3x3 女子日本代表の現在地 ポテンシャルは無限大! 豊富な運動量と機動力のあるプレーで世界上位をうかがう

国際大会で表彰台に立つ実力を持った3x3女子日本代表。男子代表と同様、トーステン・ロイブル氏が強化責任者となり、5人制の女子トップリーグ「Wリーグ」や大学、高校から3人制で活躍の見込まれる選手を代表候補として過去最も多く招集した。そしてこれまで3人制をメインに活動してきた選手たちとの合宿を経て、彼女たちが日の丸を背負う中心メンバーとなり、数多くの海外遠征によって、レベルアップを図ってきた。国内ランキング1位の篠崎澪(富士通レッドウェーブ)や同3位の西岡里紗(三菱電機コアラーズ)は所属先で主力の一角を担い、同2位の山本麻衣(トヨタ自動車アンテロープス)は若干20歳ながら3人制で飛躍を遂げて、5人制で自信を持ってプレーをしている。同4位の三好南穂(同)や同5位の馬瓜ステファニー(同)は過去に5人制代表の経験があり、同7位の宮下希保(アイシン・エィ・ダブリュ ウィングス)は3x3で腕を磨いたことで、今年5人制代表へ選出されるまでになった。

3x3女子日本代表の主力選手たち

篠崎澪 富士通レッドウェーブ 山本麻衣 トヨタ自動車アンテロープス 馬瓜ステファニー トヨタ自動車アンテロープス 宮下希保 アイシン・エィ・ダブリュ ウィングス

女子日本代表のストロングポイント

運動量に裏付けされた「落ちない機動力」

女子代表の強みは、豊富な運動量と、それをベースに機動力のあるプレーができることだ。3x3は試合時間が1試合10分(または21点先取)と、5人制の40分(10分のクォーター×4)に対して非常に短いが、1回の攻撃時間も12秒と、5人制の半分しかない。息つく暇もなく攻守が入れ替わるため、とてもハードな競技であるが、彼女たちは終盤まで走り切ることができ、土壇場で試合をひっくり返したこともあったほどだ。

また海外勢と比べて、日本は体格で劣るが、チームの全員がアウトサイドから2ポイントシュートを決めることができ、ゴールに対して積極的にドリブルで仕掛けるなど、状況に応じて多彩な攻撃で相手を翻弄することができる。高さのハンディを打ち破るように、篠崎はスピードを武器にディフェンスをドリブルで切り裂き、182センチの馬瓜は長い手足を使って屈強な外国籍選手と接触しながらでも得点を決めてくる力強さがある。山本は165センチと代表チームで最も小さいが、国際大会のシュートコンテストで優勝するほど2ポイントシュートの精度が高く、緩急つけたドリブルで果敢なオフェンスを発揮する。加えて、チーム最長身186センチの西岡は当初、外角からのシュートを苦手としていたが、練習を積み重ねて克服。昨年10月に開催された23歳以下が出場できる最高峰の舞台FIBA 3x3 U23 W杯(以下U23 W杯)では、残り時間わずかな状況から、2本の2ポイントシュートを決めて、逆転勝ちを引き寄せた。これら個々の強さがより一層、ひとつにまとまれば、もう怖いものはない。今年のはじめ、西岡は「日本の強みである機動力をどういかしてやっていくか。海外の選手は身長の大きい選手もいて、3x3をずっとやってきた選手がいます。それに対して個々で戦うのではなくて、チームでどう戦うのか、みんなで戦っていくことがキーになると思います」と、目指す方向を語っている。

世界ランキングに見る勢力図

このようにWリーグの選手たちを中心とした強化策が功を奏して、女子日本代表は最新の世界ランキングで5位につける。W杯では過去3度の出場で予選プール突破はないものの、先のU23W杯では初優勝を飾って世界一となり、大会MVPに山本が輝いた。この勝因には、女子選手による国別対抗のツアー大会FIBA 3x3 ウーマンズシリーズなど海外で3人制の経験を積んできたこと、さらには経験こそ浅かったが個人技に優れた大学No.1チームで活躍する永田萌絵(当時 東京医療保健大学/現 トヨタ自動車アンテロープス)が見事なパフォーマンスで、チームに貢献したことが挙げられる。


女子チーム 世界ランキング

しかし、そんな彼女たちがさらに上を目指す先には、ライバルたちも多い。その筆頭がフランスである。W杯でも銅メダルを獲得、ウーマンズシリーズでは全15大会のうち6度の大会制覇で年間女王になった。国別の世界ランキングで1位を誇り、個人別ランキングでも世界のトップ3を同国が独占している状況だ。主力メンバーはほぼ180センチを超え、最も身長のある選手は196センチと男子選手とそん色ない。高さをいかしてゴール下で得点を奪うこともあれば、ドリブルやパスでディフェンスを揺さぶり、外から2ポイントシュートを射貫くことなど、バリエーションの多い3x3を披露してくる。続く同シリーズ2位のカナダ(世界ランキング12位)は、5人制でナショナルチームを経験した190センチ台の双子の姉妹が息のあったプレーを見せることが特徴のチーム。同3位のイタリア(世界ランキング4位)は2018年にW杯を制覇したときの大会MVPがチームを引っ張って、アグレッシブな戦いを見せた。

一方でウーマンズシリーズでは上位進出を果たしていないが、世界ランキング2位の中国は昨年のW杯で全勝優勝をマーク。同3位のロシアもU23W杯で日本に敗れているが、2年連続で決勝へ進出(2018年は日本を破って優勝)。23歳以下の国別対抗戦、FIBA 3x3 U23 ネイションズリーグ 2019では優勝をしており、若い世代の活躍が光る。他にも世界ランキングこそ21位であるが、FIBA 3x3 アジア杯 2019で優勝、W杯で4強のオーストラリアも手強く、日本は過去一度も勝利を収めたことが無いほどの難敵だ。

残り4枠。東京2020オリンピックの
出場権獲得なるか

世界の頂点へ、その行く手に強豪国が立ちふさがるが、女子代表は伸びしろが大きく、可能性にあふれている。若い選手たちが世界で着実に結果を残しているだけに、今後も継続的に3人制の試合へ出場することで、経験を積むことができれば、さらに高みに近づいていく。代表チームが出場する大会は海外で行れることがほとんどであるものの、2020年1月に開催された国内の3x3ツアー大会・ジャパンツアーのファイナルには当時、3x3日本代表候補だった伊集南さん(今年4月現役引退)がSHONAN SUNSとして出場して、初優勝に貢献。自身はMVPに選ばれた。日本一を決める白熱した試合の連続で、会場がヒートアップしていたこともあり、本人は試合後、「自分としても少し成長できましたし、何よりもこのような素晴らしい時間、空間を一緒に体験できたことはすごい嬉しかったです」と振り返っていた。

東京2020オリンピック予選方式

今後、彼女たちがまず目指すことは、東京2020オリンピック(2021年へ延期)の出場権を獲得することである。ベストシナリオは、FIBAオリンピック選考会(OQT)で20チーム中、上位3チームへ入ること。万が一、これを逃しても6チームで争われる、FIBAユニバ―サリティ方式オリンピック選考会(UOQT)を制することで、五輪への道を切り開くことができる(いずれも正式な開催時期は今後発表)。檜舞台へ挑戦する女子日本代表の力となるように、国内大会で生まれた3x3の盛り上がりを声援に変えて、後押ししていきたい。

※記載のランキング(国別、チーム別、個人別)、年齢、所属チーム等はすべて2020年7月31日時点に基づく

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