士気が落ちていたことは確かだと思います。
ただ、今度は、幸いなことに、民主、自民、公明という主要の3政党が一致した法律案が通りましたので、非常に、将来は安定した体制になると思います。したがって、社員のモチベーションも上がり、また、上げていかなければならないと思いますが、かなり、一体となった会社の運営ができるようになるのではないかと期待しております。
【記者】
法案が成立しての、今の率直なお気持ちをお聞かせいただけますか。
【社長】
会見で何度も、両手両足を縛られ、なかなか経営が難しいと申し上げてきましたが、その状態がなくなり、非常に法律的に安定した体制で、新体制がスタートできるということで、これからいろいろな意味で、いろいろなことが積極的に展開できるのではないかと思い、大変ありがたいことだと思っています。
【記者】
これからいろいろなことをやらなければならないと、先ほどおっしゃっていましたが、その中で、優先順位をつけるとすれば、どれからやっていかれるのかということと、それから、成長戦略とユニバーサルサービスは、すごく相反するものだと思うのですが、両立できますか。
【社長】
何をやっていくかということについては、先ほど冒頭に申し上げたとおりです。
それから、ユニバーサルサービスと、収益の両立性というのは、要するに、ユニバーサルサービスというのは、法律上、義務づけられているわけですから、その制度、条件のもとで、いかに企業の収益を上げていくかということを、これから目指すということで、片方は、いわば所与の条件ですから、これについては、それを前提として、企業経営を考えていくということに尽きるのではないでしょうか。
【記者】
先ほどの質問で、金融2社の株式について、上場を検討するのかという質問に対し、「保留」というお答えだったのですが、法律上は、完全処分という表現ですが、上場以外に完全処分する手だてというのは、なかなか思いつきません。敢えて、この場で、「保留」とおっしゃられた意味合いを教えていただきたいのですが。
【社長】
処分については、いろいろな形態があり得ますが、それを今、申し上げますと、あたかも、私どもがそれを目指しているように取られてもいけませんので、それについては、コメントしませんが、法律で、「売却」と言わずに「処分」と言っていることは、やはり明らかに違うと、私は考えております。要するに、「処分」というのは何を含むのか、いろいろな考え方がありますが、それについて、具体的なことを申し述べるのは、差し控えたいと思います。今、申しますと、それを目指しているように受け取られても困りますので。ただ、いろいろな形態があると思います。
【記者】
逆に言うと、参議院の附帯決議には、できるだけ多くの国民に株式を持ってもらうようにと記載されていますが、そうすると、可能性としては、金融2社の株式を売却せずに上場する方法についても、選択肢として念頭に入れているということになるのですが、それでよろしいでしょうか。
【社長】
いや、国会の審議で、川端総務大臣がお答えになったように、基本的には売却を第一にすべきだと、これは当然のことだと思います。そのほかに、法律上は「処分」と書いてありますので、そのほかにも手段があり得るのかなという程度のことでございます。
【記者】
大まかな見通しとしてですか。
【社長】
はい。
【記者】
今後、持株会社の上場、株の処分、それから金融2社の株の処分で、その前後関係など、少し長期的なスパンで、何年というところについて、一応、中期計画とか中期ビジョンで盛り込まれると思うのですが、今のところ言える状況であればお考えをお聞かせ願いたいのですが。
【社長】
今は、とても言える状況にないということだけは確かです。
【記者】
ゆうちょ銀行、かんぽ生命についてですが、中期ビジョンについて詳しい設計はこれからなのでしょうが、大きな方向性として、一体、ゆうちょ銀行、かんぽ生命は、どういう会社にするのか、普通の銀行、普通の生命保険会社をつくるのか、あるいは今までの既存の銀行や保険会社とは違うものをつくるのか、どのような銀行や、金融会社をつくろうとお考えなのか、そのイメージをお聞かせいただきたいのと、もう1つは、ゆうちょ、かんぽは、今、約200兆円もの国債を持っているわけですが、この国債運用政策について、何かポリシーはお持ちなのか、その2点をお願いします。
【社長】
