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注目選手インタビュー Vol.7 (浦田 理恵選手)

注目選手インタビュー
Vol.7 (浦田 理恵選手)

東京2020に向けて日本郵便が注目する選手をご紹介します。
7人目は、ゴールボール競技の浦田理恵選手です。
2008年の北京から3大会連続でパラリンピックに出場、東京2020大会でも、日本代表として内定しています。代表チームのキャプテン経験も持つ浦田選手に、競技の魅力や経験から学ばれたチーム成長の秘訣について語っていただきました。

浦田 理恵(うらた りえ) ゴールボール(女子)

浦田 理恵(うらた りえ)
生年月日 1977年7月1日
出身 熊本県
経歴 教師を目指し福岡での学生生活を送るさなか、20歳を過ぎた頃から網膜色素変性症(もうまくしきそへんせいしょう)によって急激に視力低下。現在左目の視力はなく、右目も視野が98%欠損しており、強いコントラストのものしか判別できない。26歳の時にゴールボールに出会って競技生活をスタートし、日本代表として北京2008大会を皮切りに3大会連続でパラリンピックに出場。ロンドン2012大会では日本代表チームとして初めての団体競技金メダルを獲得した。東京2020大会にも出場が内定している。

Q:まずは、浦田選手が思うゴールボール競技の魅力を教えてください。

A:障がいの有無の垣根を超えられるスポーツであることですね。アイシェード(目隠し)を装着するから、障がいの有無や症状の度合いに関わらず、誰もが楽しめる競技であることが大きな魅力です。また、見えないということがマイナスに捉えられがちなのですが、ゴールボールをプレーする上では、見えないからこそ音の大切に気づけたり、いろんな音の種類の存在に気が付けて、それを情報源として自分自身が自由に動けたり、障がい者側の強みにできる。見えないことを強みにできるところが、大きな魅力です。

Q:日本チームの特長や注目してほしいところを教えてください。

A:ディフェンス面と攻撃面は一対で表現するもので、どちらの方が大事ということはなく、どちらも大事です。そして両方に共通するキーワードは、「チーム内のつながり」や「コミュニケーション」だと私は思っています。
攻撃面に関しても、それぞれの選手がバラバラにボールを投げているわけではなくて、「いま投げているコースに対して、同時にほかの選手がどのように攻撃を組み立てていくのか」といったところがポイントになるんですよ。試合中は、「ここに投げたから、次はこういう風に投げて!」といった会話も積極的に行いながら、みんなで試合を作っている。これは、日本チームの特長だと思います。
海外選手だと、個の攻撃力で撃ち抜いて得点するというところが印象的。しかし日本選手は、一発で撃ち抜くボールを投げることはなかなか難しい現状があるので、チーム内でお互いの投球を組み合わせてどう得点していくのかというところと、ち密なボールコントロール力をトレーニングして得点力を強化しています。
ディフェンス面は、一人一人が「つながる」ことを意識して、私たちは1枚の壁として動くので、お互いの間に隙間が生まれないように、声を掛け合って左右に動いてチームワークで守り点を獲りに行くことに取り組んでいます。

Q:試合中、要注意の選手は足音で分かるのでしょうか?

A:足音でもわかるし、私たちはコート内の選手だけで戦っているわけではなくて、ベンチや、コート外にいる情報班のスタッフも同じチームでやっている。そこから「〇〇選手がこのコースで撃ってくる来る割合は何%」だとか、「こんな攻撃パターンに気を付けて」といった情報をたくさんもらいながら試合に臨むんです。
そういったデータはあくまでもデータで、確実なものはないから、もちろん最終的な判断はコートの中で聞く「音」になるけれど、事前に準備ができるという点では、「チームで戦う」という感じです。

Q:情報戦が各国で交わされているんですね

A:そうですね。そういった情報と合わせて、足音やテイクバック(投球準備)の音の鳴り方で、どの選手が投げてくるかというのは大体判別できます。

Q:ボールが怖いという感覚は、最初からなかったのですか?

A:ボールがバンバン体に当たって、物理的に痛いものは痛いですよ(笑)。そのあたりはサポーターを装着し等、カバーすることで痛みを軽減し、恐怖も軽減されました。またスポーツなので、どうしても怪我が付き物ではあるけれど、怪我することで逆に自分の足りない部分や弱みが浮き彫りになって成長するきっかけになってくるので......私自身は、強くなるためには痛い思いする必要があるものだと考えています。

Q:浦田選手ご自身のプレーの強みを教えてください。

A:私の強みは、100%ディフェンスだと思っています。チームからもそこを求められているし、自分自身もその面で貢献していきたいです。センターポジションは相手チームからのボール被弾率が高い部分なので、ここでしっかりとディフェンスを安定させるということが日本の勝利につながると考えて戦っています。日本チームは、大量得点はなかなか難しいかもしれないからこそ、最少失点・ゼロで抑えるということが必要になってきます。そのために、自分自身が大きな役割を果たしていきたいと考えています。

Q:練習中、重視していることはありますか?

