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バスケットボール界レジェンドによる3x3徹底解説
日本のバスケットボール界のレジェンド 長谷川誠、大神雄子両コーチが3x3の特性を徹底解説

本番を控えて強化を進めている3x3男女日本代表。現在、代表チームをサポートする2人のコーチ、長谷川誠アソシエイトヘッドコーチと大神雄子アソシエイトコーチは、ともに長年5人制の代表を牽引したレジェンドとして知られている。その2人に『3x3の魅力』そして『男女日本代表の可能性』をうかがった。世界の強豪チームに成長するポテンシャルを秘めた日本チームに迫る。

長谷川誠 3x3 日本代表 アソシエイトヘッドコーチ
小松昌弘 3x3 日本代表 アソシエイトコーチ

選手個人のスキルアップにつながる3x3

合宿で選手たちの動きに真剣な眼差しを向ける長谷川誠氏

東京2020オリンピックでの正式種目採用が決定して以降、日本バスケットボール協会はますます3x3への強化を推し進めた。同じバスケットボールでありながら「5人制とは全く別の競技」とも言われる3x3は、はたしてどのような競技特性があり、どのような魅力を持つのか。現在日本代表のコーチングに携わる長谷川誠、大神雄子両氏の言葉からは、日本における3x3の明るい未来も見えてくる。

競技ルールが整備され、国際大会が開催されるようになってからまだ日が浅い3x3。長谷川・大神両氏も3x3との出会いから7年ほどしか経っていないが、当時現役だった大神氏は選手として実際にプレーした経験があり、その際の印象は「5人制よりもボールを持つ時間が長く、1対1の強さを出せるし、魅せるプレーもできる。思い切り楽しんでプレーしました」とのことだ。

このように、個々の役割分担が明確な5人制と比べて「アタックする回数が多い」というのが3x3の大きな特徴の1つ。それは同時に「ボールを持った選手を守る時間も長い」ということでもある。長谷川氏はその競技特性が選手個人のスキルアップに結びついていることを、男子U18アジアカップ2019を制したメンバーの1人、市川真人(当時静岡学園高3年)を例に挙げて力説する。

「全員が活躍して優勝できたんですが、一番成長したのが市川。2メートルオーバーの彼に、サイズの小さいガードの選手を守る練習をさせたんです。何故なら、そういうミスマッチが3x3では常に起きるから。もちろん最初は上手くいかないんですよ。プレッシャーをかければ抜かれるし、だからといって間合いを空けてしまうと外からシュートを打たれる。そういう経験をさせて、それでもプレッシャーをかけろと指導したんです。それでだんだん脚を使えるようになって、ガードのスピードにもついていけるようになった。それは3x3だからできることなんです。3x3の練習を見ていると、特に若い選手は日に日に成長しているのがよくわかりますよ

大神氏も、選手の新たな能力を引き出すという点を強調する。長谷川氏とそろって名前を挙げたのが、女子U23ワールドカップ2019における世界一の偉業に大きく貢献した西岡里紗(三菱電機)。186センチというサイズを持つ西岡は元来外角シュートを打たないスタイルだったが、オールラウンドなプレーを要求される3x3でシュート力の向上に励み、最初はリングにも届かなかった2ポイントシュートを高確率で決めるまでになった。大神氏は、「シュートレンジが広がったことは、選手寿命が延びたことと同じ」と好影響を見込んでいる。

「今は5人制でも2ポイントより3ポイントを多く打つのが世界のトレンドですし、5人制の女子日本代表も3ポイントは全員必須にしている。西岡のように3人制と5人制をかけもちしている選手も多いので、プレーの幅を広げることは両方にとって強化につながります

長谷川氏も「彼女のおかげで勝った試合もあった」と西岡を称えるほか、宮下希保(アイシンAW)のように3x3挑戦を経て5人制の日本代表にステップアップした選手の存在も指摘。「彼女は3x3で自信をつけて5人制のシーズンに入り、力を認められた。そういう選手がこれからもっと出てくると思います」と、3x3に取り組む重要性を説く。

「3x3は日本人に向いている競技」
両コーチが強調

コート上では選手と同じ目線で指導を行う大神雄子氏

また、3x3は日本人に向いている競技でもあると両氏は言う。はたしてどういうところが3x3に向いているのか。

「日本は小学校から高校までしっかり(バスケットボールについて)教育されている。基礎からしっかりやっているから知識はたくさんあるんです。3x3は試合になるとコーチがいないので、タイムアウトを取るタイミングや選手交代、戦術まで全部自分たちで考えないといけない。バスケットIQがすごく必要なんですよ。その点は日本の選手は間違いなく優秀です」(長谷川氏)

「3x3に必要な攻守の切り替えの早さや外角シュートはアジアの選手が得意とする部分で、日本人の特徴にも合っていると思います。あと、10分間の中でゲームをどう支配するかというゲームマネージメントが上手にできている。もっと上手くなれると思いますが、日本の選手はスマートな印象ですね」(大神氏)

時間が10分と短い上、一方のチームが21点を取った時点で試合終了となる3x3では、状況判断が5人制以上に試合の行方に影響を及ぼす。本来コーチの職務である領分に長けていることは、日本にとって大きな武器だ。

もちろん、課題がないわけではない。その最たるものが3x3に取り組む環境面だが、長谷川氏が「セルビアのような強い国と比べるとまだまだ」と口にする一方で、大神氏は「男子はいろんな選手が切磋琢磨していて良い環境だなと思う」と言う。その真意は「今ある環境を利用する側の意識次第」ということのようだ。

「挑戦さえすれば、どこにでも学ぶ場所はあると思うんです。今の時点でも挑戦できる環境は増えたわけですから、この環境を選手がどう使うか、協会やBリーグ、Wリーグがどう活かすかで大きく変わってくる。違う環境に飛び込むこと自体が一番評価されるべきで、そこで私は成功体験を与えてあげたい

長谷川氏が「若い選手が結果を残しているので、手応えはあります。ますます3x3に注目してほしいし、東京2020オリンピックのメダルも近づいてきていると感じます」と言えば、大神氏も「東京2020オリンピックの結果次第で、認知度や競技の在り方などすべてが変わる。"ゼロから1(イチ)"になるタイミングで、今の選手とコーチが一番大変だと思うんですが、選手たちと一緒に楽しんで成長していきたい」と意気込む。1年延期になったが、東京2020オリンピックでの日本の躍進を大いに期待したい。

最後に、大神氏が「もう1つだけ」と付け加えたことも記しておこう。

「今はBリーグやWリーグの選手もプレーしていますが、もともとストリートのリーグや3x3のリーグでプレーしてきた選手へのリスペクトを忘れてはいけないと思います。彼らへの尊敬の意がないと競争なんて生まれないと思うんです」

3x3草創期からその舞台を作り上げてきた先駆者と、伸びしろのある若い力が融合することで、日本の3x3はさらに世界に名を轟かせることができるはずだ。

3x3日本代表を支える長谷川、大神の両氏

※ランキング、年齢、所属チーム等はすべて7月31日時点に基づく

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