いずれも大変難しい質問でございまして、金融2社の今後の経営のあり方とか、国債での運用の仕方というのはすべて、これから、まず1つは金融当局、それからもう1つは郵政民営化委員会、それらといろいろな議論を積み重ねて決めていくものですから、私が今、この席で、あらかじめこういうことにしたいというのは、やや不適切で、やや僭越だと思います。また、逆に予断を与えてしまいます。これから認可権を持っている金融当局と、それと郵政民営化委員会のメンバーもまだどういう人になるかは決まっていませんが、いずれ新しいメンバーが選出されますので、そういう5人の郵政民営化委員の方々と議論を積み重ねて、その中でどういう方向がいいのかという方向性を打ち出していくのが基本で、また、そうしなければならないと思っています。
【記者】
2点ほどお伺いさせていただきます。1点目は、今後の中期経営計画にかかわる話だと思うのですが、新規事業として具体的にどのようなものを念頭に、今の段階で持っておられるのかお聞かせください。
【社長】
新規事業について、何も考えていないと言うと、うそになりますが、これも今度の法律では、新規事業については、郵政民営化委員会の議論を経て認可を得るわけです。それぞれ認可をする金融当局、それから、新しく選ばれる郵政民営化委員の先生方の議論がないと認可していただけないわけですから、その前に、こういう新規事業をやりたいというのは、適当でないと思います。その意味では、今、そういうことについて申し述べるのは、少し差し控えさせていただけたらと思っています。
【記者】
認可を得るためには、おそらく、申請が必要になってくると思うのですが、具体的にいつごろ申請するのか、中身はともかくとして、今後のスケジュールみたいなものについてお聞かせください。
【社長】
もちろん、私共としては、できるだけ早く申請したいと思っているのですが、申請するためには、まず、郵政民営化委員会の議論を経なくてはいけないわけで、まだ民営化委員会の新しい先生の人選も確定していないわけですから、まだ、そこまでとても申し上げる段階にないとしか言いようがないと思います。
【記者】
それと、もう1点。先ほど齋藤社長から、モチベーションが下がるような問題も起きていた中で、新しい方針が決まり、しっかりやっていく機会になるというお話をされたと思います。しかし、先ほど来の金融2社の株の扱いもそうでしょうし、あるいは新規事業についても、はっきりした方針が出ているようで、なかなかはっきりした方針が出ていない。実際、株の売却スケジュールもはっきりしていないわけで、先ほどおっしゃられた、はっきりとしたものができたのでモチベーションが上がるというところと、その辺の整合性について、社長、どのようにお考えでしょうか。
【社長】
株をいつ売るかということを決めることが、必ずしもモチベーションの向上につながるとは思いません。要するに、今回、3党の協議によって法律ができて、この法律は、非常に安定的な法律になったと思います。したがって、この法律の下で、できることをまずしっかりやっていく。まず、第一に、いわゆる分社化の弊害をなくして、私どもの基本である郵便局と郵便事業会社が一緒になって、1つの事業を展開していくということは、大変大きなモチベーションになると思います。そういうことで、段階を追っていろいろやることがあるので、従来と比べて比較にならないということを申し上げておきます。
【記者】
しつこい質問ですみません。今のお話は、新規参入というよりは、重複している部門というところで、今、経営的には厳しい状況が続いていると思うのですが、そこが解消されれば、経営としては安定した状況まで持っていけるというぐらい非効率な部分が残っているというご認識だということでよろしいでしょうか。
【社長】
現在、郵便局会社と郵便事業会社が分離しているのに伴い、それぞれの会社に共通部門という部門があります。今度、この2社が一緒になると、その部門のいわば節減というか、効率化だけで、どれくらいの規模になるかわかりませんが、おそらく、数百億円の経費節減になると思います。そうしますと、今、郵便事業会社が水平線上に出るか出ないかで四苦八苦しており、今年は、おそらく100億ちょっとぐらいの赤字になると思うのですが、それが数百億の単位で生み出されれば、大変なプラスになると思います。
また、基幹的な郵便事業と郵便局会社については、すべてこれから届出制になりますから、認可申請が必要ないわけです。従来も、そういう意味でいうと、金融部門に比べれば、比較的新規事業は認められやすかった、やりやすかった環境ですが、それでも苦闘していたわけです。だから、そういう意味では、今度、いろいろな効率化が図られるというのは、大変大きな要素だと私は思っています。
【社長】
どうぞよろしく応援をお願いします。