A:「いかに楽しむか」ということですね。
私自身は、15年以上プレーしてきて経験的にはベテラン域の選手なので、経験値はほかの選手に比べて多く積ませていただいています。なので、そういう中で、技術的な小さなところ......例えば、素早く体幹力を使って反応力を上げるトレーニングとか、ボールに対して押し負けない力をつけるといったこと......はもちろんベースとして大切なんですけど、「足をどこに置こう」とか、「手を早く出さなきゃ」「こんな風に投げなきゃ」みたいな小さなことを意識していたら、試合中に素早い反応はできないんですよ。だから、小さいことは試合の間は考えないトレーニングをします。
それまでの練習で、どれだけ自分の無意識の行動部分にベースとなる動きのことを入れ込めるかということをやりこんで、やりこんで。コートの中では、それが自然に出るようにトレーニングしています。
自然に動くためには、どれだけこのゲームを楽しんでいるかということが直結しているということをここ最近の海外遠征でも改めて感じました。なので、練習時間ひとつとっても、「このひと時を楽しむ」ということをすごく心掛けて大事にしています。

Q:一通りのご経験があるからこそのお言葉ですね。

A:そのとおり!(笑)
若い子たちはすごく力があります。ガンガン伸びてきていて、勢いもあって、本能で取り組んでいるなあって頼もしく感じます。その魅力って、すごいもの。対して私は、その勢いある魅力に対抗するのではなくて、若い魅力をチームに取り入れながら自分の経験をいかにチームに活かすかということに注力しています。その先にチームの勝利があるのだと信じているんです。
若くて勢いがあるから勝てるというわけでなく、経験があれば良いということでもなくて、そのバランスがすごく大事だなと日ごろから感じます。

Q:パラリンピックはオリンピックと比べて選手の年齢層が広いと思います。若手選手から、浦田選手よりもさらにベテラン世代の選手との交流まで幅広い交流があると思うのですが、その中でも強い方とか活躍されている方々の共通点って何かありますか?

A:私が感じるところは、いろんな価値観を受け入れる方は強いなって感じる。価値観はひとりひとり絶対に異なっているので、その違いを楽しむ人、違いを楽しめるチームは、強いんじゃないかなあって思いますね。「私はこれまでこうやってきたから、こうあるべき!」っていう風に人に押し付けちゃうと、もしかしたらこれから違う強さの花が咲こうとしているのに、それを折ってしまうことになるんじゃないかなって。それってすごくもったいないと思う。まだ見たことの無い強さがその先にあるのに...って。
私自身、チームキャプテンをさせていただいた時期もあったのですが、そのころに「自分がこういう風に習ってきたから、きっとそれが正解だろうな」って思って、それを伝えようと空回りした経験があって。このままでは、自分もチームも強くならないなって感じたこともありました。そんな経験もあって、お互いに認め合いながらも、異なる価値観すべてを「いいよ、いいよ」って受け入れるわけでもなく、チームが強くなるうえでどれを選んでいくか、という点をコミュニケーションしていくことが、チームとしての進化に繋がるのかなって考えています。

Q:代表チームメンバーでミーティングや意見交換をする機会は多いのですか?

A:合宿の機会が結構あるのですが、テクニカルなところをみんなで合わせる作業とその過程でのコミュニケーションというのが主で、ミーティングという時間枠自体はそんなに多いわけではないです。でも、その時その時のトレーニングセッションの中での会話はすごく多いし、チームの中で引っ掛かりがあった時には専門家の先生も交えて伝え方についてみんなで勉強したり、それを踏まえてチームメンバーでミーティングしたりっていう時間を大切にしています。

Q:ゴールボールをこれから初めて見るひとに、観戦ポイントを教えて下さい。

A:ゴールボールは音がキーワードになる。ご覧いただく皆さんは大部分が「見て」いただくことになると思うのですけど、音ってものをどういう風に選手たちが感じているかっていうところは、届くものも届きにくいものもあるかと思います。
例えば攻撃に関しては、選手はお互いに相手のゴールへ投げあっているのですけど、ただ単にガンガン投げているだけではなくて、戦略を考えて投げているのです。例えば、選手3人並んでいる時に、どこを狙うと一番点が入りやすいと思いますか?正解は、人の間と、ゴールポスト際。そこがねらい目、ポイントなんです。
そのポイントに、いかに正確にボールを入れ込めるかということ。そこに入れ込んだからと言って必ず得点になるとは限らないのですが、例えば相手チームの選手の手に繰り返し球を当てていたとして、相手に「また手に来た」と思わせたら、次のボールは反対側に抜くのが有効だったりします。なので、いかに正確にコントロール良く間を狙い、ここぞというタイミングで意表を突くか!といったことを考えて攻撃をしているんですよ。
外から見てもらっているときも、「いまは、敵チーム選手の手に続けて当たっているから、そこ狙って投げているんだなあ」とか「次、どこが点取りやすい場所かな?」とか、コース予想をしてもらいながら、一緒に楽しんでもらえるといいかなって思います。そうすると、予想が当たった!とか、今のはミスショットだったかな?とか、より一層、楽しんで観戦してもらえるのではないかなって思います。

Q:会場では、どんな風に応援されたらうれしいですか?

A:会場で聞き取れるのは、やっぱり自分の名前ですね。代表選手は6名選ばれるので、その名前を是非覚えてもらって、それからベンチスタッフも多分名前が出るので、そこも時には覚えてもらって、名前を呼んでもらいながら応援してもらえると、「あっ!!」ってなります!

Q:最後に、ゴールボールを応援する皆さんへメッセージをお願いします。

A:母国開催のパラリンピックでコートに立って挑戦するチャンスをいただけて、それもいつも応援してくださる方々がいらっしゃるからこそのことと思います。そこには、本当に有難いなあという気持ちと、だからこそ、ありがとうの気持ちは、金メダルを取るということで体現したいなと思っています。
スポーツは結果がすべてではなく、プロセスもすごく大切だと思っています。それでも、多くの方に見てもらいやすいのは、やっぱり結果。金メダルだと思います。たくさんの方々とゴールボールを盛り上げていくためにも、次のパリ2024パラリンピックにつなげるためにも、東京大会は本当に大きな起爆剤だと私は思っているんです。だからこそ、東京大会で金メダルを目指すことには意味と価値がある。この目標を達成して、結果をみんなで喜び合いながら、未来につなげていきたいと思っています。
是非これからも応援いただけたらうれしいです。宜しくお願いします。